アプリで差をつける!オウンドメディア活用とアプリ制作
マーケティング戦略においては、購入・契約数の増加やブランドイメージの向上といった目的を達成するため、効果的なコンテンツを展開しなければいけません。
中でもオウンドメディアは幅広い業界で活用され、近年ではWebサイトの構築・運用のほかにも、スマートフォンのアプリケーションを通じた情報発信が進んでいます。
しかし、担当者がオウンドメディアをアプリ化したいと考えていても、「コンテンツをブラウザで見られるなら、わざわざアプリにする必要はないのでは?」といった反対意見があがり、アプリ化を進められない企業もあるようです。
そこで今回は、オウンドメディアをスマートフォンアプリとして展開するメリットや、アプリに注目すべき理由などをご紹介します。
アプリ化のデメリットについても解説するので、あらかじめリスクを把握しておきたいと考えている企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
オウンドメディアってなに?
オウンドメディアとは、企業が自社で保有しているメディアを指します。例えばWebサイトや自社ブログ、自社で発行するパンフレットや広報誌などが当てはまります。
掲載されるコンテンツに決まりはなく、販売促進以外にもブランドや企業の認知拡大など、幅広い用途・目的で活用されます。
オウンドメディアに関連して「トリプルメディア」という言葉を聞くことも多いでしょう。トリプルメディアとは、オウンドメディア・アーンドメディア・ペイドメディアをまとめた呼び方です。
アーンドメディアとは、個人ブログやSNSといった、消費者自身が情報発信を行うメディアを指します。
インフルエンサーや友人などが商品やサービスに関する口コミを発信した場合、企業による発信と比較して共感を呼びやすいというメリットがあり、読者の購買意欲を効果的に高められます。
オウンドメディアとは異なり、企業が情報の内容や発信タイミングをコントロールすることはできませんが、だからこそ消費者の本音が分かるメディアとして活用されています。
ペイドメディアとは、広告費を支払って出稿するメディアのことで、テレビCMやWeb広告などが当てはまります。
幅広いターゲット層に商品やサービスをPRでき、潜在顧客にもアプローチできる点がメリットです。ただし、ペイドメディアを利用する際には、掲載料や成果連動型報酬などを掲載媒体に支払う必要があります。
情報発信にコストがかからないオウンドメディアと比較すると、金銭的な負担が大きくなりがちだという点に留意しましょう。
オウンドメディアで成功するためにアプリを活用する重要性
オウンドメディアで成功を収めるためには、専用アプリを通じて情報を発信するのも効果的です。アプリを活用する重要性としては、以下の項目が挙げられます。
・ユーザー体験が向上する
・データ収集と分析が可能になる
それぞれを詳しく解説していきましょう。
ユーザー体験が向上する
優れたアプリを提供できればユーザー体験が高まり、ブランドイメージの向上にもつながります。
ユーザー体験とは、アプリを使うことでユーザーが感じる、使いやすさや感動、印象といった体験全てを指します。具体的には以下の要素が含まれます。
・ユーザビリティ:アプリが使いやすく、最小限の手順で目的を達成できること
・デザイン:画像やレイアウトといった視覚的な要素が魅力的で、興味を引くこと
・コンテンツ:価値のある情報を提供し、ユーザーの問いに答えていること
・パフォーマンス:画面表示、遷移、操作に対するレスポンスが迅速で、効率的に動作すること
これらの要素を考慮してアプリを設計することで、ユーザー体験を高められます。
データ収集と分析が可能になる
オウンドメディアをアプリ化することで、ユーザーに関するデータの収集・分析が可能になります。
ユーザーのアプリ利用履歴を分析すれば「どういった記事を頻繁に見ているのか」「どういった機能を頻繁に使用しているのか」などが分かり、ユーザーの興味関心を探る助けになります。
さらにそれらのデータを活用すれば、ユーザー一人ひとりに合わせた情報を送ることも可能になります。
例えば、過去に購入した商品に基づいて関連製品の情報を届けたり、同じ商品を買ったユーザーがよく見ているコンテンツをレコメンドしたりといった情報提供が考えられます。
実店舗を構えている場合は、ユーザーの住所や位置情報を利用することで、近隣店舗を対象とするクーポンやイベント、キャンペーン情報を、アプリを通じて届けられます。
オウンドメディアにアプリを導入するメリットとは?
オウンドメディアにアプリを導入すると、以下のようなメリットが得られます。
それぞれ解説していくので、アプリの導入を迷っている方は、その魅力を知るためにも参考にしてみてください。
ブランドエンゲージメントの強化ができる
ユーザーがブランドに対して示す関心や感情的なつながりを、ブランドエンゲージメントといいます。
ユーザーにとって価値のある情報をアプリで届けることで、企業やブランドに対する信頼や愛着を醸成できます。
ユーザーがアプリを「有益な情報を無償で提供してくれるメディア」と捉えてくれれば、企業に対するイメージも自然と向上していきます。
アプリを閲覧した後の「役に立った」「良い情報を受け取った」という感情はブランドエンゲージメントの強化や向上につながるので、ユーザーが求める情報を届け続けられるかどうかが重要なポイントとなります。
リアルタイムな情報提供が可能になる
オウンドメディアをアプリ化すれば、情報をリアルタイムに提供できるようになります。その手段の一つが、プッシュ通知です。
プッシュ通知とは、アプリの起動の有無にかかわらずユーザーのスマートフォンに直接送れる通知のことで、例えばコンテンツ更新のお知らせなどに利用できます。
Webサイトを中心にオウンドメディアを運営する場合、新しいコンテンツをアップロードしても、読者にすぐに見てもらえない点が課題となります。
しかし、オウンドメディアをアプリ化してプッシュ通知を活用すれば、ユーザーに伝えたい内容をリアルタイムに届けることが可能です。
またプッシュ通知には、ユーザーのアプリ利用を促す効果もあります。コンテンツの更新をプッシュ通知で知らせることで、ユーザーは簡単に最新情報にアクセスできるようになります。
こうしてユーザーとアプリとの間に定期的な接点を作り、日常的にアプリを使ってもらうようにすることで、アプリのアンインストールを防止できます。
ブラウザの影響を受けにくい
オウンドメディアをアプリ化すると、ブラウザのバージョンによる影響を受けにくいメリットも生まれます。
例えば、iPhoneに標準搭載されているWebブラウザSafariでは、iOS11のリリースに伴って広告追跡機能がプラスされました。
Webサイトの場合、ブラウザの機能変更やユーザー設定によって、掲載内容やレイアウトに制限が生じることも考えられます。
しかし、アプリであればそうした影響を受けにくく、掲載内容やレイアウトも自由に決められます。
オウンドメディアにアプリを導入するデメリットとは?
オウンドメディアのアプリ化にはさまざまな魅力がありますが、デメリットも存在します。あらかじめリスクを把握するためにも、注意点を知っておきましょう。
開発コストが高い
オウンドメディアにアプリを取り入れる場合、開発コストがかかります。そのため、開発コストを上回る利益が得られるのか、事前の見極めが重要です。
アプリを開発しても、全てのユーザーが利用してくれるわけではありません。
既にオウンドメディアとしてWebサイトを運営しているのなら、そちらを使い続けるユーザーもいるでしょう。その場合は、Webサイトとアプリ、両方の運用コストが発生することになります。
典型的な失敗例として、開発コストを抑えようとするあまり、完成度の低いアプリを発表してしまうケースが挙げられます。
使いにくいアプリはユーザーからの低評価レビューを招き、かえって企業やブランドのイメージを下げてしまいます。
アプリ開発にあたっては、質の高い操作感・機能・情報を提供できるよう、環境を整えることが大切です。金銭的コストはもちろん、人的コストに関しても十分な余裕を確保した上で開発に着手しましょう。
開発から公開までに時間がかかる
アプリは開発から公開するまでに時間を要します。主な流れは、以下のとおりです。
1.アプリ制作会社を選ぶ
2.要件の確定・発注
3.開発・試験
4.アプリ申請
5.アプリ公開
6.運用
アプリの開発を委託する制作会社を選定した後には、要件の確定・発注を行います。アプリに必要な性能やシステムを明確にし、企画内容を詰めていく作業です。
その後、アプリの開発が始まりますが、開発には長期間を要することもあります。
発注側としても任せきりにするのではなく、定期的なミーティングを通じて進捗を把握し、開発が予定通り進んでいるか確認する必要があります。
また、アプリを公開して運用を開始しても、開発は終わりではありません。蓄積されたデータは一定期間ごとに分析を行うことでマーケティングに活用できます。
また、不具合や問題が発生するケースもあるため、その都度修正や更新、仕様の変更などを行います。
オウンドメディアをアプリ化しようと考えても、すぐに運用を始められるわけではないので注意してください。
アプリストアの審査が厳しい
オウンドメディアにアプリを導入する場合、その公開のためにはアプリストアによる審査を受けなければいけません。
審査項目には、アプリの動作確認だけではなく、各ストアが定めるガイドラインに準拠しているかどうかも含まれます。各ストアはこうした審査を通して、アプリの品質や安全性を確保しているのです。
また、Androidアプリを審査するGoogleと、iOSアプリを審査するAppleとでは、異なる基準が定められています。
Googleでは機能面、Appleではデザイン性やブランドイメージを重視する傾向があるため、アプリの要件定義・開発の段階から、それらを意識しておく必要があります。
さらに、GoogleとAppleでは、審査期間にも違いがあります。
・Google(Androidアプリ):24~48時間程度(最大7日間)
・Apple(iOSアプリ):最短24時間
ただし、提出するタイミングやアプリの内容、過去の実績などによって審査期間が延びる可能性もあるので、余裕をもったスケジュール管理が重要です。
アプリをアンインストールされるリスクがある
オウンドメディアとしてのアプリの活用にはさまざまなメリットがありますが、ユーザーにアプリをアンインストールされるリスクがある点には注意が必要です。
有益な情報が提供され続け、割引やイベントへの招待などユーザーメリットの大きいコンテンツがあれば、高い満足感と共にアプリを使い続けてもらえるでしょう。
しかし、思っていたような情報が得られなければ、アプリは必要ないと判断され、削除されてしまいます。アプリが削除される主な理由としては、下記のものが挙げられます。
・アプリを使わなくなった
・必要なメモリ容量が多い
・動作が遅い
・不具合が多い
・セキュリティ上の懸念がある
・使いにくい
使いにくさや必要な機能の不足など、何を不満に感じるかはユーザーによっても異なります。
ただし、操作性の悪さや不具合、セキュリティ上の問題は特にユーザー体験に悪影響を及ぼすので、運用を開始してからも定期的に修正や更新を行い、安心安全かつスムーズに動作するよう、アプリの品質を保ちましょう。
オウンドメディアがアプリ化で進化!今こそ注目すべき理由とは?
オウンドメディアにアプリを導入する企業が増えつつありますが、なぜ注目が集まっているのか、不思議に思う方もいるでしょう。
ここでは、オウンドメディアのアプリ化に注目すべき理由を解説します。
スマホ時代の波に乗る!アプリ市場がオウンドメディアを変える
オウンドメディアは、商品やサービスに対するファンを作り出すために有効な手段ですが、課題やデメリットも存在します。
ユーザーのニーズに合わせた運営をすることが難しく、内容を充実させたとしても見てもらえないケースが起こり得るのです。その結果は、閲覧数が伸び悩むというデータとして顕在化します。
従来はWebサイトがオウンドメディアの主流を担っていましたが、近年、Webサイトへのアクセス数が確保できないケースも出てきています。
その要因として、ユーザーが日常的に使う端末が、パソコンからスマートフォンへ変化していることが挙げられます。
情報収集の手段もWeb検索からSNSや独自のアプリへと移り変わり、ユーザーをWebサイトへ誘導することが難しくなっているのです。
総務省による「令和5年通信利用動向調査」を見ると、スマホを保有している世帯の割合は90%を超えています。一方パソコンの保有率は、2014年の78.0%から10%以上低下し、65.3%です。
インターネット利用機器状況に関しても、パソコンからネットを利用している人は47.4%に留まるのに対し、スマホを利用してネットを利用している人は72.9%にも上ります。
スマホユーザーが増えていることから、アプリの利用も今後さらに増えていくと予想されます。
出典:「令和5年通信利用動向調査」(総務省)
未来を見据え、拡大を続けるアプリ市場のトレンドを押さえる
次に、2024年にフラー株式会社が発表した「アプリ市場白書2023」の調査結果を見ていきましょう。
・1日におけるアプリ起動回数:121回
・1日におけるアプリ利用時間:5時間
・1カ月におけるアプリ利用個数:47個
アプリの起動回数に関しては、2022年度から17回もアップしています。どの項目も増加傾向にあることから、アプリ市場が活性化していると推察されます。
アプリの利用がより一般的になり、市場も拡大を続けている今なら、オウンドメディアのアプリ化を進めることで得られるメリットも大きいでしょう。
出典:「アプリ市場白書2023」(フラー株式会社)
アプリ化を成功させる秘訣とは?
最後に、オウンドメディアのアプリ化を成功させるためのポイントをご紹介します。
アプリの目的と機能をクリアにする
アプリ化を進めるにあたっては、アプリによって達成したい目的を明確にする必要があります。
・集客をアップする
・的確な情報を届ける
・サービスの認知度を上げる
・新規ユーザーを獲得する
・ユーザーの意見を集める など
企業によって目的は違うため、まずは自社における目的を明文化して、プロジェクトチーム全体に浸透させましょう。
目的が定まれば、必要な機能や配信すべきコンテンツも自然と見えてきます。アプリに搭載する機能やコンテンツが定まったら、それらも明文化と共有を行います。
ユーザーストーリーから機能設計を行う
アプリに必要な機能はユーザーストーリーから導き出しましょう。ユーザーのペルソナを設定して、アプリの利用シーンを想定します。
「興味のある記事にコメントを残したい」「移動中の隙間時間にニュースを確認したい」など、具体的なニーズを洗い出すことで、アプリが備えるべき要件を抽出していきます。
その後、優先順位をつけて開発を進めます。
アプリの差別化ポイントを明確にする
アプリとWebサイトの差別化ポイントを明確にすることも、アプリを成功させるうえでは重要です。
アプリ限定クーポンを配信したり、ポイントを獲得できるゲームを提供したりと、アプリならではの魅力を用意することで差別化ができ、Webサイトの閲覧のみ行っているユーザーをアプリに引き込めます。
まとめ
この記事では、オウンドメディアのアプリ化について解説しました。スマートフォンは幅広い世代の人たちに普及しており、アプリ市場も拡大を続けています。
そんな中で、オウンドメディアをWebサイトからアプリへと移行する企業も増えつつあります。
ブランドエンゲージメントの強化やリアルタイムな情報提供など、アプリの活用にはさまざまな魅力があります。
既存のWebサイトとアプリとを並行して運営し、効果的に使い分けることでユーザーのさらなる満足度アップが期待できます。
より多くのユーザーを集めてサービスの認知度拡大や集客アップを狙いたいのなら、ぜひオウンドメディアのアプリ化を検討してみてください。
株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。