マーケティングファネルの全体像とは?最新事情から活用方法まで解説
「マーケティングファネル」という単語をご存じですか?意味や活用法がしっかり理解できていると、自社の施策や改善に役立てられ、非常に便利です。そこで今回は「マーケティングファネルの全体像とは?最新事情から活用方法」を解説します。
ぜひ本記事を参考に、マーケティングファネルについて理解を深めてください。
マーケティングファネルとは?全体像をわかりやすく解説
マーケティングファネルとは「認知→興味→比較検討→行動」という、4段階の購買プロセスを指します。ファネルは、直訳で「漏斗(ろうと)」という意味で、口の小さい容器に液体を注ぐ際に使う器具のことです。
マーケティングで得たユーザー、または商品やサービスを認知したユーザーは、購買プロセスを踏むごとに確度の高いユーザーに絞られていきます。
そして、より確度の高いユーザーが、最終の購買まで行きつく様が、漏斗の形状に似ていることから、マーケティングファネルと呼ばれています。
どう買う?あなたが物を買うときの購買プロセス
では具体的に、購買プロセスをイメージしてみましょう。例として、自宅の洗濯機が壊れてしまった為、新しい洗濯機の購入を検討するとします。洗濯機は多くの家電メーカーが出しているため、様々な手段で情報収集をするでしょう。
インターネットで調べたり、実際に家電量販店に足を運んで商品を見たり、説明を聞き、各メーカーの洗濯機の情報を仕入れます。この段階が1段階目のプロセス「認知」にあたります。
様々なメーカーの洗濯機の情報を手に入れると、特に気に入ったものや、関心を持ったものが出てくるでしょう。
例えば「○○メーカーの洗濯機は、安価で容量が大きく、まとめ洗いしやすい」とか「△△メーカーの洗濯機は、少し値が張るが全自動で手間が省ける」など、特定の商品に興味関心を抱き始めます。この段階が「興味」のプロセスです。
次に、特定の商品を更に検討し始めます。予算や大きさ、使いやすさはもちろん、実際の口コミなど調べ、興味を持った商品同士を「比較検討」する、3段階目のプロセスにあたります。
様々なメーカーの洗濯機を認知し、特に興味を引かれる商品に出会い、比較検討を行いました。3段階のプロセスを経て、もっとも購入に適していると考えた洗濯機を購入します。この購入という段階が最後のプロセス「行動」にあたります。
上記のように、購買までの消費者の行動を表しているのが、購買プロセスです。また、商品やサービスを軸にすると、購買プロセスの段階を踏むごとに、対象となる消費者が減少していくため、逆三角形の漏斗型になっていきます。
混同してはいけないカスタマージャーニーとの相違点
マーケティングファネルと混同しやすいのが「カスタマージャーニー」です。カスタマージャーニーもマーケティング関係者の方なら聞いたことがあるかと思います。
カスタマージャーニーとは、直訳で「顧客の旅」であり、マーケティングファネルと同様に、消費者が購買までに至るプロセスを表しています。ただ、カスタマージャーニーが重点的に可視化するのは「消費者の心理状況と行動」です。
「消費者の行動と人数の推移」を表すマーケティングファネルとは、着眼点が異なるため、混同しないよう注意してください。
必ずおさえておきたいマーケティングファネル3つの種類
マーケティングファネルの基本はご理解いただけたと思いますので、次に、マーケティングファネルの種類について解説していきます。大きく分けて3種類あり、この3種類はマーケティングファネルの中でも基本的なものなので、しっかりおさえておきましょう。
1.基本中の基本!パーチェスファネル型
1つ目は、基本中の基本である「パーチェスファネル型」です。この型は「AIDMA」という、インターネット普及前から提唱されている「購買行動プロセス」をもとに作られています。
活用方法は、各プロセスで行っているマーケティング施策で、獲得できた顧客数を追跡していき、どのプロセスで消費者が離脱してしまっているかを明確にするという方法です。
明確にすることで、ファネルがより狭くなってしまっているプロセスが分かり、施策改善を検討することができるでしょう。このように、パーチェスファネルを活用することで「顧客を逃してしまっているプロセスを明確にし施策を練る」ことができます。
2.SNS時代に必須のインフルエンスファネル型
インフルエンスファネルは、購入後の消費者の行動にフォーカスしたものです。具体的な構図は「継続」「紹介」「発信」で、三角形の形をしているため、パーチェスファネルと形状が対になっています。
SNSはもちろん、インターネット上での口コミサイトなどでも消費者の発信が活発化し、より注目されるようになりました。
イメージとして、購入した消費者が「継続購入」し、商品のファンとなり周りに「紹介」します。SNSなどインターネットを介しさらに多くの人々に「発信」を行い、拡散するという形です。
消費者の生の声が活発に行き来する現代では、購入後の行動もしっかり見据えることが重要でしょう。消費者が購入後どのような行動を取るかというところにフォーカスしたのが、インフルエンスファネルです。
3.未来の顧客までも創造するダブルファネル型
ダブルファネルとは1つ目の「パーチェスファネル」と、2つ目の「インフルエンスファネル」を掛け合わせたものです。そのため、砂時計のような形になっています。
パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせることで、認知拡大や購入率アップはもちろん、継続率などもあわせて上げていくという考え方です。
先述したように、消費者の生の声が行き来する現代で、購入までのプロセスだけでは、自社の商品やサービスをより拡大することは難しくなりました。購入後の消費者の行動までを考え、未来の顧客を創造していくという流れがダブルファネルです。
パーチェスファネル型は古いという見方も、その3つの理由を解説
マーケティングファネルを「古い」と言うマーケティング関係者の方が、一定数います。
ただマーケティングファネルそのものが古いのではありません。昔から提唱されている「パーチェスファネル型」が、現代のマーケティングにそぐわなくなってきているという面が指摘されているのです。下記でその理由を詳しく解説していきます。
理由1:「購入後」を想定していないから
まず、先述したようにパーチェスファネル型は「”購入後”を想定していない」という部分です。パーチェスファネル型は、購入をゴールとしたファネルです。
そのため、継続はもちろん、自社の商品やサービスを実際に使用した消費者は、どのように感じたのか?など、自社の今後にとって大切な部分が抜け落ちてしまっているという点が挙げられます。
理由2:インターネットの普及で情報収集が多様化したから
次に「インターネットの普及で情報収集が多様化した」という点です。インターネット環境、そしてSNSの普及により、老若男女問わずに多くの人がインターネットを活用しています。そのため、情報収集の場は大きく広がり、複雑化していると言えるでしょう。
従来は、企業側の発信で消費者にアピールし、購入に誘導するというパターンでした。
現代は、企業の発信だけでなく、ネット環境を介した情報も合わさり、消費者の購買プロセスができあがっていきます。このように、インターネットを介した情報による影響を表していないという点も、古いとされる理由でしょう。
理由3:口コミを起こす仕組みが考慮されていないから
最後は「口コミを起こす仕組みが考慮されてない」という点です。先述したように、昨今、消費者の購買プロセスは、インターネットやSNSの情報に大きく影響されています。
そのため、自社の商品やサービスに対する口コミやレビューは、購入検討している消費者に対して、重要なコンテンツと言えます。その重要なコンテンツを、購入検討している消費者に届ける仕組みが考慮されていないという点も挙げられるでしょう。
購買プロセスはBtoCで多様化、BtoBはシンプル
様々なファネルの型や、古いと言われる理由について解説しましたが、全てBtoCの場合に当てはまります。BtoCとは、ビジネスtoカスタマー、すなわち一個人に販売をする場合です。一個人に販売をする場合、購買プロセスは多様化していると言えます。
ただBtoB、すなわちビジネスtoビジネスという、企業が企業に販売する場合は、従来のパーチェスファネル型が有効でしょう。理由としては、一個人に販売するときのように、興味関心が移り変わるような機会が少ないため、購買プロセスとしてシンプルだからです。
初めてマーケティングファネルを活用するなら?
では、実際にマーケティングファネルを活用する場合について、解説していきます。ステップに分けて解説しますので、ぜひ読み進めながら実行してみてください。
STEP1:使用するテンプレートを選ぶ
まず、先ほど紹介した3つの型「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」から、使用するテンプレートを1つ選んでください。
自社が提供している商品やサービスによって適している型は異なるため、商品やサービスにあわせた型を選ぶようにしてください。
例えば、BtoBの場合、パーチェスファネル型が適していますが、BtoCの場合は、購入までのプロセスと購入後の行動を網羅できる、ダブルファネル型がおすすめです。
テンプレートが決まったら、ファネルの形はどうなっているのか、またはどのプロセスで離脱が多いのかを確認しましょう。実際に行った施策で得た成果をファネルにあてはめ、現状の課題点を明確にすることが大切です。
STEP2:カスタマージャーニーと掛け合わせる
課題点が明確になったら、カスタマージャーニーと掛け合わせるのがおすすめです。カスタマージャーニーは「顧客の旅」を示すものであり、マーケティングファネルよりも具体的に、消費者の心理状況などもあわせて購買プロセスを図式化したものです。
そのカスタマージャーニーを、マーケティングファネルで明確になった課題点と照らし合わせましょう。
ファネル上で消費者が離脱してしまっているプロセスを、カスタマージャーニー上の消費者心理や行動と照らし合わせて改善策を考える、などといった形で活用するのがおすすめです。
STEP3:ペルソナまで決めると効果的
あわせて、ペルソナまで決めるとより効果的に活用できるでしょう。マーケティング担当者の方は、一度は設定したことがあるのではないでしょうか。ペルソナとは自社の商品やサービスを利用するユーザー像を指します。
年齢・性別・職業はもちろん、家族構成や趣味嗜好など詳細まで設定し、顧客をより具体的にイメージすることが大切です。マーケティングファネルでは、消費者が進んでいるプロセスによって心情や行動が変わります。
この心情や行動の移り変わりを参考にすることで、より具体的なペルソナに結びつけられるでしょう。具体的なペルソナを設定できれば、効果的な改善策や施策を、練りやすくなります。
最新!マーケティングファネル事情
最後に、最新のマーケティングファネルについて紹介します。消費者の購買行動は、時代によって大きく変化するため、従来のマーケティングファネルだけでなく、ぜひ最新のマーケティングファネルも確認してください。
マッキンゼーの「消費者の意思決定の旅」
1つ目は「消費者の意思決定の旅」です。アメリカのコンサルティング会社である、マッキンゼーが提唱しました。構成している要素は「初期段階」「積極的な評価」「購入の瞬間」「購入後の体験」の4つで、一般的なマーケティングファネルとは形状が異なります。
消費者の意思決定の旅の形状は、楕円形のような形になっており、漏斗型のファネルと異なり「認知→購買にかけて消費者の数が減るとは限らない」と言うことを示しています。
Hubspotの「フライホール」
次は「フライホール」です。こちらもアメリカのマーケティング会社の、HubSpotが提唱しました。
フライホールでは、マーケティング活動でのプロセスを、エネルギーに例えています。獲得した顧客は、自社の成長にとってのエネルギーになる、という考え方のファネルです。形状は回転するタイヤのような円形になっていて、構成要素も少々複雑です。
・回転速度:顧客を惹きつける・信頼関係を築く・顧客満足度)
・摩擦:顧客と相違のあるコミュニケーション、自社内の共有不足
・サイズ:顧客数
この3つが、企業の成長のエネルギーになるとされています。少々活用難易度は高いですが、消費者の購買プロセスをカバーしながら、自社の成長における顧客の重要度も表していると言えるでしょう。
Googleの「バタフライ・サーキット」
最後は「バタフライサーキット」という、Google社が提唱しているファネルです。バタフライサーキットは八の字型に広がっているのが特徴で、消費者が対象の商品やサービスを”さぐる”為に調べたり、”かためる”為に調べるというプロセスを表しています。
”さぐる”検索とは、消費者が対象物を楽しんだり、周りが使用しているか確認しているような状況を表します。一方で”かためる”検索とは、消費者を納得させ、対象物を具体的にイメージさせ、選択肢を固めさせようとしている状況です。
この「バタフライサーキット」には、大きく分けて下記の5パターンに分かれるとされています。
・全方位型
・主観型
・慎重型
・真面目型
・瞬発型
この5パターンは、対象物や、消費者の趣味嗜好、シチュエーションによって左右されます。そのため、対象の商品やサービスはもちろん、ターゲット層をしっかりと分析したうえで活用する必要があるでしょう。
まとめ
本記事では「マーケティングファネルの全体像とは?最新事情から活用方法」を解説しました。消費者の購買プロセスを理解することは、自社の商品やサービスをより拡大させるにはもちろん、自社そのものの認知度やファンを増やすためにも必要不可欠です。
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