名寄せとは?マーケティングでの必要性やおすすめツールを紹介
名寄せとは顧客データを整理する方法のひとつです。顧客データは会社の重要な資産であり、そのデータが名寄せされているかどうかは会社の売上に関わります。
本記事では、名寄せについてマーケティング活動における必要性やおすすめのツールをご紹介します。
名寄せとは?意味やマーケティング上での必要性を解説
はじめに名寄せとは何かを詳しく説明した上で、企業のマーケティング活動におけるその必要性を解説します。
名寄せとはデータを活用して同一人物・同一会社をまとめること
名寄せとは、複数のデータベースに分散した同一人物や同一会社の情報を統合しまとめることを指します。企業において複数の担当者が一つの企業の情報を取り扱っていたり、複数のツールで情報を管理していたりすると、データが重複してしまうことがあります。
その重複したデータを会社名や氏名、電話番号、住所などを手掛かりにひとつのデータに集約すること、またその作業のことを名寄せといいます。
マーケティングに名寄せが欠かせない理由とは?
ではなぜマーケティングに名寄せが必要なのでしょうか?
名寄せをしないと顧客データの不備・重複が起こる
マーケティングに名寄せが欠かせない理由として、顧客データの不備や重複が起こってしまうことが第一に挙げられます。同一人物、同一企業のデータが複数存在することでどのような影響があるのか考えてみましょう。
影響①:同じ人物に複数回メールや電話をしてしまう
顧客データが重複してしまうことにより、同じ人物に複数回メールや電話などでアプローチをしてしまう恐れがあります。同じ内容のメールや電話が何度も届くと、顧客は鬱陶しいと感じ、企業の信頼にも悪影響を及ぼしかねません。
影響②:顧客データを正確に分析できなくなる
メールや電話の反応率を含めさまざまな角度から顧客分析をおこないますが、顧客データが重複していると分析するデータも分散してしまいます。
データを正確に分析することは営業活動を効率化するために重要ですので、顧客データの不備・重複が起こってしまうことは避けるべきといえるでしょう。
名寄せにより顧客それぞれに効果的なアプローチが可能に
また、名寄せを行うと顧客データが整理され分析情報も正確になります。顧客それぞれの情報をわかりやすく可視化することで、一人ひとりに対して効果的なアプローチをすることができるようになります。
名寄せの手順を4ステップで解説
では具体的に名寄せの手順を解説します。
1.データの現状を把握してゴールを設定する
まず対象となるデータの現状を把握します。社内のデータベースを洗い出し、その属性や入力状況を確認しましょう。最終的にどのようにデータを活用するのかを明確にし、名寄せの目的を設定します。
2.データを抽出する
対象のデータベースから必要となる項目を抽出します。データベースによって項目の違いがあることも多いので、この際にデータの項目についても再検討しましょう。
また、「会社名」と「社名」、「名前」や「氏名」など、同じ内容でも項目名が異なっていたり、「住所」とまとめられていることもあれば「郵便番号」「都道府県」「市区町村」「番地」「建物名」で分けられているなど入力形式が違っていたりすることもあります。
どのような形に整理するかについてもあらかじめ決めておきましょう。
3.クレンジングする
続いてデータクレンジングと呼ばれる作業を行います。表記の誤りや表記ゆれ、空白や記号などを修正し統一する作業です。例えば
・電話番号にハイフンを入れるのか
・「株式会社」か「(株)」か
・姓名の間に空白を入れるのか
・数字やアルファベット、記号は全角か半角か
などを整理します。
このデータのクレンジングは手間のかかる作業ですが、名寄せを行う際にとても重要です。表記の違いがあると、次のデータのマッチングの工程において同じデータであると認識できなくなってしまいます。
また、この時点でそれぞれのデータが最新のものであるかも確認しましょう。オフィスの移転や社名変更がないか、担当者の部署や役職の変更がないかについて、営業履歴やWebサイトで確認し、出来る限り最新の情報に更新しておきます。
4.データをマッチングさせる
最後に、クレンジングしたデータをマッチングさせます。精査してデータの重複が無くなったら、それぞれにIDを付与することで管理しやすくなります。
情報を追加、更新する際にもIDを付与し、クレンジングにて行った表記方法に統一することで継続的にデータベースを整理しましょう。
名寄せはツールを使って効率的に行おう
名寄せの手順を解説しましたが、すべてを人の手で行うと大変な作業になります。ツールを使って効率的に行うことをおすすめします。
ツールを使用して名寄せを行うメリット
名寄せにツールを活用するメリットを3つご紹介します。
作業にかかる時間や人件費を削減できる
データのクレンジングやマッチング作業は人の手で行うと時間がかかる大変な作業です。ツールを使用すると自動で行うことができるので、その分時間や人件費を削減することができます。
人的ミスを防げる
ツールを使うことにより、細かな人的ミスを防ぐことにも繋がります。データの表記の確認、重複の削除をひとつひとつ手作業で行うとどうしてもミスが生じてしまいます。自動化できる作業はツールに任せることでミスを防ぎつつ効率化しましょう。
不明点はサポートセンターに問い合わせできる
各社が提供するツールはサポートが充実していることが多いです。随時サポートセンターに問い合わせることができたり、活用方法のセミナーを実施していたりすることもあります。
そもそも名寄せをどのように進めたら良いかわからないといった時にも、サポートしてもらえることでスムーズに進められ、心強いですね。また、Excelなど利用者数の多いツールを活用する際には、ネット上に必要な情報が掲載されていることも期待できます。
名寄せツールおすすめ5選
ここで、名寄せを行うにあたっておすすめのツールを5つご紹介します。
①Excel
現状顧客管理をExcelで行っている企業も多いのではないでしょうか?関数を活用しExcelで名寄せ作業を行うことも可能です。調べながらより良い方法を模索する必要はありますが、すでに社内でExcelを導入している場合は費用もかかりません。
利用者数が圧倒的に多いのでネットに情報が沢山あることもおすすめできるポイントです。
②FORCAS(フォーカス)
FORCASはB2B事業者向けの顧客戦略プラットフォームです。データのリストをアップロードするだけで自動で名寄せを行うことができます。150万社以上の企業データベースをもっており、名寄せと同時にFORCASがもつ企業情報も付与してくれます。
名寄せだけでなく顧客管理から分析まで一貫して行えるツールを探している方におすすめです。
③TRILLIUM(トリリアム)
TRILLIUMはデータクレンジングと名寄せに特化した専用ツールです。高い精度で表記の統一やクレンジングを行い、名寄せの条件も柔軟に設定することが出来るので様々な業界、企業で活用されています。
大規模なデータを保持する企業、個人の顧客をもつBtoCサービスの企業にもおすすめです。
④DataStage(データステージ)
DataStageは様々な文字コードや各種データ形式に対応しており、データを抽出し加工し整理することで膨大かつ複雑なデータを統合するツールです。DataStage内にあるQualityStageという名寄せツールにより精度の高い名寄せ作業を自動で行うことができます。
⑤Marketo Engage(マルケトエンゲージ)
Marketo EngageはAdobeの提供するMA、リード管理ツールです。メールアドレスを軸に顧客管理(名寄せ)を行います。web、メール、SNS、モバイルなど顧客ひとりひとりの行動情報を収集し、それぞれに合わせたマーケティング活動の展開を可能にします。
BtoB、BtoC含め、様々な企業に活用されています。
名寄せされた顧客データをマーケティング活動に活かそう
名寄せを行い整理された顧客データはマーケティング活動に活かすことで、はじめて価値を持ちます。
顧客データを活かしたマーケティング例
ここでは顧客データをどのようにマーケティングに活かしていくか、事例をご紹介します。
顧客データを部門間で共有し情報の管理をスムーズに行う
企業のマーケティング活動において、顧客データを含め様々な情報を部門間で共有することは重要です。顧客データについては名寄せを行い整理しておくことが、マーケティングの効率化を促進します。
名寄せを行っていれば、例えばマーケティング部における施策への反応と営業部におけるアポの獲得率や受注率などを簡単に照らし合わせて分析することが可能です。
ホワイトペーパーを活用する
リードの獲得やナーチャリングにおいて、ホワイトペーパーの活用は有効です。ただし、顧客データを名寄せしたり整理したりすることができない状況では、いくらホワイトペーパーを配布してもそのデータをマーケティングや営業活動に活かすことは難しいでしょう。
ホワイトペーパーに限らず、マーケティング施策を行う場合にはそれによって得られた顧客データが正確であることが重要です。名寄せを行い活用できるデータにすることで施策効果の最大化を目指しましょう。
まとめ
名寄せとは、社内に存在する複数のデータベースを統合し、同一人物や同一企業の情報をまとめることです。便利なツールを活用しながら顧客データを整理し、効率的で効果的なマーケティング活動に活かしていきましょう。