カスタマージャーニーとは?Customer Journeyのメリットや作り方を徹底解説
ユーザー理解を深める思考法の1つ「customer journey(カスタマージャーニー)」をご存じでしょうか?
昨今マーケティング業界ではよく耳にする言葉ですよね。直訳では、「顧客の旅を意味します。今回は、customer journeyのメリットや作り方」を解説していきます。マーケティング関係のお仕事の方や、自社のマーケティングにお悩みの方はぜひ参考にしてください。
マーケティングにおけるcustomer journeyとはどんな概念を指すのか
customer journeyは、マーケティングにおいてユーザーがサービスに興味、関心を示し商品を購入するまでのプロセスを指します。具体的にはユーザーがどのように商品やサービスを認知し思考を巡らせ、購入に至るのかを表したものです。
まずは、自社のサービスや商品のユーザーモデルであるペルソナを設計し、そのペルソナにあわせた動きを想定しながら組み立てます。
従来ならばペルソナ設定だけで済んでいたかもしれませんが、インターネットの普及とともにペルソナ設定だけでは施策を打ち出す上で不十分になりました。
理由としてはユーザーが様々な情報に触れられるようになり、接点が多様化したためです。多種多様になったプロセスを明確化することをcustomer journeyと呼び、可視化させたマップを「customer journeyマップ」と呼びます。
customer journeyマップを作成するメリット4つ
customer journeyは、マーケティングの施策を打ち出す前の重要な下準備であるとご理解いただけたと思います。
では、customer journeyを明確にし可視化させたcustomer journeyマップを作成すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。4つに分けてご紹介していきます。
メリット①顧客の購買行動への理解が深まる
customer journeyマップを作成すれば、顧客の購買行動への理解が一層深まるでしょう。顧客の思考・感情・行動を俯瞰してマップ化すると、表面的な数字や行動だけでなく顧客が何を感じ、どのように行動したのかを確認できるからです。
商品やサービスを販売するうえで、顧客理解は大切です。理解が深ければ深いほど、より効果的なマーケティング施策に繋げられます。
メリット②顧客目線のサービスを生み出すきっかけになる
顧客の購買行動を可視化することで、マーケティングに顧客目線を取り入れることが可能です。
customer journeyマップを作成する過程では顧客の目線に立ち、仮説を立てる必要があります。線で繋がれた顧客の購買行動をヒントに、より顧客に近い感覚でマーケティング施策を打ち出せます。
売り手側に立つとどうしても顧客目線より、売り手の意見や企業の目線が入ってしまうことが多いです。customer journeyマップを活用することで、顧客目線を再確認できます。
メリット③従来の方法ではつかめなかった顧客行動に気づくことができる
顧客目線に立ったcustomer journeyマップを作成できれば、従来の方法では分からなかった顧客行動の発見にも繋がるでしょう。
インターネットが普及した現代ではSNSや動画広告なども認知や購買のチャンスとなります。customer journeyマップではどのような形で顧客と接触し購買に至る可能性があるかを明らかにできるので、様々な顧客行動に対応が可能です。
メリット④社内の関係者で課題への認識を共有できる
最後のメリットは、社内の関係者で課題への認識を共有できる点です。customer journeyマップを作成するには、様々な意見が必要となります。1人で作成してしまうと意見が凝り固まってしまいがちなため、複数人で作成することがベターです。
チームで意見を出し合い作成することで、より豊富な情報を含んだcustomer journeyマップを作成できます。顧客の購買行動が可視化されることで、課題への認識を共有できるため、施策もスムーズに進められるでしょう。
customer journeyマップの「作り方の流れ」をおさえよう
次に、customer journeyマップの作り方の流れを紹介していきます。作成方法が分からない方は、ぜひ参考にしてみてください。
ステップ①ペルソナ設定を行なう
まず最初に、ペルソナ設定を行いましょう。ペルソナ設定とは、顧客モデルの年齢・性別・職業はもちろん、家族構成や趣味嗜好など詳細まで設定し、顧客をより具体的にイメージすることです。
ペルソナ設定は、顧客のイメージモデルとなります。そのため、customer journeyマップ作成だけでなく、マーケティング施策を練る上で重要なのでしっかりと作成しましょう。
ステップ②作成の目的からゴールを定める
続いて、作成の目的からゴールを定めましょう。作成の目的は、何でしょうか。認知拡大や資料請求、売り上げアップなど目的によってゴールは変わります。ゴールによって仮説として出る顧客行動や収集するデータも変わるため、作成前にゴールを定めるようにしましょう。
ステップ③縦軸(顧客の行動や思考について)を決める
下準備が完了したら、実際にcustomer journeyマップの枠組みを作成しましょう。縦軸は「顧客との接触ポイント」「顧客の行動や思考」「実際の課題」が入ります。商品やサービス、またゴールによっても項目は変わるため、状況や目的によって項目は変化します。
基本的に顧客が情報にどう接触し、顧客はどう動き、どう思ったのかを記載するといいでしょう。
ステップ④横軸(購買行動プロセス)を決める
横軸には、購買行動プロセスを記入しましょう。「認知→興味→比較→購買」というように商品やサービスを認知してから、購買するまでのアクションを時系列に並べます。
縦軸と違い顧客が購入するまでの動きのみにフォーカスし、項目を作成するのが横軸です。ただ、横軸も商品やサービス、またゴールによっても変わるため、状況や目的によって項目を変えましょう。
購買プロセスであるマーケティングファネルについて知りたい方はこちら
ステップ⑤各購買プロセスでの顧客の行動を洗い出してまとめる
縦軸と横軸を定めたら、customer journeyマップの枠組みは完成です。次は、マップの中身を整理していきます。
横軸で定めた購買行動プロセスに合わせて、縦軸で定めた顧客の行動や思考を洗いだします。どのように認知したのか、どこに興味を持ったのかなど思いつく限りたくさん挙げるのがおすすめです。
洗いだした行動・思考から、重複するものをまとめたり、より顧客目線に近しいものを整理していくと分かりやすいでしょう。
ステップ⑥具体的なタッチポイント(顧客との接点)を検討・設定する
顧客の行動や思考が整理できたら、次に具体的なタッチポイントを検討し設定していきます。
タッチポイントとは顧客との接点のことであり、商品やサービスと顧客が触れ合う場面です。取り扱っている実際の店舗や公式ウェブサイトはもちろん、ECサイトやSNSなども挙げられるでしょう。
タッチポイントを検討する際、ペルソナをしっかり設定することが大切です。ペルソナが20代女性であれば、ウェブ上でのタッチポイントが多くなるでしょう。ペルソナをしっかりと描き、より具体的なタッチポイントを検討することが大切です。
ステップ⑦マッピングして仕上げる
customer journeyマップの枠組みと内容が完成したら、次はマッピングを行います。マッピングとは、規則に基づいて配置を整えたり関連付けたりすることです。
洗いだした顧客の行動や思考と顧客との接点を、customer journeyマップの枠組みに当てはめていきます。課題や改善策を考えながら、記載していくと良いでしょう。
目的を達成するためのcustomer journeyマップなのでプロセスごとに起こりえる課題を考えておくと、達成に近づくための行動がスムーズになります。
customer journeyマップ作成と活用のポイント
次に、customer journeyマップ作成と活用のポイントに関してご説明していきます。ポイントをしっかり押さえることで、質の高いcustomer journeyマップに仕上がるので、ぜひ参考にしてください。
ポイント①企業側の願望は反映させない
まずは、企業側の願望は反映させないことです。前述したように、customer journeyマップのメリットは顧客理解が深まることです。customer journeyマップに企業側の「こう動くだろう・感じるだろう」という願望が入ってしまうと、顧客理解から遠ざかります。
ペルソナを設定し分析すること、既存顧客への情報収集などを綿密に行い事実に基づいたデータで作成することが大切です。
ポイント②最初はラフに作り段階的にブラッシュアップ
customer journeyマップは、ラフに作成してから段階的にブラッシュアップしましょう。作成の流れと作成方法のご説明でお気づきかと思いますが、customer journeyマップの作成は、手間と時間がかかります。
情報収集や整理、チームでの話し合いなども必要になるため、最初から完璧に仕上げようとするとより時間を要します。足りない部分が明確になったら、再度調査を行いブラッシュアップするのがおすすめです。
ポイント③チームを作って複数人で作成する
customer journeyマップを作成する際は、チームを作って複数人で作成しましょう。前述したように1人でcustomer journeyマップを作成すると、独りよがりなものになりかねません。
できれば対象の目的に関わる全ての人を巻き込み、作成することがベターです。チームで作成することで、客観的かつ顧客目線に近づけるでしょう。
ポイント④定期的にアップデートする
作成したcustomer journeyマップは、定期的にアップデートしましょう。顧客の動きは、時代や環境、更に流行や季節によっても変化します。
一度作成したcustomer journeyマップをそのまま使い続けてしまうと、古い顧客像を前提としたのままマーケティング施策を練ってしまう可能性があります。
定期的にデータ収集を行い現在の顧客の動きとcustomer journeyマップは近しいかを確認し、ブラッシュアップの必要があれば対応しましょう
チームでカスタマージャーニーマップを作るときのおすすめツール
miroという海外ツールがおすすめです。様々なテンプレートの中から使いやすいものを選び、クラウド上で共有できます。カスタマージャーニーのテンプレートもあるので使用してみるとよいでしょう。条件次第で、一部無料で使うこともできます。
日本語版ですと株式会社グッドパッチが提供されているStrapもおすすめです。miroと同様、クラウド上でチーム内でカスタマージャーニーを作成することができるでしょう。日本人がよく使うテンプレートが豊富でしょう。
customer journeyマップの作成で参考にできる2つのフレームワーク
customer journeyマップを作成する際に、ぜひ参考にしてほしい2つのフレームワークをご説明します。マーケティングを行う上で基礎となる、購買行動の法則とも呼ばれているので、ぜひ確認してください。
参考①AIDMA(アイドマ)
「AIDMA(アイドマ)」は、「A:注目」「I:関心」「D:欲求」「M:記憶」「A:行動」という5個の単語が組み合わされたフレームワークです。
顧客は認知(注目)し、関心を持ち、欲しいという欲求とともに商品を覚え(記憶)、購入(行動)するという一連の流れを表しています。
参考②AISAS(アイサス)
次は「AISAS(アイサス)」です。インターネット普及直後から唱えられていて「A:注目」「I:関心」「S:検索」「A:行動」「S:共有」という、5個の単語が組み合わさっています。
検索や共有というインターネットに関連した単語が入っているのが特徴です。インターネット普及が進み、ユーザーにとってネット環境が身近になった影響で、ユーザーの購買行動に変化が起こりました。ぜひcustomer journeyマップ作成を進める際の参考にしてください。
customer journeyから導き出すKPIとは
次に事業や施策を行う上で大切な「KPI」に関してご説明します。customer journeyマップとKPIはセットで考えたほうが施策が練りやすいので、ぜひcustomer journeyマップから導き出すようにしてください。
KPIとは重要目標達成指標のこと
KPIとは、重要目標達成指標のことです。イメージとしては、目標達成に向けてどこまで進んでいるかを計る指標を指します。
例えば、1か月後に資格取得する為、毎日5ページ勉強すると決めたとします。この場合は1か月後に資格取得するという目標達成のために、実行すべき“1日5ページ勉強”というミッションが定められました。
順調に資格取得の勉強を進められているか、ページ数というKPIで計れるということです。
customer journeyマップからKPIを設定しよう
customer journeyマップを作成するときには、同時にKPI設定するのがおすすめです。理由としては、customer journeyマップは商品やサービスを顧客に提供するという目的のもと、顧客の行動プロセスをマップ化します。
KPIがあると対象の顧客が目的に向かって、プロセスを踏んでいるか確認する指標となるからです。KPIを設定するには、顧客が次の購買プロセスに移ったと証明できる指数を計ることがポイントになります。
認知から興味のプロセスに移ったか確認するKPIとしては、商品やサービスにもよりますが、公式サイトへのメルマガ登録や、ブックマークなど数値として測れる指標を設定するのがおすすめです。
まとめ
今回は、Customer Journeyのメリットや作り方をご説明しました。マーケティング施策を実施するうえで、顧客の購買行動理解や、顧客目線を持つことは大切です。
商品やサービスを売り込むことばかり先行してしまうと、忘れてしまうこともあるでしょう。そのようなことがないようcustomer journeyマップを作成し、チームでしっかり共有することが大切です。ぜひ本記事を参考にし、作成してみてください。