オウンドメディアとメルマガの最新コンテンツマーケティング技術
オウンドメディアと相性がよいといわれる手法のひとつに、メールマガジン(メルマガ)の配信があります。
優良顧客を中心にアプローチができ、自社に関するさまざまな情報を届けられるためです。
この記事では「オウンドメディア×メルマガ」の重要性や効果的な活用法を紹介します。他企業の成功事例も取り上げるので、これらの活用を考えている企業は参考にしてください。
オウンドメディアとは何か?定義とその効果を解説
オウンドメディアとは、企業が運営するWebサイトやブログといったメディアの総称です。主にコンテンツを配信することで、ユーザーに有益な情報を届けるといった役割があります。
商品やサービスをリリースしても、自社の存在が認知されていなければ購入される可能性は低いでしょう。
認知度を高める方法として広告出稿もありますが、広告媒体の規定により、自由な運営がしにくいという制限があります。
オウンドメディアを持てば、自社の好きなタイミングで自由に情報発信ができます。
オウンドメディアと合わせてメルマガを活用する3つの大きなメリット
オウンドメディアに加えてメールマガジン(メルマガ)でも情報を発信することで、さまざまなメリットや相乗効果が得られます。主なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
・顧客との信頼関係を築ける
・パーソナライズされた情報を提供できる
・広告にかける費用を抑えられる
これらの要素が合わさることで、結果的に高いコストパフォーマンスを挙げられるようになります。メルマガの強みがより理解できるよう、以下ではメリットの内容を具体的に解説します。
顧客との信頼関係を築ける
まずメリットとして挙げられるのが、顧客との信頼関係を築きやすくなる点です。
読者がメルマガの投稿を気に入った場合、より詳細な情報を調べようとオウンドメディアに流入する可能性が高まります。
オウンドメディアのコンテンツが相手に刺されば、いち読者からファンへと変化するかもしれません。
一人のユーザーをファンにするには、相手が求めている情報を配信し届け続けることが大切です。常に質の高いコンテンツを届けられるよう、しっかりと内容を精査しましょう。
パーソナライズされた情報を提供ができる
メルマガ特有のメリットは、パーソナライズされた情報を配信できることです。メルマガでは登録者全員に同じ内容を届けるだけではなく、読者の特性に合わせた情報発信もできます。
いくら品質の高いコンテンツを発信しても、ユーザーのニーズに合わないと離脱につながってしまいます。
ファンを増やすには、顧客の属性(パーソナリティ)をしっかりと把握し、一人ひとりに合わせた情報を発信することが大切です。
個々のニーズに合わせた情報を継続的に届けられれば、各顧客との関係も良好になるでしょう。
広告にかける費用を抑えられる
メルマガで情報を発信することで、広告費を抑えられるというメリットもあります。
たとえばWeb広告を出稿する場合の費用相場は、媒体や種類によって異なるものの、最低限の出稿費用に抑えたとしても月額20万〜50万円です。
最低予算額を設定する必要もあり、金銭的な負担を感じる企業も少なくありません。
メルマガは仮にシステム費用が発生したとしても、月額1万〜3万円に収まるのが一般的です。コンテンツがビジネスによい影響を与えれば、コストパフォーマンスをさらに高められます。
オウンドメディアとメルマガを連動させる際のデメリット
ビジネスにさまざまなメリットをもたらしてくれるメルマガですが、運用そのものは決して簡単ではありません。
情報を発信し続けるのを難しく感じ、挫折してしまった企業も少なからずあるでしょう。
ここでは、オウンドメディアとメルマガを連動させるデメリットを解説します。メルマガを活用しようと考える企業は、デメリット面もしっかりと把握し、あらかじめ対策を練るようにしてください。
コンテンツ管理の手間が増える
まずメルマガを取り入れるデメリットとして挙げられるのが、コンテンツ管理の手間が増える点です。
オウンドメディアの管理だけでも、継続するには少なからず人的・時間的コストがかかります。そこにメルマガの投稿も加わると、特に人手が少ない企業では大きな負担になってしまうかもしれません。
ユーザーとのコンタクトポイントを保つうえでは、こまめなコンテンツ配信が不可欠です。ただしそのためには、従来の業務に加えて、トピック探しや文章作成の時間も確保しなければなりません。
途中でメルマガの配信を投げ出してしまわないよう、計画づくりの段階からチームが一丸となって進める必要があります。
配信頻度のバランスが難しい
配信頻度の調整が難しいのも、メルマガのデメリットのひとつです。先程も述べたとおりユーザーの離脱を防ぐためには、更新頻度は高いに越したことはありません。
しかし無理のある配信ペースを設定してしまうと、業務上の負担が大きくなるほかメルマガの質の低下にもつながり、長期的な継続が難しくなってしまいます。
もちろんメディア関係の仕事であれば、メルマガは毎日配信するのが基本です。しかし、メインの事業が情報発信でないなら、配信頻度は週1回〜月1回でも問題ありません。
メルマガの開封率や開封人数を改善したいと考える場合には、投稿頻度を見直すのもおすすめです。
過剰なプロモーションによる信頼の低下を招く
メルマガを配信する主な目的は、自社の商品・サービスの魅力を伝えることです。
コンバージョンを上げるためにも、コンテンツ内ではプロモーション(宣伝)を意識しないといけません。しかし魅力を伝えようと意識するあまり、プロモーションが過剰になる恐れもあります。
顧客の中には、執拗なセールスを行う企業に対して不信感を覚える人もいます。
オウンドメディアやメルマガは自由に発信できる媒体だからこそ、こういった失敗も犯しやすいので注意が必要です。
オウンドメディアとメルマガが果たす重要な役割とは?
オウンドメディアは、検索エンジンからの集客や情報発信を通じた認知度向上など、新規顧客獲得に役立ちます。
一方、メルマガは、登録ユーザーへの定期的な情報配信を通じて、顧客との繋がりを深め、良好な関係性を維持することに役立ちます。
ここでは、これらのコミュニケーションを掛け合わせることで、ビジネスでどのような役割が果たせるのかを詳しく解説していきます。
見込み顧客の育成促進になる
オウンドメディアおよびメルマガの役割のひとつとして挙げられるのが、見込み客の育成促進です。まずはメルマガを配信し、顧客が興味を持ってくれそうな情報を提供します。
続いてメルマガ内にオウンドメディアへのリンクを掲載することで、顧客をさらに深掘りした情報へと誘導できます。
例えばIT系のBtoB企業が、自社が開発したアプリの特徴をメルマガで発信したとします。
メルマガからオウンドメディアへの導線があれば、興味を抱いたユーザーが、アプリのメリットや導入事例といったオウンドメディア上の詳しい情報にアクセスできるようになり、エンゲージメント(契約)率を高められるかもしれません。
このように双方を上手く組み合わせれば、メルマガは顧客とコンタクトを取る手段、オウンドメディアは顧客を育成する手段として使い分けられます。
ブランドの信頼価値が向上する
オウンドメディアとメルマガとの組み合わせは、ブランディングの観点からも有効です。オウンドメディアで集客したあと、メルマガでも定期的な情報を提供し続けたとします。
そうすれば顧客から「出し惜しみせず、積極的に情報発信してくれる企業」と認識してもらえ、ブランドの信頼価値の向上が期待できます。
またオウンドメディアとメルマガでの情報発信は、顧客の企業や商品・サービスに対する理解度が高まる点でも有効です。自社の強みを理解してもらえば、顧客との信頼関係もより構築しやすくなります。
このようにブランディングを高めると、長期的にコンバージョン率を伸ばせる要因にもなります。
情報の一貫性には留意しつつ、「オウンドメディア×メルマガ」を上手く生かしながら価値提供をすることが大切です。
成果を引き出すオウンドメディア×メルマガの実践的活用法
オウンドメディアとメルマガを併用したとしても、決して簡単に成果を出せるわけではありません。ビジネスによい効果をもたらすには、実践的な活用法を理解する必要があります。
ここでは、特に企業に取り入れてほしい活用法を紹介します。
読者に価値ある情報を届ける
まず基本的な心がけとして、読者にとって価値のあるコンテンツを届けるように意識してください。
コンテンツを作成するうえでありがちなミスが、相手のニーズを考えられないことです。自らの書きたいことを優先し、相手の知りたい情報を一切扱わなければ、読者は興味を持てずに離脱してしまいます。
このような失敗を防ぐためにも、コンテンツを作る前に人々がどのような悩みを抱えているかをリサーチすることが大切です。
あらかじめペルソナ(商品・サービスを購入する人物像)を設定し、相手の理解力に合わせた文章作成を心がけましょう。
読者の悩みに寄り添うコンテンツを発信し続ければ、オウンドメディアへの流入数やコンバージョン数によい影響を与えやすくなります。
オウンドメディアの更新情報を効率的に届ける
ほかにもオウンドメディアの更新情報を、メルマガを通じて届けるといった使い方もあります。企業のWebサイトを毎日訪れ、更新情報を確認している顧客は多くありません。
そのため企業側から積極的に周知しないと、顧客はコンテンツが更新されたことに気付かないでしょう。
更新情報を知らせるために、SNSを使うのも一般的です。しかし先述したとおり、SNSだけでは情報が流れてしまう恐れがあります。
メルマガを配信すれば、一人ひとりの顧客に確実に情報を届けられます。更新情報を伝える際には必ずメルマガ内に該当のページのURLを貼り付け、オウンドメディアへの導線を確保しましょう。
なお、オウンドメディアで更新した情報の概要をメルマガに書いておくと、内容がより伝わりやすくなります。
メルマガの運用時に押さえるべき注意点とは?
効果の高いメルマガを配信するためには、押さえておくべきポイントもあります。ここではコンテンツ制作において、特に心がけてほしい注意点をまとめました。
売り込みすぎを避ける
コンテンツを作成する際には、過剰な売り込みを避けなければなりません。メルマガの主な目的は、読者が有益だと感じる情報を届けることです。
商品やサービスを過剰に売り込んだとしても、読者が必要性を感じなければ有益な情報とはいえません。むしろセールスを全面的に押し出すことは、顧客離れの要因にさえなりえます。
とはいえ、メルマガを通して自社の商品・サービスの認知度を上げるためには、それらの良さを伝える文が全くないのも望ましくありません。
成果を出すうえでは、セールス要素をバランスよく取り入れることが大切です。
バランスの取れたメルマガを作るには、冒頭に顧客の悩みに寄り添った文章を記載し、読者の共感を誘うのがおすすめです。
その悩みの解決法として、商品やサービスを紹介すると、自然とコンバージョンにつながりやすくなります。
文章を明確でシンプルにする
良質なメルマガの条件は、文章が明確でシンプルであることです。
BtoB企業においても、紹介したい商品・サービスについて、メルマガの読者はよく知らないというケースは珍しくありません。
専門用語ばかりを並べ、難解な文章にしてしまうとコンテンツを読んでもらえなくなります。
まずは相手にコンテンツの意図が伝わるように、なるべく一般的でわかりやすい言葉を用いましょう。専門用語を使うときは、近くに簡潔な説明を添えるとよいでしょう。
さらに読みやすい文章にするには、PREP法を用いるのがおすすめです。
PREP法とは「Point(結論)→Reason(理由)→Example(論拠)→Point(結論)」の順番で文章を作る方法を指します。結論部分を先に伝えることにより、コンテンツの要点がわかりやすくなります。
ほかにも、契約するメリットを最初に伝える「BEAFの法則」や読者のアクションを促す「4Uの法則」なども有効です。
PDCAサイクルを意識したアプローチを取る
マーケティング手法としてメルマガを用いる際にはPDCAサイクルも意識しましょう。
PDCAサイクルとは「Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Action(改善)」を、繰り返し行う方法のことです。
まずはメルマガを配信する前に、KPI(中間目標)やKGI(最終目標)を設定します。これらの目標を達成するために、どういったツールが必要かも計画段階で見定めましょう。
つい犯しがちなミスとして、配信したまま効果を分析しないことが挙げられます。メルマガを配信したあとは、オウンドメディアがどの程度のリード数やクリック数を得られたかを確認してください。
効果測定においては、タイトルや内容(HTML装飾の有無も含む)を変えた複数のコンテンツを作り、それぞれの成果を比較するA/Bテストも有効です。
セキュリティを強化して顧客情報を守る
メルマガを配信するためには、顧客のメールアドレスなどの個人情報を管理しなければなりません。
堅固なセキュリティ対策を取らなければ、これらの情報が漏洩するリスクも高まります。顧客の重要な情報を持っていることを自覚し、厳重に管理してください。
セキュリティ対策において、企業が注意すべき要素のひとつがスパムメールです。
見知らぬアドレスから添付ファイルやリンク付きURLが送られてきても、決して開いてはいけません。PCがウイルスに感染し、個人情報を盗まれる恐れがあります。
個人情報の管理については、個人情報保護法やサイバーセキュリティ基本法などにより、企業が講じるべき対策が規定されています。
必要があれば弁護士等の法律の専門家も頼り、決して対策を怠らないようにしましょう。
運用体制を確立する
オウンドメディアおよびメルマガは、長く継続することで徐々に成果が表れてくるものです。
運用体制を定めるにあたっては、少数の担当者のみに任せるよりも、できるだけ多くの人が関わるようにする方が、長期的かつ安定的にコンテンツを生み出しやすくなります。
コンテンツ制作においては、次のように役割を分けておくとよいでしょう。
役割 | 業務内容 |
ディレクター | 運営の方向性をメンバーに伝え、コンテンツを最終チェックする |
システム管理者 | オウンドメディア構築、メルマガ配信等の設定を行う |
ライター | コンテンツを制作する(場合によっては構成案も作成) |
校正者 | ライターの執筆した文章をチェックする |
データ解析者 | オウンドメディアを分析し、成果がどのくらい出ているかを調査する |
多くのメンバーで力を合わせ、ユーザーファーストのオウンドメディアを運営してください。
メルマガの活用でオウンドメディアが大成功したケース
オウンドメディアとメルマガを運営する際には、過去に大成功した企業を参考にすることが大切です。ここでは「PR TIMES」と「TABI LABO」の事例を紹介します。
それぞれの企業が成功を収めた要因をしっかりと押さえましょう。
PR TIMES
「PR TIMES」は株式会社PR TIMESのオウンドメディアで、クライアント企業のニュースやプレスリリースを提供しています。
当該企業の特徴として、メディア関係者と個人消費者という2つのユーザー層に対して、別々にメルマガを配信している点が挙げられます。
メディア関係者に対しては、専門的な視点に立ったメルマガを届けています。一方で個人消費者には、興味を引きやすい最新情報を中心とするメルマガを配信しています。
このように読者の立場やニーズに合わせて、種類の異なるメルマガを配信する方法もあります。
TABI LABO
「TABI LABO」はNEW STANDARD株式会社のオウンドメディアで、世界中の文化やライフスタイルを発信しています。
当該企業は、メルマガ購読者限定のプレゼントキャンペーンを積極的に実施しています。加えてメルマガでしか読めない記事を用意するなど、メルマガ購読者の獲得に力を入れているのが特徴です。
メルマガの購読を促し、さらにそこからオウンドメディアへと誘導したり、いちユーザーをファンにしたりするには、魅力的なコンテンツやキャンペーンの発信が欠かせません。
TABI LABOの事例のように、メルマガ購読者限定のサービスを考えておくこともおすすめです。
まとめ
記事で説明したように、オウンドメディアとメルマガは組み合わせることで相乗効果を発揮します。
特に優良顧客へのアプローチを重視したいのであれば、積極的にメルマガを用いるとよいでしょう。
しかしメルマガを使って成果を出すには、ただコンテンツを制作・配信すればよいわけではありません。ユーザー目線に立ちつつ、要点が分かりやすい記事を、継続的に提供する必要があります。
とはいえ何も参考にせず、最初から質のよいコンテンツを制作できる人はほとんどいません。
成功事例を参考にしたり、PDCAサイクルを回したりすることで、自社に適した運用ノウハウが蓄積されていくのです。ぜひ失敗を恐れずにチャレンジしてください。
株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。