オウンドメディアで動画を効果的に活用しよう|事例やコツをご紹介

「オウンドメディアで動画を活用するメリットを知りたい」
「実際に動画を活用して成功している企業事例を知りたい」
本記事は、上記のような悩みを抱えている方に向けた記事です。
インターネットの普及によりユーザーのニーズが変化したことで、多くの企業がオウンドメディアを活用したマーケティング活動を行うようになりました。
その一環として注目を集めているのが動画マーケティングです。動画は、テキストや画像よりもユーザーの感情に訴求しやすく、新規顧客の獲得や競合他社との差別化を図るためには欠かせません。
そこで、本記事ではオウンドメディアに動画を活用するメリットとデメリット、動画活用における注意点を細かく解説していきます。記事後半では、実際にオウンドメディア内で動画を活用して成功している企業事例もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
オウンドメディアで動画を活用するメリットとは?
まず、企業がオウンドメディアに動画を活用するメリットを4つ解説していきます。
・文章よりも情報が伝わりやすい
・印象に残りやすいため拡散されやすい
・サイトの滞在時間が延びる
・SEO効果が期待できる
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
文章よりも情報が伝わりやすい
コンテンツに動画を活用することで、文章よりも短時間でより多くの情報を伝えられるといったメリットがあります。
実際、科学的な研究では、動画が文章よりも5,000倍の情報量を伝達できることが明らかになっています。
米Forrester Research社のJames L. McQuivey博士が2014年に発表した、動画の伝達能力に関する研究結果によれば、1分間の動画内で伝えられる情報量は文字にすると180万語、Webページでは約3,600ページ分に相当すると示されました。
さらに、米心理学者のアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、人間は「視覚情報:55%」「聴覚情報:38%」「言語情報:7%」の割合で情報を受け取っているとされています。
これらの事実から、効果的なコミュニケーションを実現するためには、動画の活用が不可欠です。
印象に残りやすいため拡散されやすい
オウンドメディアに動画を活用すると、ユーザーの印象に残りやすくSNSなどで拡散されやすいといったメリットもあります。
人間の記憶の定着率についてはさまざまな研究結果が出ていますが、ここではその1つとして「ラーニングピラミッド理論」を取り上げます。
ラーニングピラミッド理論は、異なる学習方法が人間の記憶にどのように影響するかを示す教育理論の1つです。
この理論によれば、人間は文章よりも動画から得た情報の方が2倍も記憶に残りやすいとされており、視覚と聴覚を刺激することが記憶の定着に有効だといわれています。
したがって、動画を用いた情報伝達はユーザーに強く印象付けることができるため、SNSなどの媒体での情報拡散が期待できるのです。
サイトの滞在時間が延びる
オウンドメディアで動画を活用することで、ユーザーのサイトの滞在時間を延ばせることもメリットの1つです。
動画は視覚的な要素を豊富に含んでいるため、情報をより分かりやすく魅力的に伝えることができます。これにより、ユーザーは動画の内容に引き込まれやすくなり、結果的にサイト上での滞在時間が長くなるのです。
また、一般的にサイト上での滞在時間が延びるとコンバージョンにもつながりやすいとされています。これは、ユーザーに自社の製品やサービスの利点などの情報をより多く提供できるためです。
このように、動画の活用はサイトの滞在時間を延ばせるだけでなく、コンバージョンを獲得するためにも有効な手段といえます。
SEO効果が期待できる
オウンドメディアで動画を活用することで、SEO効果が期待できるとされています。
具体的には、ユーザーが検索したキーワードに沿った動画をページ内に組み込むことで、検索エンジンからの評価が高まり上位表示されやすくなります。
ただし、サイト内に動画が多すぎるとページの読み込みに時間がかかってしまい、ユーザーがページから離脱してしまう恐れもあるので注意が必要です。
そのため、ユーザーにとって価値ある動画のみに絞って掲載をしましょう。
オウンドメディアで動画を使うデメリットを知ろう
ここからは、オウンドメディアに動画を活用するデメリットを2つ解説します。
・サイト運営のコストがかさむ
・最後まで視聴してもらえないケースがある
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
サイト運営のコストがかさむ
オウンドメディアで動画を活用することは、ユーザーを自社サイトに惹きつける有効な方法ですが、文章よりも制作費がかかってしまうといったデメリットがあります。
動画制作を自社で行うか外部に委託するかによっても異なりますが、いずれにしても文章に比べると多額の制作コストが発生します。場合によっては、1本の制作に数十万円かかってしまうこともあるでしょう。
ただし、コストを抑えたいがために動画の品質を犠牲にすることはおすすめできません。
クオリティの低い動画(映像が暗い、伝えたいことがよく分からない、ナレーションが聞き取りにくいなど)はユーザーのストレスとなり、企業に対してマイナスなイメージを与えてしまう恐れがあるため注意が必要です。
以上のことから、オウンドメディアの動画制作では、いかに質を落とさず低コストで制作できるかが重要となります。
最後まで視聴してもらえないケースがある
コストと手間をかけて制作する動画ですが、全てのユーザーが必ずしも最後まで見てくれるとは限りません。
ユーザーの検索意図に合った動画でなければ、どれだけクオリティの高い動画であっても見てもらうことはできないでしょう。そのため「誰に向けた動画なのか」を制作前にしっかりと明確にし、そのターゲットユーザーが求めている情報を動画内に盛り込むことが大切です。
また、一般的に動画は長くなればなるほど最後まで視聴する人の数が減る傾向にあるといわれています。
米マーケティング企業Wistia社の調査によると、1分以内の動画は約70%のユーザーが最後まで視聴しているのに対し、5〜10分だと約60%、30分では約30%にまで減少することが分かっています。
この結果から分かるように、ユーザーに飽きさせず最後まで見てもらうには、動画の内容だけでなく長さも工夫しなくてはなりません。
短ければ短いほど良いというわけではありませんが、ユーザーに最後まで見てもらうことを考えれば、長くても10分前後にまとめるとよいでしょう。
オウンドメディアで動画を活用する際の注意点とは?
ここからは、オウンドメディアで効果的に動画を活用するために注意すべきポイントを4つご紹介します。
・ターゲットを絞り、目的を設定して動画を制作する
・効果測定をきちんと行う
・動画制作のリソースを確保しておく
・著作権を侵害しないよう注意する
それでは1つずつ細かく見ていきましょう。
ターゲットを絞り、目的を設定して動画を制作する
オウンドメディアで効果的に動画を活用するためには「動画を視聴してもらいたいターゲットは誰なのか」「何のために動画を活用するのか」を明確にすることが大切です。
動画活用の目的には、主に以下のようなものが挙げられます。
・マニュアル動画で自社の商品/サービスに対する理解度の向上
・SNSでの動画拡散によるブランド認知の向上
・インタビュー動画でユーザーからの信頼向上
・動画から直接コンバージョンにつなげる
また、動画の目的に合わせてKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)も設定しておきましょう。
KPIは、目標達成に向けての進捗状況を把握する上で重要な指標となります。例えば、ユーザーの理解度向上が目的の場合は、総再生回数や再生完了率、総再生時間などの指標がKPIとなります。
効果測定をきちんと行う
効果的に動画を活用するためには、必ず効果測定を行いましょう。
設定したKPIが達成されているかを定期的に測定することで、問題が発生した場合でも「何を、どのように」軌道修正していくべきかが明確になります。
例えば「SNSでの動画拡散によりブランド認知の向上」が目的であれば、動画の再生回数や視聴人数、SNSでシェアされた回数、いいねされた回数などを測定し、KPIの達成度合いを確認する必要があるでしょう。
このように、定期的な効果測定を行うことでPDCAを回しながら効果的な運用が可能となります。なお、PDCAはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の略で、継続的な改善を図るためのフレームワークとして、ビジネスの幅広い場面で活用されています。
動画制作のリソースを確保しておく
動画制作を内製化する場合は、リソースの確保が必要です。
動画制作には、企画・撮影・編集・音声編集・配信などさまざまなスキルや知識が必要なため、動画制作に精通した人材の確保が不可欠です。
他にも、動画編集ソフト・カメラ・マイク・照明などの機材や、それらの機材にかかる費用・スタッフの給与など予算も用意しなければなりません。
このように、動画の制作・編集には多くのリソースを投入することとなるため「これだけのリソースを動画制作に割けない」と考えている企業も多いでしょう。そういった場合は、制作作業の全てもしくは一部のみを外部に委託する選択肢もあります。
著作権を侵害しないよう注意する
オウンドメディアに動画を活用する際は、著作権を侵害しないよう注意を払う必要があります。
なぜなら、動画には画像や音楽、音声、キャラクターなどあらゆる素材が使われており、その一つひとつの素材が著作権で保護されているためです。
そのため、自社で制作する場合は「その素材が自由に使えるものなのか」「誰に許可を得る必要があるのか」を必ずチェックしましょう。
また、動画制作を外部に委託する場合は、動画の著作権が誰に帰属するのかをはっきりさせておかなければなりません。動画の場合は制作会社に著作権が帰属する場合が多く、動画の使用範囲が限定されることもあります。
意図していなくても著作権を侵害してしまうと、罰則が科せられる可能性があるので注意しましょう。
オウンドメディアで動画を効果的に活用しているサイトを7つご紹介!
ここからは、実際にオウンドメディア内で効果的に動画を活用しているサイトを7つに絞ってご紹介します。
自社オウンドメディア内で動画の活用を検討している方は参考にしてください。
kurashiru(クラシル)
クラシルは、dely株式会社が運営するレシピ動画サービスです。
「くらしをおいしく、あたたかく」をコンセプトに、簡単に美味しくつくれる料理レシピを120,000件以上掲載しています。
レシピ詳細ページには、文章説明だけでなく30秒〜1分程度のショート動画を活用し、料理初心者〜上級者まで誰もが真似できるレシピ配信を行っています。
2016年にサービスを開始して以降、ユーザー数は右肩上がりとなっており、アプリ版では4,000万ダウンロードを突破しました(2023年6月15日時点)。
アプリやWeb版ではショート動画、自社運用のYouTubeでは10分以上の動画を配信するなど、各メディアの特性を活かした配信がなされています。
サイト名 | kurashiru(クラシル) |
運営会社 | dely株式会社 |
URL | https://www.kurashiru.com/ |
コナミメソッドまとめ
コナミメソッドまとめは、コナミスポーツ株式会社が運営するオウンドメディアです。
ダイエットに興味がある方や腰痛・肩こりに悩んでいる方、運動ができるようになりたいと考えている子どもを持つ保護者をターゲットに、運動にまつわる正しい知識やノウハウを紹介しています。
文章だけでは伝わりづらい正しいトレーニングのフォームやポイントをお手本動画にすることで、ユーザーが運動をより正確かつ効果的に行えるよう工夫している点がポイントです。
また、同じトレーニングであっても各ポイントごとに動画を分けることで、「見たい部分だけをすぐに閲覧できる」というユーザーの目線に立った構成になっています。
サイト名 | コナミメソッドまとめ |
運営会社 | コナミスポーツ株式会社 |
URL | https://www.konami.com/sportsclub/method/ |
となりのカインズさん
となりのカインズさんは、大手ホームセンターチェーンの株式会社カインズが運営するオウンドメディアです。
カインズの従業員や顧客、取引先、クリエイターなど、カインズに関わる人々を”カインズさん”と位置づけ、それぞれの立場から暮らしづくりに役立つ情報を発信しています。
カインズで取り扱っている商品を中心に、DIY工作材料の紹介やアイデア商品などを面白く発信しているのが特徴で、ホームセンターならではのわくわく感をコンテンツ内で表現しています。
実写映像だけでなくアニメーション映像なども活用しながら、他のメディアにはないシュールさやギャグセンスの高さから多くのユーザーに親しまれているサイトです。
サイト名 | となりのカインズさん |
運営会社 | 株式会社カインズ |
URL | https://magazine.cainz.com/ |
Panasonic
Panasonicは、大手電機メーカーのパナソニック株式会社が運営するオウンドメディアです。
同社の商品ページでは、テキスト情報だけでなく画像や動画を用いて商品の機能や特徴、使い方などを紹介しています。
例えば、ヘアアイロンであればスタイリングごとの使用方法を、掃除機では仕様や特徴を動画で発信することで、ユーザーが知りたい情報を的確かつ短時間で伝えているのが特徴です。
また、動画の活用でユーザーのサイト滞在時間を伸ばし、購入意欲を向上させる工夫もなされています。
サイト名 | Panasonic |
運営会社 | パナソニック株式会社 |
URL | https://panasonic.jp/ |
RedBull
RedBullは、エナジードリンクを販売するレッドブル・ジャパン株式会社が運営するオウンドメディアです。
音楽ライブやモータースポーツ、ゲームなどを中心に、さまざまなジャンルのオリジナル記事・動画を発信しています。
自社商品であるエナジードリンクについては特に触れず、上記のようなエンターテインメントをあえてメインテーマとすることで、幅広い顧客層にアプローチしているのが印象的です。
大迫力のスポーツ映像などを配信し、自社ブランディングに成功しているサイトといえます。
サイト名 | RedBull |
運営会社 | レッドブル・ジャパン株式会社 |
URL | https://www.redbull.com/jp-ja/ |
トヨタイムズ
トヨタイムズは、トヨタ自動車株式会社が運営するオウンドメディアです。
自社の取り組みや最新ニュースだけでなく、スポーツやテクノロジーなど、幅広い情報を発信しています。
動画は1分前後のものから30分を超えるものまで幅広く、月4本〜5本を目安に配信していることが伺えます。
テレビCMやWebサイト、YouTube、SNSなどさまざまなメディアを連携させ、トヨタのより深い情報まで発信しているのが特徴的です。これにより、今まで獲得できていなかったユーザー層へのリーチを成功させています。
サイト名 | トヨタイムズ |
運営会社 | トヨタ自動車株式会社 |
URL | https://toyotatimes.jp/ |
Vogue Japan
Vogue Japanは、合同会社コンデナスト・ジャパンが発行するファッション雑誌「Vogue」のオウンドメディアです。
雑誌だけでは伝えきれないトップモデルや有名女優などへの独占インタビュー動画や、Vogue Japanでしか見られないメイク動画などが配信されており、世界的に幅広いユーザーから支持を集めています。
動画は10分前後のものが多く、動画が視聴できない、もしくはどのような内容の動画なのかを素早くキャッチしたいユーザーのために、テキストによる説明も付いています。
サイト名 | Vogue Japan |
運営会社 | 合同会社コンデナスト・ジャパン |
URL | https://www.vogue.co.jp/ |
まとめ
本記事では、オウンドメディアに動画を活用するメリットと注意点の他、実際に動画を活用している企業の成功事例をご紹介しました。
動画は短時間でより多くの情報をユーザーに届けられるため、オウンドメディアで自社ブランディングや新規顧客の獲得を狙う企業にはぜひ取り入れてもらいたい手法の1つです。
しかし、ただ動画を組み込めばよいわけではなく、きちんとターゲットや目的に合った質の高い動画を制作する必要があります。
自社制作か外部委託かは、企業の目的や予算などの状況により異なりますが「よりクリエイティブな動画をつくりたい」「直接コンバージョンにつながるような動画を制作したい」という場合は、プロの力を借りることをおすすめします。

株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。