通販サイトをコンテンツマーケティングとして活用する際のポイント
競合の多い通販サイトは、他社との差別化や自社のブランディングが集客のカギであり、コンテンツマーケティングが役立ちます。
しかしコンテンツマーケティングを始めた方がよいとわかっていても「どのように通販に活用すべきかわからない」という方も多いでしょう。
本記事では通販でコンテンツマーケティングを活用する際の、ポイントをお伝えしますので、お悩みの方はぜひご覧ください。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、顧客に向けて自社サービスの情報を先に提供して、興味をもってもらい購買につなげる手法です。自社サービスの情報は、以下のようなコンテンツを利用してユーザーへ提供します。
・記事
・動画
・写真
・メールマガジン
・漫画
・セミナーイベント
・イラスト図解
・書籍(電子版も含む)
コンテンツにはテキストベースのブログ記事や、SNSで配信する動画のようなオンラインだけでなく、オフラインで開催したセミナーや説明会も含まれます。
多くの人は商品やサービスを紹介されてすぐに購買に至ることはなく、興味をもち、価値に納得したうえで購入するでしょう。
ユーザーから自社サービスに興味をもってもらえるよう、さまざまなコンテンツを活用して魅力を伝える施策がコンテンツマーケティングです。自社サービスに合ったコンテンツを選び、通販サイトに活用してコンバージョンにつなげましょう。
通販にコンテンツマーケティングが必要な理由
通販サイトの増加によって競合が多くなり、自社サイトへのアクセス数を伸ばすには、コンテンツマーケティング導入による集客が重要です。以下の表は、国内電子商取引における、BtoC-EC市場規模の経年推移を表しています。
引用:経済産業省「BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)」
表からは、あらゆる分野において、通販サイトの市場規模が年々拡大しているとわかります。激しい競争の中で自社サービスをユーザーから選んでもらうには、認知拡大をはかり、興味喚起する必要があります。
コンテンツマーケティングは広告やSNSなど、さまざまなマーケティング手法との組み合わせも可能です。ユーザーのニーズを満たしたコンテンツを通販サイトに利用すると、売り上げや販売数の増加が見込めます。
通販事業をおこなううえで、他社との差別化を図るためにもコンテンツマーケティングは取り入れたい施策といえるでしょう。
通販でコンテンツマーケティングを行うメリット
通販サイトでコンテンツマーケティングを導入するメリットは、以下の4つです。
・自社サービスの信用が高まる
・コンテンツが資産になる
・低いコストで始められる
・集客につながる
順番に見ていきましょう。
コンテンツマーケティングのメリットとデメリットを詳しく解説!
自社サービスの信用が高まる
ユーザーのニーズを満たすコンテンツ提供によって親近感や愛着がわき、自社サービスの信用を高められる結果、通販サイトへの新規流入とリピーター獲得が期待できます。
コンテンツをユーザーが好意的に感じると「このサイトなら欲しい情報やサービスが手に入る」と思い、再び通販サイトを訪れて、自社サービスの購入につながります。ユーザーがコンテンツを有益だと判断して、SNSで拡散してもらえる場合もあるでしょう。
SNSで情報収集するユーザーは多く、口コミや投稿などの拡散によって同じ悩みを抱える多くの人の目に留まると、通販サイトへのアクセスが増えて新規顧客獲得につながります。
ユーザーに有益と判断されるコンテンツづくりによって、信頼性が高まり、結果的に通販サイトの集客へつながります。
コンテンツが資産になる
作成したコンテンツは削除しない限り通販サイトに残るため、資産となります。テレビやポスターなど、広告の多くは契約期限があり、過ぎてしまうと閲覧できません。しかし自社の通販サイトに作成したコンテンツなら期限はなく、資産として蓄積が可能です。
ユーザーが求める内容のコンテンツを作成すると、検索エンジンから評価されて検索結果の上位に表示されやすくなるので、継続してアクセスを獲得できます。自社の通販サイトへの流入増加が期待できるので、売上増加が見込めるでしょう。
低いコストで始められる
マーケティング手法のなかでも、コンテンツマーケティングの低コストで始められる点は大きな魅力であり、通販サイトで売り上げが伸び悩んでいる時期にも取り入れやすいでしょう。
テレビやWeb広告などで自社サービスを宣伝すると、多額の費用がかかります。しかしコンテンツマーケティングの場合は、サイト制作に対する初期費用やドメイン代・コンテンツ作成に関わる費用だけですむため、コストを抑えられます。
サイト制作を外注する場合は構築費用がかかりますが、自社内に有識者がいる場合はリソースの確保によって、コストダウンが可能です。一度作成したコンテンツは、通販サイトで24時間集客してくれるため、費用対効果の高い施策といえるでしょう。
集客につながる
コンテンツマーケティングによって、購買意欲向上による通販サイトへの集客効果が期待できます。たとえば肌荒れで困っているユーザーへ、ニキビができにくかったり乾燥しにくくなったりするような、悩みを解決へ導く内容のコンテンツを提供すると仮定しましょう。
コンテンツを見たユーザーが「自分も使ってみたい」と感じると通販サイトへのアクセスにつながり、最終的に商品購入や資料請求などのコンバージョンが見込めます。
通販サイトへの集客につなげるためにも「ユーザーが利用したらどのような結果に導けるか」を意識したコンテンツを作成しましょう。
通販でコンテンツマーケティングを行うデメリット
どのような施策にもデメリットがあり、把握しておくと対処が必要になり、解決策を講じる際に役立ちます。コンテンツマーケティングのデメリットは、以下の3つが挙げられます。
・成果が出るまで時間がかかる
・継続的にコンテンツを更新し続ける必要がある
・成果が出るとは限らない
順番に見ていきましょう。
成果が出るまで時間がかかる
コンテンツマーケティングは即効性がなく、成果が出るまで時間がかかる施策のため「通販サイトで今すぐ集客を得たい」という目的で実施すべき施策ではありません。
仮にユーザーの求める内容のコンテンツを作成できたとしても、検索エンジンに評価されて検索上位に表示されるまでの期間が、数か月~半年はかかります。
自社の通販サイトへ流入して、商品やサービスのファンになってもらうために、ユーザーとの関係構築にも時間が必要です。コンテンツマーケティングを施策する際は、中長期的にサイト運用が必要だという点を、あらかじめ認識しておきましょう。
継続的にコンテンツを更新し続ける必要がある
通販サイトに掲載したコンテンツは、一度作成したら終わりではなく、定期的な更新が必要です。コンテンツを蓄積しながらファンを増やす地道な作業によって、通販サイトへの集客が見込めるため、労力が必要です。
通販サイト運営における人的なリソースも継続して必要となり、場合によっては外注も視野に入れながらコンテンツ作成を続ける必要があります。
成果が出るとは限らない
通販市場の拡大によって、コンテンツマーケティングに取り組む企業は増えており、競合の多さから実施しても必ずしも成果が出るとは限りません。
コストをかけて外注したり、たとえ数百記事作成したりしても、コンバージョンが約束されているマーケティング手法ではない点を理解しておきましょう。
成果につなげるには通販サイト運営の目的を明確にしたうえで、ユーザーの疑問や悩みを解決に導ける、ニーズを満たしたコンテンツを増やしていく必要があります。
次の章ではコンテンツマーケティングにおいて、通販サイトを運用するポイントを解説しますので、参考にしてください。
通販サイトをコンテンツマーケティングとして活用する際のポイント
コンテンツマーケティング手法を用いて、通販サイトを運用するポイントは、以下の3つです。
・目的に合った計画をする
・自社サービスの理解を深める
・運営チームの体制を整える
順番に見ていきましょう。
効果的なコンテンツの作成方法とは?便利なツール・サービスも紹介
目的に合った計画をする
アクセス数やリピーターの増加など、通販サイトをどのような目的で運営するかによって、コンテンツの内容を変える必要があります。
たとえば通販サイトへのアクセス数の増加を求める場合は、SEOを意識してコンテンツ作成する必要があります。リピーター増加を目指す場合は、商品の使い道に関するブログ記事を掲載したり、メルマガを配信したりしてもいいでしょう。
ユーザーが何を求めているかを踏まえたうえで、自社の通販サイト運営の目的に合ったコンテンツを配信できると、購買やお問い合わせ・資料請求などのコンバージョンにつながります。
自社サービスの理解を深める
自社サービスへの理解を深めると、商品の強みがわかり、ユーザーにとって魅力に感じられる情報提供が可能です。ニーズが満たされた情報を得たユーザーは、購買意欲を高められ、通販サイトからの商品購入につながります。
自社サービスについて知識がなければ魅力を十分にPRできず、通販サイトからのユーザーの購入を見込むには困難です。
ユーザーが「この通販サイトで販売されている商品が欲しい」と感じるような、心に刺さるコンテンツづくりには、自社サービスへの理解を深めて消費者のニーズを把握しましょう。
運営チームの体制を整える
コンテンツマーケティングは、通販サイトの運営者が1人でおこなうには負担が大きく、限界があります。魅力的な通販サイトを作成するには、運営チームを作り人手とリソースを確保して、体制を整えるといいでしょう。
社内に存在するノウハウがある有識者や企画考案者だけでなく、自社サービスの仕入れや製造に携わる方達の協力も、通販サイト運営には必要です。各自が得意なコンテンツを担当しながら、不足な面は外注で補ったり新規採用を検討したりしましょう。
中長期的に施策を継続するコンテンツマーケティングは、通販事業に関わる多方面の職種を含めた運営チームをつくり、万全な体制で臨む必要があります。
通販サイト×コンテンツマーケティングの成功事例5選
最後に、通販サイトでコンテンツマーケティングを活用した成功事例を紹介しますので、ぜひ今後の参考にしてください。
コンテンツマーケティングの成功事例18選!成功のためのポイントも紹介
海外のコンテンツマーケティングの成功事例13選|ポイントを押さえよう!
ECでコンテンツマーケティングを活用するには?成功事例も紹介!
北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」はオウンドメディア型のサイトを運営しながらも、SNS運用を活用してコンテンツマーケティングをおこない、より多くの集客につなげた事例です。
すでに多くのユーザーからの流入を得ている「北欧、暮らしの道具店」の通販サイトですが、スマートフォンの普及率が伸びるなかで、SNS需要を見込んでInstagramの活用を開始しました。
Instagramではユーザーから需要のあるレシピや、ファッションなど小さな日常に関するコンテンツが投稿され、結果的に商品の購入につながっています。オウンドメディアで成功していながらも、さらに今後のユーザーニーズを捉えて、最新の手法を取り入れた事例です。
石けん百貨
コンテンツSEOを意識して通販サイトを運営している「石けん百貨」は、化粧品やアロマグッズを販売しており、知識や生活に関するハウツー記事などを掲載しています。
ユーザーにとって生活に役立つ知りたい情報が掲載されたコンテンツは、利用しやすいようリンクの位置や説明文など、さまざまな目線で追求されている点が特徴です。
「石けん百貨」は常にユーザーの目線に立って作られているため、検索エンジンからの評価が高く上位に表示される通販サイトとなっており、検索流入からの商品購入につながっています。
マルキユー
マルキユー株式会社は釣り餌を取り扱っており、動画コンテンツを活用したコンテンツマーケティングに成功しています。スマートフォンの普及率が伸び、動画需要の高まりを感じたマルキユー株式会社は「MARUKYU TV」という釣りに特化した動画サイトを運営しています。
「MARUKYU TV」を釣りに興味があるユーザーが閲覧すると、取り扱う釣り餌の認知を高められるので、ブランディングが可能です。マルキユー株式会社のケースは動画配信によって、自社商品に興味をもったユーザーからの購入につなげ、成功している事例です。
土屋鞄製造所
土屋鞄製造所は通販サイト「TSUCHIYA KABAN」のオウンドメディア運営により、コンテンツマーケティングを成功させています。
こだわり抜いたレザー商品を扱う「TSUCHIYA KABAN」では、商品紹介や革に関する知識の他、愛用者へのインタビュー記事などを掲載しています。
統一感のあるサイトからは商品に対するこだわりや品質の高さが伝わるため、ユーザーの共感が得られて、ファンの増加につながっているといえるでしょう。
コンテンツ提供によって認知度を向上させるとともに、多くのユーザーに「土屋鞄製造所の商品だからこそ欲しい」と感じさせ、購買意欲を高めている事例です。
くらしの良品研究所
すでにサイトは終了していますが「くらしの良品研究所」は多くのユーザーからの支持を得た、株式会社無印良品のオウンドメディア型通販サイトです。シンプルで洗練されたサイトでは、暮らしに関するコラムやユーザーからの意見を募集したコンテンツが掲載されています。
丁寧な暮らしをテーマにしたコンテンツは、無印良品の愛用者や、シンプルかつ高品質な日用雑貨を求めるユーザーが好感をもつ内容です。
多くのファンからの共感を得た結果「良質な商品を提供する企業」という、ブランディング確立にコンテンツマーケティングを役立てた事例です。
まとめ
本記事では、通販サイトをコンテンツマーケティングで活用する際の、ポイントについて解説しました。
通販サイト運営は1人ではなくチームでおこない、目的に応じた戦略を立てます。自社サービスへの理解を深めたうえで、ユーザーが魅力に感じるコンテンツを作成しましょう。
継続したコンテンツ作成は通販サイト運営において資産となり、自社サービスの信頼向上につながります。自社だからこそ届けられる、ユーザーにとって価値ある情報提供により、通販サイト運営におけるコンテンツマーケティング成功へとつながるでしょう。
株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。