コンテンツマーケティングにおける見込み客の位置付けとリード育成という考え方
IT技術が進化しネット社会が当然となっている現在、営業や集客もデジタル化が主流となりつつあります。企業が伝えたい情報を一方的に発信するスタイルから、デジタル化により消費者が企業を選ぶ時代に変化しました。
コンテンツマーケティングを成功させるためには、消費者にとってよりニーズに合った信頼できる有益な情報を発信できるかがカギとなります。
コンテンツマーケティングが重要視されるようになったわけ
インターネットなどのIT技術が進化した現代においては、私たちは簡単に知りたい情報を手に入れられます。また欲しい商品の情報もすぐに調べられるため、例えば口コミがあまり良くなかったら商品購入を考え直すということも可能です。
このような背景から、一方的に企業側が伝えたい情報を不特定多数に伝える従来の宣伝方法は、消費者に不信感を与える結果となりました。
消費者も企業側も変化しているいま、ターゲットになる消費者に有益な情報を発信し、ファンを作っていくコンテンツマーケティングが主流となりつつあります。
そもそもコンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、簡単に説明するとコンテンツを制作し、ターゲットを集客して売上につなげることです。概念は非常に単純ですが、そこで最も重要視されるのは、いかに消費者にとって有益な情報を発信できるかどうかです。
情報化によって従来型のマーケティングは限界に
ソーシャルメディアが活発になったことで消費者と企業が簡単につながれるようになりましたが、これは企業の広告手法や思惑が消費者に見透かされてしまう結果となりました。
企業が一方的に情報を与える従来型のマーケティングでは、消費者は簡単に行動しなくなってきています。
消費者自らが情報を取りに行き、何が自身に有益かを判断する時代です。消費者の購買意欲を掻き立てるためには、企業側がメリットを並べるだけの従来型のマーケティングでは限界があるといえます。
これからのマーケティングと「ZMOT」の考え方
ZMOTとは、Googleが提唱するWebマーケティング理論で、真実の瞬間「Zero Moment of Truth」の略です。ここでは購入の意思や商品・企業に対する印象を決定する瞬間を表しています。
消費者が来店という初めての行動を起こす前、つまり来店前のゼロの時点で何を購入するかが決まっているという理論です。
コンテンツマーケティングの流れ
コンテンツ制作はリリースして終わりではなく、その後のデータ分析や運用などのマーケティングも重要になってきます。ここでは、コンテンツマーケティングの流れについて紹介していきます。
コンテンツ制作で記事作成を行う手順を紹介!外注時のポイントも
購買サイクルと絡めて理解する
コンテンツマーケティングには、認知・興味・検討・購入・継続・応援の6つの課程があります。この購買サイクルをしっかり把握し、スムーズに進ませることがコンテンツマーケティングの最終目標とするところです。
【購買サイクル6つのパターン】 | 【顧客心理】 |
認知 | 商品を知る段階。コンテンツなどで自社の商品を周知し知ってもらう。 |
興味 | 商品にたいして関心を持つ段階。 |
検討 | 欲しいと思う段階。同時に購入に対して不安を感じたり、他社商品との検討に悩む。 |
購入 | 検討を経て購入という行動に移す。 |
継続 | 購入した商品に愛着を持ち、リピートする。 |
応援 | 知人に紹介したり、他の商品を購入する。 |
①オウンドメディアの設立とアクセス収集(認知)(興味)
オウンドメディアは本来自社サイトやパンフレットなど自社の宣伝一式を指しますが、デジタルマーケティング上では自社が運営するサイトを意味することが一般的です。
SNSは今やビジネスシーンにおいても欠かせないものですが、ただ配信するだけでは成果に繋げることが難しいとされています。一方オウンドメディアは、SEOなどのさまざまな対策を用いて成果を上げやすい傾向にあります。
オウンドメディアとSNSの併用でターゲットへのアプローチ・認知がスムーズに宣伝できるようになりました。
②PVを見込み客リストに変えていく(興味)(検討)
PVとはオウンドメディアの認知度を測る代表的な指標です。PVを見込み客に変えていくには2種類の方法があります。アウトバウンド型はメルマガなどを用いた広告を自社からターゲットに発信していきます。
それとは逆に、SNSなどで自社のオウンドメディア情報を拡散し、ターゲット自らが自社に訪れるのをインバウンド型といいます。双方を上手に組み合わせて、PVを見込み客リストに変えていきましょう。
③見込み客を新規顧客につなげる(購入)
興味を引き出した状態から新規顧客につなげるためのアプローチとして、SNSやオウンドメディアなどのコンテンツを使用して購買意欲を高めていく方法が主流となっています。
ターゲットと企業とのつながりは従来型のマーケティングの部分ではデメリットでしたが、ここではそのつながりが強いほど購買意識が高くなります。
④新規顧客を優良顧客に(継続)(応援)
新たに顧客になったユーザーに対し、購入商品の情報や使用方法などの情報をメルマガなどで発信します。また類似商品や関連商品を紹介することで、一定数の顧客から継続や新規注文につながりやすくなります。
継続年数が長くなったり定期購入以外の商品の購入に至ったりすると、企業のファンが増えて応援につながります。
⑤各段階での効果測定と改善でリピートにつなげる
従来のマーケティングと比べ、デジタルマーケティングはさまざまなデータが収集しやすい環境といえます。しかし、施策に合った取るべき指標を収集できていないと意味がありません。
目的に合った指標をきちんと把握し、情報収集をすることで改善部分が浮き彫りになり、さらなるリピートにつなげられます。いかに有益な情報を提供できるかが課題となります。
なぜ見込み客獲得のプロセスが重要なのか
見込み客獲得のプロセスは顧客になりそうなユーザーを見つけ出し、新たな顧客を取得して売上につなげるためのスタート地点でもあります。そのため、コンテンツマーケティングにおいてこのプロセスは非常に重要な部分になります。
コンテンツ閲覧から顧客につながる道筋の最初の段階
コンテンツの閲覧情報は顧客につながる大切な情報です。何に、どの程度興味があるのか、という情報がコンテンツ閲覧からは読み取れます。
インバウンドでユーザーが自らコンテンツを閲覧するということは少なからず興味を持っているということです。最初の段階としてユーザーを引きつける有益な情報を発信していきましょう。
興味を持ってもらえた状態から実際の購買につなげる
購買サイクルを基にすると、興味を持った次は検討に入ります。この段階ではいかに商品のメリットを魅力的に伝えられるかで意思決定に大きな差が出ます。興味づけまで進んで結果につながる数が少ないようであれば、コンテンツの見直しや修正をおすすめします。
見込み客を顧客につなげるためのさまざまな手法
獲得した見込み客を顧客につなげられないと意味がありません。見込み客の購買意欲を高めるリードナーチャリングはマーケティングにおいて必須となります。心理的な購入プロセスを理解して分析し、適度なフォローアップや情報発信をして顧客につなげましょう。
見込み客の購買意欲が高まっているときに、自社製品が最も信頼されていることが理想です。
ただ、手作業で分析するのは非常に労力がかかります。マーケティングオートメーションはこの作業を自動化してくれるツールです。さまざまな機能や絞り込み検索ができるので、効率的に顧客につなげられます。
ビジネスブログなどのストック型メディア
不特定多数の人に情報発信できるブログはストック型メディアといわれます。ストック型メディアの最大のメリットは、記事がWeb上に残り続けることです。
書いた記事はどんどんとストックされていき、検索エンジンにもヒットするため、記事が増えることで貯蓄が増えていくイメージです。
一方SNSは、フロー型といわれ、投稿した記事が時間の経過とともにどんどん下へいき、消えてしまいます。
信頼を高めるホワイトペーパー、その起源と目的
現在マーケティング分野でよく耳にするホワイトペーパーとは一体どのようなものなのでしょうか。もともとは政府が発行する報告書などを〇〇白書と呼んでいました。
この「白書」が、20年ほど前からビジネスシーンでも使用されるようになりました。
内容はカタログなどの商品案内、調査報告や事例情報などたくさんあります。自社の強みがアピールされるため信頼性が増し、見込み客の育成に使用される企業が多い傾向にあります。
継続的な情報提供が可能なメールマガジン
メルマガを効率的に配信することも顧客獲得・リピーターにつなげるには有効です。商品がなくなるころにメルマガを発信することで、リピーターにつながる可能性が大きくなります。
また新商品やキャンペーン案内は顧客にとって有益な情報であるため、新商品の購買意欲を高めることにもつながるでしょう。
視覚に訴えかけることができる動画を活用しよう
動画はテキストと比べて圧倒的に情報量が多いため、効果的なアプローチ方法といえます。
人は視覚からの情報が55%、聴覚からは38%、言語からは7%という「メラビアンの法則」によると、人は視覚と聴覚からの情報が大多数を占めているということが分かります。動画でのアプローチはまさに理に適ったアプローチ方法だといえます。
既存の顧客の意見を最大限に活用する事例コンテンツ
自社製品利用者からの「生の声」を生かし、より良い商品の開発や既存製品の見直しなどを行う方法が注目されつつあります。顧客の声を聞くことで、見込み客を顧客につなげる、最新の市場状況が把握できるなどのメリットが期待できます。
消費者が信頼できる企業を選ぶ時代において、顧客の声を生かしたマーケティングは新規顧客獲得に有効といえるでしょう。
プレスリリースの活用で情報を更に拡散
正式販売前に商品やサービスの一部を提供するプレリリースは、商品情報拡散に役立つほか、見込み客の購買意欲を高めます。心理学的にも人は希少性の高いものを好む傾向にあります。
また「人より先に」という特別感や優越感が得られるのもプレリリースの特徴です。正式販売前に商品やサービスの一部を提供するプレリリースは、そのような心理に働きかけるマーケティング方法です。
見込み客を重要視するリード育成という考え方
せっかく見込み客を獲得しても、何もしないままでは購買意欲どころか関心すら高められません。他社に取られてしまう恐れもあります。
そうならないよう定期的に有益な情報を発信し続けることで自社の製品やサービスへの関心を薄れさせることなく、信頼を築き上げながら見込み客を育てていきます。このような手法をリードナーチャリングといいます。
リード育成によって得られる効果とは
見込み客を顧客へ育てることは、リード育成の最大の効果といえるでしょう。営業活動の効率化にもつながり、今まででは諦めていて蓄積されていた購買意欲の低いリードにもアプローチが可能になります。
営業活動の効率化が可能に
ターゲット別にグループを分け、グループ別に適切なアプローチ方法を考案し、その後の反応からアプローチ方法が適切だったかを判断するリード育成は、営業活動の効率化につながり、ターゲットに合ったアプローチ方法でより成果が出やすくなります。
集客コストのロスを削減することができる
せっかく獲得した見込み客を無駄にすることなくアプローチします。ただ蓄積されるだけの確度が低いリードへアプローチができれば、見込み客を無駄にしないで済むでしょう。すなわち、集客にかかった時間やコストの削減になります。
リード育成を行う方法
ここでは、リード育成を効率よく行うための流れを解説していきます。
リードの統合
まずは自社の顧客情報を洗いざらい統合します。このとき重要なのが、社内の顧客情報をもれなく統合できるかどうかです。統合することで対象母数が大きくなり、育成の効果がより期待できます。
リードの分類
次にリードを分類(セグメント)します。
分類には3種類あり、最も確度が高いリード(ホットリード)、ホットリードよりは確度は低いが購買意欲が感じられるリード(ウォームリード)、現時点では購買意欲があまり感じられないが興味を持っているであろうリード(コールドリード)になります。
分類分けすることで、適切なアプローチを行えます。
実際にコンテンツを作成する
最後にコンテンツを作成します。コンテンツは見込み客へのアプローチ方法です。リード分類した見込み客へ対し、どのようなアプローチをすれば購買意欲が高められるかが重要ポイントになります。分類に合わせたコンテンツを作成しましょう。
コンテンツマーケティングのより良い活用には見込み客を取り込むという考え方が必要不可欠
コンテンツマーケティングの基礎はやはり見込み客の獲得です。自社製品やサービスに興味を持ってもらえなければアプローチすらできません。
見込み客を取り込むことは顧客獲得への第一歩です。見込み客の取り込みは、コンテンツマーケティングにおいて最終の顧客獲得につながる重要な位置づけといえるでしょう。