Google広告のフレーズ一致とは?完全一致・部分一致との違いを紹介
フレーズ一致は、Google広告の検索キーワードに指定できるマッチタイプのひとつです。適切な場面で活用すれば広告の効果を上げられる有用な設定ですが、ほかのタイプである完全一致や部分一致に比べると少しわかりにくい印象があります。
そこで本記事では、フレーズ一致の仕様や有効な場面、設定方法まで詳細に解説します。ぜひGoogle広告のパフォーマンスを向上させる参考にしてください。
Google広告のフレーズ一致とは?
Googleのリスティング広告のフレーズ一致は、キーワードを含む検索語句に対しても広告を表示できるマッチタイプです。たとえば、「東京から神奈川 引越し」というキーワードで考えてみましょう。フレーズ一致であれば、マッチする検索語句は以下のようなものです。
・東京 神奈川まで 格安 引越し
・東京から神奈川 引越し業者 休日
このように、キーワードの語順と検索語句の語順、単語自体が多少異なっていても、検索意図が近いものであれば一致と見なされます。一方、以下のように検索意図が異なる場合には一致しません。
・東京 神奈川 アルバイト
・神奈川から東京 引っ越し
そのため、フレーズ一致のマッチする範囲は、完全一致よりも広範で、部分一致よりも絞り込めるといえます。
Google広告のフレーズ一致以外のマッチタイプ
フレーズ一致は柔軟性のある便利なマッチタイプですが、状況に応じてほかのタイプと組み合わせた方がより効果的です。そこで、ここからはフレーズ一致以外のマッチタイプ、「完全一致」と「部分一致」について解説しましょう。
ただし、ここで解説するのは検索キーワードで指定された場合の仕様です。除外キーワードで指定する場合は少し挙動が異なることには注意してください。
完全一致
リスティング広告の完全一致は、キーワードと完全に一致する意味の検索語句に対してのみ広告を表示するマッチタイプです。
たとえば、「男性用のシューズ」というキーワードを指定した場合、「男性 シューズ」というキーワードにはマッチしますが、「男性用テニスシューズ」にはマッチしません。ただし、「男性 靴」といった言い換え表現や誤字などが含まれていてもマッチします。
思いもしないキーワードでのマッチを防げるため、ターゲットを絞り込みやすいのがメリットです。ただし、三種類のマッチタイプの中で、広告が表示される機会が最も少ないことには注意が必要です。
部分一致
部分一致は、指定したキーワードと関連する意味の言葉にマッチするタイプです。ある程度意味が同じ言葉が含まれていればよいため、キーワードが検索語句に存在しなくても広告が表示されます。
たとえば、「低炭水化物ダイエット」をキーワードとして指定すると、「ロカボダイエット レシピ」などでもマッチし、幅広いキーワードの検索で広告が表示されるのが特徴です。
部分一致は、関連性が薄い検索にも広告が表示されるので、そのままでは費用対効果が低くなるリスクがあります。しかし、部分一致は多様な検索で広告が表示され、これにより素早いデータの蓄積が可能です。
そのため、機械学習を用いたスマート自動入札と相性がよく、部分一致とスマート自動入札の組み合わせはGoogleが推奨する広告戦略のひとつとなっています。
Google広告のフレーズ一致の設定例
ここでは、フレーズ一致のイメージをつかむため、キーワードとマッチングの具体例をご紹介しましょう。まず、キーワード「パソコン 安い」を設定したとすると、以下のような安いパソコンを探す意図がある検索にはマッチします。
・1万円以下のパソコン
・中古パソコン 安い
しかし、以下の検索は安いパソコンを探したいとは限らないため、マッチしません。
・パソコン スペック
・パソコン レビュー
同様に、キーワード「服装 通勤」であれば、「服装」というキーワードがなくても通勤の服装に関係する以下の検索にはマッチします。
・通勤時 スーツ
・カジュアル 通勤
しかし、たとえ「服装」というキーワードがあっても、次の検索は通勤用の服装とは関係ないためマッチしません。
・服装 コーディネート
・オシャレ 服装
つまり、フレーズ一致は柔軟なマッチングができる一方、検索意図でターゲットを絞り込むことも可能なバランスのよいマッチタイプといえるでしょう。
Google広告でフレーズ一致を設定するメリット
ここまでで、フレーズ一致の概要が理解できたのではないでしょうか。しかし、フレーズ一致が実際のところ、どのような場面で役に立つのか気になっている方も多いでしょう。このセクションでは、フレーズ一致を設定するメリットについてまとめました。
購買意欲の高いユーザーにアプローチできる
フレーズ一致は、検索意図を判断して広告が表示されるため、購買意欲が高いユーザーにアプローチしやすいというメリットがあります。
たとえば、「東京 宿泊」というキーワードを設定したとしましょう。完全一致であれば「東京 ホテル 安い」といった検索には広告が表示されずに機会の損失になってしまいます。
しかし、フレーズ一致ではこのような場合でも意図を正確に判断して広告を表示できるため、実際にホテルに泊まろうとするユーザーを見逃すことがありません。このように、購買意欲を的確に判断して広告を表示させたい場合には、フレーズ一致が適しています。
広告費を抑えることができる
幅広い検索に広告を表示させたい場合は部分一致が有効なマッチタイプです。しかし、部分一致は無駄なクリックを誘発し、コストが上がる可能性があります。
フレーズ一致であれば、指定されたキーワードと意図が同じ検索しかマッチしないため、部分一致ほど広告が表示されることはありません。
このフレーズ一致の特徴によりユーザーの誤クリックが減少し、広告をクリックするユーザーが本当に興味を持っている場合が多くなります。これにより、広告費の無駄を減らせるでしょう。
よって、フレーズ一致はターゲティングの精度を高め、無駄なクリックや表示を減らすことで、広告費を抑える効果があります。
Google広告でフレーズ一致を設定するデメリット
フレーズ一致は、ターゲットを適度に絞り込むバランスのよさが最大のメリットとなりますが、逆に考えれば、それがそのままデメリットにもなりえます。
まず、フレーズ一致はターゲットが絞り込まれるため、部分一致ほど広告が表示されません。この点は、ブランドの認知を高めるために広告の露出を増やしたいときにはデメリットになります。
そのため、広告の表示回数が重要な場合は部分一致を使いましょう。また、スマート自動入札を利用する場合も、データの蓄積が早いため部分一致の方が有利です。
次に、完全一致ほどターゲットを絞り込めないため、予期せぬ誤クリックを誘発する可能性があります。予算が少なく、検索の取りこぼしがあったとしてもコストを抑えたい場合には、完全一致の方が適切なマッチタイプであるといえるでしょう。
このように、フレーズ一致にもデメリットが存在するため、状況に応じてマッチタイプを使い分けることが重要です。
Google広告のフレーズ一致の設定方法
Google広告のキーワードは、キャンペーンを作成するときにも設定できますが、検索キーワード画面からも確認や追加、変更が可能です。2023年11月現在、検索キーワード画面は以下の方法で表示できます。
1.Google広告にログインする
2.左端のカラムから「キャンペーン」を選択
3.その隣のカラムから「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」を選択
4.その下の「検索キーワード」を選択
この検索キーワード画面からキーワードの追加や変更が可能です。
たとえば、追加する場合はキーワードのリストの上部に表示されている「+」ボタンを押し、まずキャンペーン、次に広告グループを選択すれば入力画面が表示されます。入力画面で改行すれば複数のキーワードも設定可能です。
この入力のときにキーワードを何も囲まず入力すると部分一致、「”キーワード”」と「””」で囲むとフレーズ一致、「[キーワード]」と「[]」で囲むと完全一致で登録されます。しかし、あとから検索キーワード画面のリスト表示部分で簡単に修正することも可能です。
Google広告のフレーズ一致の活用方法
ここでは、フレーズ一致を具体的に活用する方法を解説します。除外設定や競合他社の広告が表示される場合の対処法、スマート自動入札との組み合わせ、そして定期的なメンテナンスなど、実践的な手法を取り上げています。
ぜひ、Google広告の効果的な運用に役立ててください。
除外設定を利用する
部分一致やフレーズ一致では、望んでいないような検索で広告が表示される場合があります。この不要な広告の表示を防ぐには、除外設定が便利です。
この除外設定でも、部分一致、完全一致、フレーズ一致の三種類のマッチタイプが使えます。ただし、表記揺れや誤字などのパターンも自分で設定しないといけないなど、一部に違いがあるため注意が必要です。
除外設定でフレーズ一致を使うと、同じ言葉が同じ順で登場したときに広告が表示されません。そのため、順番が重要な検索キーワードはフレーズ一致で登録するのが便利です。
たとえば、「ワイングラス」はグラスですが「グラスワイン」はワインを指します。このように、語順で意味が変わる場合はフレーズ一致を使いましょう。
これにより、必要以上に広告が制限されることなく本来のターゲットに適した検索結果にのみ表示されるようになるため、広告費の浪費を抑えられます。
競合他社に自社キーワードの除外設定を依頼する
リスティング広告では、ときに自社名や自社サービス名に関連した検索に他社の広告が表示されることがあります。自社が広告でブランディングに力を入れている中で、他社の広告が表示される状況は望ましくありません。
これは、他社がキーワードとして社名やサービス名を登録しているわけではなく、部分一致やフレーズ一致により意図せずに表示されている可能性があります。
こうした場合は、その広告を表示している会社にキーワードの除外設定を依頼してみることが解決策です。その際に、除外すべきキーワードをあわせて送付し、登録してもらいましょう。
エリア登録でフレーズ一致を活用する
店舗の広告などで地域を限定して広告を表示したい場合、フレーズ一致のマッチタイプが効果的です。
地域指定の検索キーワードは多岐にわたることがあり、完全一致ではキーワードの洗い出しに手間がかかります。一方で、部分一致では予想外の検索ワードで広告が表示されやすくなるかもしれません。
たとえば、「名古屋 宿泊」という検索キーワードを設定するとします。フレーズ一致であれば「名古屋駅 ホテル 徒歩」や「名古屋 宿泊 安い」といったキーワードでもマッチしてくれるでしょう。
このようなエリアを指定する広告は、「そのエリアで探す」というターゲットとしたいユーザーの意図がはっきりしています。そのため検索意図を的確に理解するフレーズ一致がとくに有効なのです。
定期的にマッチタイプを見直す
Google広告では、定期的なマッチタイプの見直しは重要です。たとえ当初は目的にあわせて選択されていたマッチタイプでも、ユーザーの検索行動や市場状況の変動で最適ではなくなっているかもしれません。
定期的なマッチタイプの見直しを行えば、広告のターゲティングが最適な状態に保たれ、広告の効果が向上します。
マッチタイプを見直せば広告を表示する機会が調整できるため、無駄な広告費の削減やコンバージョン率の向上も期待できるでしょう。アクセス解析と組み合わせて広告からのトラフィックを測定し、継続的な見直しと最適化を行えば、より予算を効率的に活用できます。
Google広告のフレーズ一致を設定する際の注意点
Google広告でフレーズ一致などのマッチタイプを設定するときには、いくつかの注意点があります。以下ではそれらについて解説しましょう。実際にフレーズ一致を広告のマッチタイプとして利用するときの参考にしてください。
全角記号では指定できない
Google広告にキーワードを入力する際に、マッチタイプを指定するのであれば、フレーズ一致なら「””」(ダブルクォーテーション)で、完全一致なら「[]」(角括弧)でキーワードをくくります。
これらのマッチタイプを指定する記号は半角でなければなりません。記号が全角なのか半角なのかは一見しても見分けがつきにくいため、間違えないように注意してください。
また、マッチタイプはキーワードごとに、あとから簡単に修正できます。記号を使わずそのまま登録して部分一致になったり間違って別の記号で登録したりしても、すぐに見直して修正すれば問題ありません。
広告配信後のマッチタイプの変更は、掲載結果データがリセットされる
キーワードのマッチタイプを変更した場合、そのキーワードを削除して再登録したのと同じことになります。そのため、掲載されていたときに蓄積されたデータもリセットされることには注意が必要です。
データが消えるからといって、キーワードの見直しをしない方がいいというわけではありません。キーワードとマッチタイプの修正は広告を最適化するためには重要な作業です。
ある程度の期間広告を配信したら、掲載結果のデータから既存キーワードの修正や削除、新規キーワードの登録を行うようにしましょう。これにより、広告キャンペーンを効果的かつ適切に調整できます。
まとめ
Google広告のマッチタイプのひとつであるフレーズ一致は、部分一致よりターゲットを絞り込み、完全一致よりも柔軟に検索ワードを解釈してくれるバランスの取れたタイプです。
ただし、常にフレーズ一致をマッチタイプに設定することが最適とは限りません。状況に応じて他のタイプとの使い分けが重要です。
本記事ではフレーズ一致の特徴や設定方法を紹介しました。これらを参考にすることで、より効果的なリスティング広告の運用につながることでしょう。
株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。