サーチエンジンマーケティング(SEM)とは?代表的な3つの施策
マーケティングにおいて大切な施策の1つである「サーチエンジンマーケティング」。しかし、その用語はよく耳にするも、なぜ大切なのか、どういった施策なのかが分からない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、サーチエンジンマーケティングがどのような施策なのか、その重要性も併せて解説していきます。具体的な施策やポイントについてもまとめているので、マーケティングに携わる方や興味がある方はぜひ最後までお読みください。
サーチエンジンマーケティング(SEM)とはどんな手法か?
まずはサーチエンジンマーケティング(SEM)について、その意味や昨今重視されている2つの理由を解説していきます。
インターネット検索を利用したマーケティング手法を言う
サーチエンジンマーケティング(SEM)は「Search Engine Marketing」の頭文字を取った用語で、検索エンジンにおけるマーケティングのことを指しています。
GoogleやYahoo!など、多くの人が利用する検索エンジン上で「自社サイトへの集客を増やすために実施する施策」のことです。ユーザーは検索エンジンを利用する際に、自分の要望をキーワードに入れます。
例えば「ジムに行きたいけど、安いところがいいな」という人は「ジム 安い おすすめ」というキーワードで調べるでしょう。もし自社が安いジムを運営しているのなら「ジム 安い おすすめ」の検索結果に自社サイトを表示させることで、成約につながる可能性があります。
SEMではこのように「明確な目的を持っている顕在顧客に対してアプローチできる」ため、Webマーケティングの中でも重要な手法だとされています。
今重要視される理由は主に2つある
SEMが重要視されている2つの理由について見ていきましょう。
理由①変化に応じたマーケティング施策が必要なため
多くのユーザーは、検索エンジンで自分が知りたい情報を調べています。ユーザーがサービスと出会い、購入に至るまでの道筋をカスタマージャーニーといいますが、多くの人はこれをネット上で完結させています。例えば次のような形です。
・興味関心段階:ネットで気になる商品の広告を見つける
・情報収集段階:ネットでその商品の情報を集める
・比較検討段階:ネットで他の競合商品と比較する
・購入段階:調べたところ良さそうだったので、ネットで購入する
そのため、もしSEMをしていなければこのようなユーザーを取り逃がすことになります。今の時代はネット検索が主流になっているので、時代の変化に応じたマーケティング施策を実施しなければ、中長期的に利益を出すことは難しいでしょう。
理由②検索エンジンへの表示を増やすため
多くのユーザーがネット検索を利用しているからこそ、検索エンジンへの表示回数を増やすことが必要です。表示回数が増えればユーザーへの認知度が上がるためです。
認知度が上がれば、潜在顧客が今後「◯◯を買いたいけど、そういえばよく見かけるあの商品はどうかな」と感じてくれて、将来的に顧客になってくれるかもしれません。
サーチエンジンマーケティングの3つの施策|違いを把握しよう
SEMと一口にいっても、いろいろな施策があります。一長一短あるため、施策の特性を理解した上で自社に適したものを採用するのがおすすめです。ここでは主によく使われる2つの施策についてご紹介します。
施策①SEO対策
サーチエンジンマーケティングの中でも重要なSEO対策。効果が出るまでに時間を要するのはデメリットといえるかもしれませんが、低コストで実施できる魅力があります。ここではSEO対策の4つの特徴を解説します。
特徴と表示される場所をおさえよう
SEOの場合、施策は赤い枠の部分に表示されます。
SEOは「検索順位をGoogleのアルゴリズムが決めている」のが大きな特徴です。アルゴリズムは定期的に大規模なアップデートを繰り返して最適化されており、ユーザーにとって1番いいコンテンツが上位に表示されるようになっています。
行う際のポイントは?
SEO施策を行う場合は「Googleのアルゴリズムが何を重視しているのか?」を事前に把握しておく必要があります。Googleが重視しているのは次のポイントです。
・ユーザーの検索意図に合ったコンテンツか?
・他のサイトで取り上げられるなど、他サイトから評価されているか?
基本的には「ユーザーにとって良い記事を書く」ことで、上位に表示されやすくなります。
メリットおよびデメリットとは?
SEOのメリットは「広告費用がかからない」ことです。それにもかかわらず、多くのユーザーが日々検索をしているため「無料で大勢のユーザーにアプローチできる」のが魅力です。
一方で「上位表示されるまでに時間がかかる」というデメリットもあります。新しくサイトを作った場合、Googleに評価されるまでおおよそ3カ月~6カ月はかかります。一度上位表示できれば安定しやすいものの、初動の遅さは欠点といえるでしょう。
費用相場はどのくらい?
SEOは、自社で行う場合は人件費・サーバー代しかかかりませんが、外部に制作を依頼する場合には下記のように費用がかかります。
・コンテンツ制作:1記事あたり数千円~数万円
・サイト設計:1サイトあたり10万円~100万円
・SEOコンサル:月々50万円~100万円
広告費用がかからないのが魅力のSEOですが、作っても上位に表示されなければ意味がありません。自社にノウハウがなければ、最初は外部に委託するのがいいでしょう。
施策②リスティング広告
リスティング広告は出稿費用がかかるものの、効果がすぐに表れやすいメリットがあります。ここではリスティング広告について4つの特徴を紹介します。
特徴と表示される場所をおさえよう
リスティング広告の場合、施策は赤い枠の部分に表示されます。
URLの横に「広告」と書かれているのが特徴です。Googleは検索結果の上部に「広告枠」を設置しているので、リスティング広告は「Googleに出稿費用を払って、広告枠に表示してもらっている」形です。
「この検索キーワードにだけ広告を表示させる」といったように、出稿側は自由に掲載面をコントロールできます。
行う際のポイントは?
リスティングの場合、検索順位は「入札単価(出稿費)×記事の品質スコア」によって決まります。入札単価だけで順位が決まるわけではないので、しっかりと記事の質も高める必要があります。
メリット及びデメリットとは?
リスティング広告のメリットは、出稿すればすぐに検索結果に表示できることです。Googleの審査を待つ必要がありますが、通常は2営業日以内に完了します。SEOのように何カ月も待たなくてもいいので、即効性があるのがメリットです。
一方で、ユーザーが広告をクリックするごとに出稿費が発生するので、費用が高くなるのがデメリットです。もし自社サービスについて訴求する広告を出稿しても、質が悪ければ成約につながらずに「ただ出稿費を払っただけ」になるケースも考えられます。
リスティング広告の場合、SEO以上にコンテンツをしっかりと作り込むのが大事です。
費用相場はどのくらい?
リスティング広告の費用は出稿するキーワードによって変わります。例えば「カスタマージャーニー」というキーワードに出稿する場合、クリック単価は約300円です。(ツール上の参考数値)
もしこのキーワードで月1,000人に広告を表示させるのであれば、300円×1,000人で30万円かかることになります。出稿するキーワードのクリック単価によりますが、まとまった数のユーザーにアプローチするには、月30万円〜50万円は必要でしょう。
一方、予算内で広告を表示させるといったこともリスティング広告では可能なため、月数万円からのスモールスタートも可能です。
施策を選ぶポイントは「費用対効果」と「期間」
「SEOとリスティング広告、どちらを選ぶべきか」と迷ったときは、費用対効果と期間で考えてみましょう。例えば施策を打つ目的が「成約ではなく知名度向上のため」であれば、SEOの方が費用対効果は高いといえるでしょう。
リスティングの場合は1リーチ(広告を見たユーザー1人)を獲得するのに数百円以上の出稿費がかかるので、費用対効果はよくありません。
逆に「成約」を目的とし「1件獲得すれば数万円の利益になるから、多少出稿費がかかっても問題ない」のであれば、リスティング広告を選んだ方が即効性が期待できます。
「どの目的で施策を打つのか」「どれぐらいの期間で結果を出したいのか」によって、選ぶ施策を変えていきましょう。
サーチエンジンマーケティングで大切な考え方をおさえよう
SEOでもリスティング広告でも、大事なのは「検索キーワード」です。どちらも「ユーザーが打ち込んだ検索キーワード」が起点になるので、キーワードに関する知見を高めていく必要があります。
・このサービスを購入するユーザーは、どのようなキーワードで調べるのか
・このキーワードでは、どのような競合サイトがいるのか
・このキーワードで記事を出稿して、本当に意味はあるのか
このように検索キーワードを軸に思考して、施策を講じていきましょう。キーワード別の月間検索数やクリック単価は「Googleキーワードプランナー」で確認できます。アカウントがあれば無料で使えるので、ぜひ活用してみましょう。
サーチエンジンマーケティング(SEM)施策の効率を上げるポイント
SEMはただ単に施策を講じればよいというものではありません。ここではSEM施策の効率を上げるためのポイントを4つご紹介します。
①コンテンツとリンクを最重要視する
SEOでもリスティング広告でも、コンテンツは非常に大切です。コンテンツの質が低ければ、順位が上がらなかったり、ユーザーの目に止まっても成約につながらなかったりします。
そのため「この検索キーワードで調べるユーザーは何を求めているのか」をしっかりと洗い出し、それに対しての答えをコンテンツで返すようにしましょう。
またSEOの場合、良いコンテンツを書くことで、他のサイトからの被リンク(リンクを受け取ること)が期待できます。Googleは被リンクを重要視しているため、良いサイトから被リンクを受け取るだけで検索順位の上昇が見込めます。
ユーザーのためにも、被リンクを獲得するためにも、品質の高いコンテンツを作るようにしましょう。
②構造化マークアップに対応させる
構造化マークアップとは、サイトの情報を正しくGoogleに伝えるための施策です。「このサイトの運営元はどこの会社か」「この記事は誰が書いているのか」といったことをGoogleに認識させることができます。
Googleはコンテンツの質はもちろんのこと、情報の発信者も重視しているため、構造化マークアップに対応させることで検索順位への好影響が期待できます。
③MFI及びページエクスペリエンスへの対応を行う
Googleは2021年3月末に「モバイルファーストインデックス(MFI)」を導入しました。これは「PCサイトではなく、スマートフォンサイトを基準に検索順位を決める」という仕様のことです。
全体の6割近くが、スマートフォンなどのモバイル端末を使ってネット検索をしているため「モバイル端末に最適化されていないサイト」の評価を落としたわけです。
具体的にはボタンが小さかったり、モバイル端末だと表示が見にくい場合は「MFIに対応できていない」と認識され、順位が下がる可能性があるので注意しましょう。
またGoogleは2021年6月に「ページエクスペリエンスアップデート」を実施しています。これ以降「サイトの表示速度も検索順位の評価対象」になったので、表示速度が遅いサイトは検索順位の上位に上がりにくくなっています。
自社サイトの表示が遅い場合は「画像のサイズを削減する」「AMPに対応させる」などして、表示スピードを上げていきましょう。このようにGoogleは常にユーザビリティを上げるための施策を講じているので、それに伴って自社サイトも対応していく必要があります。
④ロングテールキーワードをおさえる
SEOでもリスティング広告でも、ロングテールキーワードをおさえることが大事です。ロングテールキーワードは「3語以上の組み合わせで検索されるキーワード」のことです。「脱毛」を例にして、どのようなものか見ていきましょう。
・ビッグキーワード:脱毛 おすすめ(2語の組み合わせ)
・ロングテール:脱毛 おすすめ 毛が濃い人(3語の組み合わせ)
このように、ロングテールキーワードは「脱毛」「おすすめ」「毛が濃い人」という3語の組み合わせで構成されています。
ロングテールキーワードの検索数自体は多くありません。「脱毛 おすすめ」は月間約9,900回検索されていますが「脱毛 おすすめ 毛が濃い人」は月間で約40回しか検索されていません。
しかし、その分「ユーザーの要望に直結したキーワード」であることが多いので、成約率が高いというメリットがあります。また、検索数が少ないため競合サイトが気付いていない・狙っていないことが多く、比較的簡単に検索順位を上げられるのも魅力です。
ロングテールキーワードをおさえるかどうかでも効果が変わってくるので、ぜひチェックしましょう。
まとめ
ネット検索が主流の現代においてSEMは重要性の高い施策といえます。これまで意識していなかった方も、本記事でご紹介した代表的な施策やポイントを参考に、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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どれだけ良いキーワードを見つけても、どれだけ良い戦略を考えても、そこに「高品質のコンテンツ」がなければ、SEMは成功しません。自社のコンテンツ制作に課題がある方は、ぜひお問い合わせください。