BtoBマーケティングでのペルソナとは?設定方法や項目例を紹介!
BtoBマーケティングの実施において、まず検討しなければならないのがペルソナの設定です。ペルソナ設定を正しく行うことで、効果的な施策の実施につなげられます。この記事では、ペルソナとは何なのかや、具体的な設定方法について詳しく解説します。
BtoBマーケティングでのペルソナとは?
ペルソナという言葉はマーケティングの領域において頻繁に登場する言葉ですが、これはどのような意味を持つのでしょうか。具体的なペルソナ設定の方法を説明する前に、まずは詳しい言葉の意味について確認しましょう。
ペルソナとは?
ペルソナ(Persona)は、自社で提供するサービスや商品を最も活用してくれる中心的なユーザーのイメージ像を指す言葉です。世の中には無数のサービスや商品がありますが、それぞれの中心的なユーザーというのは大きく異なります。
ペルソナを丁寧に設定することで、自社商品が高い顧客満足度を実現できるサービスを、正しいユーザーに向けて提供できるようになるため、ユーザー獲得においては非常に重要な取り組みです。
ペルソナの設定はさまざまな領域で行われており、BtoCはもちろん、BtoBマーケティングにおいても例外ではありません。どのような企業の、どんな担当者をペルソナとして設定するかによって、マーケティングの効果は大きく変わってくるでしょう。
BtoBマーケティングでのペルソナの役割
BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定は、各企業の担当者個人をペルソナに設定する「個人ペルソナ」と、企業や部署単位でペルソナを設定する「企業ペルソナ」の2種類が存在します。
どのような企業に訴求すべきかを企業ペルソナを持って把握し、どんな担当者に訴求すべきかを個人ペルソナの設定で効果的に決定することができます。
ペルソナを設定することにより、社内でどのようなニーズが生まれているかの情報共有を円滑に行うことができたり、マーケティング施策に一貫性を持たせ、質の高いアプローチや効果的な改善を実施したりするのに役立つことが期待できます。
マーケティング戦略の土台となる仮説をペルソナ設定によって立てることができるため、いかなる施策を実行する前においても、ペルソナの設定は欠かせない取り組みといえるでしょう。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナと似たような言葉として、ターゲットと呼ばれるものがあります。ターゲットも商品やサービスが喜ばれそうなユーザーを仮説的に特定する行為ですが、こちらは年齢や性別など解像度の高くない要素で絞り込む手法です。
対してペルソナは、名前や具体的な年齢、職種、勤務地、普段の業務、家族構成など、非常に細かな人物像を組み上げていきます。まるで実在するかのようなユーザーを設定するため、ターゲットよりも複雑な工程が発生する作業です。
BtoBマーケティングでペルソナを設定するメリット
ペルソナの設定によって、具体的にBtoBマーケティングの実施にはどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。ここでは、ペルソナを設定することで得られる主な3つの利点を詳しく解説します。
担当者の間で共通の認識ができる
ペルソナ設定の大きなメリットの一つが、BtoBマーケティング担当者の間における情報共有や認識の共通化が非常に行いやすくなるという点です。
ターゲティングだけでは大まかなユーザー設定しかできないため、不必要にマーケティング施策にゆとりが生まれてしまい、チーム内で方向性を固めることが難しくなったり、施策にブレが生じてしたりすることもあります。
しかし高い解像度でペルソナを設定できれば、選択肢を絞り、担当者が高い解像度を共有しながら施策の検討や実行に移すことができ、円滑な業務遂行が期待できるでしょう。
顧客のニーズの予測ができる
質の高いペルソナ設定が実現していると、顧客ニーズを高い精度で予測できるのもメリットです。
細かなペルソナがユーザーの目線で考えるきっかけを担当者に与え、ユーザーが必要としているものとそうでないものの判断を明確に下すことができます。結果、ユーザー視点でのマーケティング施策を検討しやすくなります。
また、顧客のニーズ予測においてはペルソナの設定と合わせ、カスタマージャーニーも同時に進めると、より効果的です。
サービスの認知からサービスの利用に至るまでの道のりを可視化したカスタマージャーニーマップを描き、高い精度で予測を立てられるようになるといいでしょう。
マーケティングの精度が向上する
ペルソナの設定には、顧客の特徴について深く理解することが必要となるため、その過程で顧客の背景やニーズへの洞察力も身に付きます。
顧客理解が進めばそれだけマーケティング施策の効果についての予測も高い精度で行えるため、行うべき施策とそうでない施策の判別をつけやすくなるでしょう。
マーケティング施策をいろいろと試しているが今ひとつ成果が出ている気がしない、当てずっぽうだがなんとか成果が出ている、などと悩んでいる場合には、ペルソナの設定によって洞察の基準を固めることが大切です。
プロモーションを実施する際にも、ペルソナが固まっているとどんな広告を打てば関心を持ってくれるかの判断基準が得やすいため、BtoBマーケティング以外の領域において精度の向上が期待できます。
BtoBマーケティングでペルソナを設定するデメリット
BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定は非常に大きな意味を持ちますが、一方で実施に当たっては注意すべきポイントもあります。どのような点に留意すべきなのか、ここで確認しておきましょう。
ターゲット以外にアプローチしづらい
ペルソナの設定を詳細に行うことによって、特定のユーザーに対しての解像度は飛躍的な向上が見込めますが、一方でそれ以外のユーザーに対しての理解はおろそかになるため、全てのユーザーを囲い込むための施策としては有効ではありません。
自社にとって有益で、長期にわたって良好な関係を築けるであろう人物像をペルソナ設定によって描かないと、組織の利益にはつながらなくなる点に注意してください。
そのため、ただ人物像を具体的に決めるだけではなく、「自社にとって有益な人物像とは何か?」を初めにしっかりと考える必要があるでしょう。
定期的な更新が必要
ペルソナは一度設定して終わりではなく、ユーザーの増加やトレンドの変化に合わせて、定期的にアップデートを繰り返すことが大切です。
設定したペルソナが時代遅れになってしまうと、どれだけペルソナにのっとったマーケティング施策を実行に移したとしても、売上に直結しません。
ユーザーの価値観や行動の変化には常に注目し、トレンドの変化が利用動向などから感じられた場合には一度ペルソナを見直してみる時間を確保しましょう。時代に合ったペルソナ設定を実現できれば、ユーザーとの長期的な関係を維持できるはずです。
BtoBマーケティングのペルソナ設定方法
BtoBマーケティングにおけるペルソナの設定方法について解説します。主な手順は下記の通りです。
1.バリューポジションを決める
2.ターゲットを決める
3.法人ペルソナを作る
4.個人ペルソナを作る
下流工程へ進むにつれ、解像度が細かくなっていくイメージで臨みましょう。
バリュープロポジションを決める
ペルソナ設定においてまず必要なのは、バリューポジションの設定です。バリューポジションとは、競合の会社が持っていない、あるいは競合の強みではない自社だけの強みを指します。
誰にどんな商品を提供するのか、顧客はどんなサービスを求めているのか、自社ならではの強みは何かを考えながらバリューポジションを検討することで、解像度高くマーケティング施策に応用しやすくなります。
ペルソナ設定におけるバリューポジションは、できるだけシンプルで具体的であることが理想です。キャッチコピーのように簡潔で分かりやすいものであれば、以降の工程においてもスムーズに作業を進められます。
ターゲットを決める
バリューポジションが明らかになったら、ターゲットを決めましょう。効果的にターゲットを決めるには、既存顧客から絞り込むようなイメージで進めるとやりやすいのでおすすめします。
自社の強みが生かせる狙うべき市場はどこか、その市場において自社に価値を感じてくれそうなターゲットはどんな人物か、どのようにして彼らに自社商品を手に取ってもらうかを考えながら、ターゲティングを進めましょう。
ちなみにターゲティングに詰まった際、ついコストパフォーマンスを最優先した層をターゲットに据えてしまいがちですが、自社の強みが費用対効果ではない場合、避けるべきケースです。
自社の長期的な売上に貢献してくれる見込みが立たないため、彼らにアプローチをかけてもリターンが期待できないためです。
法人ペルソナを作る
ターゲットを決めた後は、まず法人ペルソナから設定を進めます。BtoBマーケティングはあくまで企業に向けて商品やサービスを提供するための施策であるため、どのような企業であれば良好な関係が築けるかを丁寧に考えることは、非常に重要です。
法人ペルソナの設定では主に、下記のような項目を設定します。
・業種
・従業員数
・具体的な商品やサービス
・売上高
・社風
・抱えている業務課題
個人ではなく組織としての特徴を細かく設定し、具体的な企業像を描いていくといいでしょう。自社が訴求したい顧客ニーズや自社の強みに合わせ、さまざまな項目を検討して設定することをおすすめします。
個人ペルソナを作る
法人ペルソナが固まったら、続いて個人ペルソナを作成します。個人ペルソナは法人ペルソナを参考にしながら、そこに勤めていそうな社員像を固め、具体的に描いていくのがポイントです。
個人ペルソナを設定することで、決裁者や現場担当者が置かれた環境や抱えている課題に寄り添った表現を取り入れた、訴求効果の高いマーケティング施策の検討に役立ちます。
法人ペルソナでは大まかな企業イメージにのっとって項目を埋めていきましたが、個人ペルソナではこれに加えてパーソナルな側面も細かく設定します。下記は具体的な項目例です。
・名前
・年齢
・所属部署
・勤続年数
・部署における役割
・業務上の悩み
・最近の関心事や趣味
・普段のリサーチ方法
こちらも法人ペルソナ同様、自社の目的に応じて臨機応変に項目を埋めていきましょう。
ペルソナ設定の注意点
ペルソナ設定を実施するに当たっては、以下の5つのポイントにも目を向けることが大切です。どのようなことを意識しながらペルソナを固めていくべきか、あらかじめ理解しておいてください。
BtoCマーケティングのペルソナと区別する
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングでは、ペルソナ設定の目的やプロセスに大きな違いがあることは知っておかなければなりません。
BtoCとBtoBの最大の特徴は、意思決定者や意思決定にかかる時間です。BtoCの場合は意思決定はその情報を見た人であり、欲しいと思ったらすぐに購入ができます。一方のBtoBは、その情報を見た人が欲しいと思っても、決裁者の許可が出て初めて購入できます。
そのため、BtoBマーケティングにおいては個人ペルソナだけでなく、法人ペルソナも設定し、企業のニーズを解消できるサービスであることをアピールしなければならないのです。
複数のペルソナを設定する
ペルソナ設定はやや面倒に感じるかもしれませんが、できるだけ複数のペルソナを定めておくことも重要です。一人分のペルソナでは企業のニーズを全てくみ取ることができず、潜在的な全てのターゲットに訴求することが難しくなるからです。
できるだけ多様な立場のペルソナを設定することで、自社商品の多様な魅力が多面的に評価してもらいやすくなります。
複数のペルソナに対していいアピールができれば、その企業における自社サービスのニーズをスムーズに創出し、速やかな契約を促すことも期待できるでしょう。
現実的なペルソナを設定する
ペルソナの設定は、できる限り現実的なものであることが理想です。あまりに自社にとって都合のいいペルソナを設定しても、そのようなユーザーは存在せず、なかなか自社サービスを発掘してもらうことができなくなってしまうためです。
そのためペルソナの設定に当たっては、あらかじめ実施しておいたアンケートの結果を参考にしたり、実際にユーザーインタビューなどを行ったりした上で、現実的な人物像を固めながら進めていくのがいいでしょう。
まとめ
この記事では、BtoBマーケティングにおけるペルソナの役割や、ペルソナの具体的な設定方法について解説しました。
ペルソナの設定は細かな企業イメージや人物像を描きながら行うマーケティングの初歩的な施策ですが、丁寧に実施することで、その後の施策をスムーズに進めることができます。
また、時代の変化に伴いペルソナは定期的に見直す必要があります。思うように施策が進まなくなってきた場合には、ペルソナの再設定も検討してみましょう。
株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。