オウンドメディア設計の手順を解説!成功するためのポイントとは?
オウンドメディアを積極的に活用し、自社の商品やサービスをアピールしたいと思う企業も少なくないはずです。多くの人にコンテンツを読まれるためには、どのように設計するかを入念に考えなければなりません。
この記事では、オウンドメディア設計の手順とポイントを解説します。特に手順は押さえるべき内容も多く、慣れないうちはスムーズな作業が難しいかもしれません。うまく設計を進めるためにも、記事の内容を社内で共有してください。
オウンドメディアへの理解を深めたい方はこちら
良いオウンドメディア設計とは?
オウンドメディアの運用で成果を出すには、設計の段階から力を入れる必要があります。長期にわたる運用が基本であるため、トラブルなく使い続けられるよう構築しなければなりません。
質の高いオウンドメディアを設計する企業の特徴は、入念に計画を立てている点です。オウンドメディアは専門的な知識も求められることから、慎重に取り組むことが不可欠でしょう。リサーチする量も多く、運用するまでに時間をかける必要があります。
設計作業で手を抜かず、将来を見据えて設計されたオウンドメディアは成果を出しやすくなります。社内にノウハウがない場合は、専門家のアドバイスをもらった方が得策です。作業をスムーズに進めるべく、マニュアルを作成および共有しましょう。
オウンドメディア設計の手順
オウンドメディアを設計するときは、自社で手順をしっかりと定める必要があります。設計までのプロセスを決めることで、効率良くオウンドメディア運用への準備が進むためです。
複数の社員が設計を担当する場合、役割分担もしやすくなるでしょう。ここでは、基本的な手順について12個のフローにわけて紹介します。オウンドメディア設計時の参考にしてください。
オウンドメディアの目的を決定
オウンドメディアを設計するには、まずは目的を決めてください。
目的を定める上では、KPI(中間目標)とKGI(最終目標)の設定が大切です。KGIを決定しなければ、オウンドメディアの方向性が定まりません。商品やサービスの購入や資料請求など、最終的な目的を決めましょう。
KGIを定めたら、KPIも細かく設定します。例えば、オウンドメディアから商品やサービスの購入を15%増やすとします。このとき、以下のようなKPIの設定も可能です。
・アクセス数を20%増やす
・PV数を25%増やす
・新規顧客を10%増やす
KPIを定めることで、KGI到達までのプロセスをイメージできます。効果検証もしやすくなり、オウンドメディアの改善にも役立つでしょう。
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テーマの決定
統一性のあるコンテンツを配信するには、オウンドメディアのテーマを決める必要があります。自社の商品やサービスに関連するジャンルから決めるのが基本です。テーマの決定は、SEO対策(検索エンジンに評価されるための取り組み)にも影響を与えます。
ユーザーは、GoogleやBingなどの検索エンジンにより、キーワードを用いて検索します。オウンドメディアまたは各コンテンツへのアクセスを促すには、いわゆるキーワード選定が重要です。この取り組みをする中で、テーマ選びがカギを握ります。
テーマが定まっていれば、制作するコンテンツのネタも見つけやすくなるでしょう。オウンドメディア設計の軸になるため、じっくり考えて決めてください。
ペルソナの決定
オウンドメディア設計において、ペルソナ(商品やサービスを購入してもらいたいユーザー像)の決定も大切です。制作するコンテンツは、一人ひとりのユーザーに寄り添うことが肝心です。そのため、決める際には、属性をより細かく指定するよう心がけてください。
次のように、イメージする顧客をプロフィールとしてまとめるといいでしょう。
基本情報 | 20〜40代、女性 |
職業 | アパレル関係の仕事 |
収入 | 年収300〜500万円を想定 |
家族構成 | 既婚者で子どもあり |
性格 | 外向的でアウトドア好き |
上記の情報の場合、人と接する機会が多いことから「コスメ・化粧品関連」の商品を購入するかもしれないと予想できます。自社の商品やサービスのイメージと関連付ければ、コンテンツで書くべき内容を定められます。
コンテンツマップの作成
オウンドメディアは、ユーザーがスムーズに回遊できるよう設計しましょう。目的のコンテンツが見つけにくいと、離脱される恐れもあるためです。したがって、オウンドメディア全体の地図を示すコンテンツマップも作成しましょう。
まずは、ユーザーがトップページにアクセスすると仮定します。そこから、各コンテンツに遷移できるよう整理してください。
コンテンツは、カテゴリーごとにまとめることがおすすめです。「美容」の親カテゴリーを用意し、そこから「化粧品」や「脱毛」などと子カテゴリーに分けます。
なるべく、ユーザーがすぐに目的のページを探し出せる工夫が大切です。誰でもコンテンツを探し出せるようにオウンドメディアの作り方を工夫しましょう。
ワイヤーフレームの作成
オウンドメディアを設計するときは、ワイヤーフレームの作成も重要です。ワイヤーフレームとは、サイトの配置に関する設計図を指します。オウンドメディアのワイヤーフレームは、大きく分けて次の種類があります。
・サイトヘッダー
・サイドバー
・記事ヘッダー
・本文
・記事下
・サイトフッター
サイトヘッダーには、自社のロゴや電話番号を記載するといいでしょう。インパクトが大きければ、ユーザーの記憶にも残りやすくなります。関連記事やカテゴリーは、サイドバーで整理するのが基本です。別のコンテンツへユーザーを誘導できます。
記事ヘッダーにタイトル、記事下は資料請求ボタンやシェアボタンを設置しましょう。サイトフッターには、会社概要やプライバシーポリシーが一般的に用意されます。
デザインとCMSの選定
次に、オウンドメディアのデザインやCMSを選定します。デザインは、自社のブランドにうまく合わせるのがコツです。
着手する事業や扱っている商品に合ったものを選びましょう。ユーザーの中には、スマートフォンから検索する方もいます。パソコンのみならず、スマートフォンでどう映るかも重視してください。
デザインが決まったら、CMSも合わせて選びます。CMSとは、HTMLやCSSの知識がなくても、管理画面からオウンドメディアの更新や新規ページ作成ができるツールのことです。代表的なツールとしては、WordPressが挙げられます。
一度CMSを導入すると、時間やコストがかかるため別のツールに乗り換えにくくなります。最初の選定で失敗しないよう、入念にリサーチして選んでください。
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サーバーを選択
CMSの選定と同じタイミングで、サーバーも選びます。サーバーは、オウンドメディアを運用する上での土台です。CMSのみを導入しても、オウンドメディアをWeb上で公開できません。必ず、双方を同時期にそろえましょう。
サーバーを選ぶ際には、転送量(テキストや画像、動画を送受信できる容量)に注意してください。転送量の小さい製品を選ぶと、オウンドメディア運用に制限がかかる恐れもあります。
ただし、サーバーにもさまざまな種類が存在します。サーバー選びによる失敗を防ぐには、CMSとの相性も検討した方が望ましいでしょう。仮にWordPressをCMSに選ぶのであれば、同ツールのインストール機能がある製品を導入した方が得策です。
コンテンツの企画・制作・編集
オウンドメディアの大まかな設計が完了したら、配信するコンテンツに目を向けます。大きく3つに分けると、具体的な方法を提案できます。
・企画
・制作
・編集
コンテンツの軸を作るためにも、企画に力を入れることが大切です。テーマやペルソナ、構成案を決めましょう。自社で制作するか、プロのライターに外注するかも検討してください。外注するのであれば、依頼する段階で予算も確保しなければなりません。
軸がある程度定まったら、コンテンツの制作に移ります。作る際には、上述したようにキーワード選定を中心にSEO対策をしましょう。
コンテンツの制作が終わった後は、画像選定や校閲といった編集作業を行います。文字の色や太さも変えつつ、見やすさを意識するよう努めてください。
解析ツールの導入
コンテンツを配信したら、定期的に効果検証を行います。効果検証に役立つのが解析ツールです。主に次の数値をチェックしてください。
・コンバージョン(オウンドメディアで得る最終的な成果)数および率
・PV数(ページが表示された回数)
・アクセス数(オウンドメディアが訪問された回数)
・直帰率(全訪問のうち1ページだけ見てサイトを離脱した割合)
・回遊率(Webサイト訪問数に対するPV数)
最終的な成果であるコンバージョンを上げるには、PV数やアクセス数も重視されます。PV数と比べてコンバージョン数が少な過ぎるのであれば、サイト内のデザインやコンテンツの見直しが必要です。
直帰率が高い場合は、コンテンツ内にも記事リンクを貼りつつ、オウンドメディア内の回遊率を上げましょう。
SNSやメルマガなどの導入
オウンドメディアの運用と合わせ、SNSやメルマガの導入も検討した方が賢明です。SNSのアカウントを開設すれば、制作したコンテンツを拡散できます。主に以下のサービスを利用してみるといいでしょう。
・LINE
コンテンツとは別に、SNSで発信すると幅広く情報を伝えられます。フォロワーをファンにすることで、オウンドメディアへのアクセスも促せるかもしれません。
他にも、メールマガジン(メルマガ)で情報提供する方法もあります。メルマガとは、登録したユーザーへ向けて定期的にコンテンツを配信するサービスのことです。読者に直接情報提供ができるため、長期顧客を作る上で役立ちます。
エディトリアルカレンダーの作成
多くの人にアクセスされるオウンドメディアを設計するには、エディトリアルカレンダーも作成しましょう。エディトリアルカレンダーは、コンテンツの公開日をまとめるツールです。今後のスケジュールをまとめ、計画通りの更新を心がけてください。
新しい情報が更新されないと、ユーザーに飽きられてしまうリスクが高まります。SEOには直接的な影響を与えないものの、結果的にコンバージョン数を下げかねません。更新頻度を落とさないためにも、エディトリアルカレンダーを使ったスケジュール調整が大切です。
エディトリアルカレンダーを作成したら、社内での共有も忘れないでください。担当者全員で、定期的に進捗(しんちょく)状況を確認し合いましょう。
コンテンツのファーマットの作成
コンテンツのフォーマット作成も、オウンドメディアの設計に重要です。複数の担当者がコンテンツを作ると、統一感を出しにくくなります。同じオウンドメディアで掲載する場合、複数の記事の文体や表現方法が統一されていなければ、読者も不審に感じるでしょう。
違和感をなくすためにも、コンテンツのフォーマットをあらかじめ用意してください。特に押さえるべきポイントは次の5点です。
・タイトルの書き方や文字数
・見出しの作り方
・文字のフォントと大きさ
・トンマナ(文言に一貫性を持たせること)
・段落の作り方
特に、外部のライターに依頼する場合は、フォーマットの情報共有は欠かせません。レギュレーション(規則)を相手に提示し、統一感を出せるよう工夫しましょう。
オウンドメディア設計のポイント
オウンドメディアは、多くの人々に有益な情報を発信するのが目的の一つです。ユーザーから読まれるコンテンツを制作し続けるには、設計の段階でうまく戦略を練る必要があります。
ここでは、オウンドメディアを設計する際のポイントを紹介します。社内でしっかりと内容を共有しつつ、ユーザーから高く評価されるよう努めましょう。
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スマホ読者を意識したコンテンツ作成
コンテンツを作成する際には、「スマホ読者」も意識した方が賢明です。スマートフォンでネット検索するユーザーも増え、2022年では96%であると示したデータもあります。一方で、企業は基本的にパソコンでコンテンツ制作をするでしょう。
コンテンツの見直しをパソコンのみで行うと、スマートフォンで表示したときに見づらくなる恐れがあります。特に注意しなければならないポイントが改行です。
パソコンではきれいに整理されていても、スマートフォンになると中途半端な部分で改行されているケースも見られます。必ず、パソコンとスマートフォンの両方で確認を行いましょう。
SEO対策に力を入れる
多くの人に読まれるコンテンツを作るには、SEO対策に力を入れることが重要です。検索エンジンに評価されるため、コンテンツの質を高めなければなりません。評価基準も頻繁に変わることから、適宜情報収集する必要があります。
他にも、意識したいポイントは「E-E-A-T(経験、専門性、権威、信頼)」です。これまでの事業で培った経験を生かし、専門性の高いコンテンツを制作しましょう。
他企業の真似ではなく、オリジナルのコンテンツが求められます。真摯(しんし)に有益な情報提供と向き合い、ユーザーから信頼されるオウンドメディアを設計してください。
読者のニーズを反映する
いくらコンテンツの配信を続けても、読者のニーズを反映しなければ意味がありません。ユーザーの知りたがっている内容を押さえ、できる限り網羅するよう心がけましょう。1つのコンテンツに収まらない場合は、内部リンクで別のコンテンツに誘導しても構いません。
読者のニーズのリサーチに役立つのが、サジェストワード(検索枠に文字を入力すると、自動的に表示される項目)。サジェストワードは、ユーザーの過去の検索履歴や世間からの注目度を基準に決められています。
ユーザーの興味や関心を調べる上で役立つため、1つの参考材料として活用しましょう。
オウンドメディア設計のよくある失敗例
設計をおろそかにした場合、オウンドメディアの運用で思った以上の成果を上げられなくなります。あらかじめ失敗例も押さえつつ、同じミスをしないよう注意してください。
最後に、オウンドメディア設計のよくある失敗例を紹介します。社内でしっかりと共有し、設計する中で何度も繰り返し確認してください。入念な対策が、オウンドメディア運用を成功させる近道です。
オウンドメディアにありがちな失敗11選|注意すべきポイントも解説
目的やコンセプトが曖昧
オウンドメディアのよくある失敗例として、目的やコンセプトが曖昧になっている点が挙げられます。これらは、コンテンツを作る上でも軸となる重要なポイントです。ペルソナやトピック選定にも影響を与えるため、明確に定めましょう。
オウンドメディアで設定される目的の例は、以下の通りです。
・売上数を伸ばす
・採用数を増加させる
・企業や商品(サービス)のブランディング
・ナーチャリング(見込み客に商品やサービスへの興味を持たせて優良顧客にする)
ユーザーにとってほしい行動を考えた上で、目的やコンセプトを定めてください。
ユーザーのニーズを無視したコンテンツ作成
オウンドメディアの設計時において、ユーザーのニーズをしっかりと捉えていないと失敗するリスクも高まります。
コンテンツ作成へ移る前に、ユーザーが欲しがっている情報をリサーチしましょう。上述したサジェストワードに加え、関連キーワードもツールで調べた方が得策です。
興味のない情報を並べられても、ユーザーはすぐに離れてしまいます。まずは、ユーザーの悩み解決につなげることを意識してください。
「有益な情報を届けてくれるオウンドメディア」だと認識されれば、今後もアクセスしてもらう確率も上がります。コンバージョンに結びつくチャンスも増えるでしょう。
運営チームの組織力不足
オウンドメディアで成果を出すには、社内のチームワークも大切です。設計時には役割分担を決め、スムーズかつ正確に業務を進めることが不可欠です。どの手順でも、手を抜いてしまえば失敗につながると考えた方が望ましいでしょう。
オウンドメディアを運用する上で、外部のライターに仕事を依頼する企業もあるはずです。レギュレーションをあらかじめ用意し、作業に支障が出ないよう環境を整えてください。
オウンドメディアは、長期的な運用が必要とされる媒体です。社員やライターに欠員が出たとしても、代わりに作業を行える体制も作りましょう。
まとめ
オウンドメディアの設計で重要なポイントは、各手順に沿ってマニュアルを作成することです。準備するものが多いため、案を残しておかないと作業がスムーズに進まなくなります。コンテンツの方向を定められず、思った以上の成果を出せなくなるかもしれません。
計画通りに進めるためには、必要なツールや費用、運用の目的を細かく決める必要があります。社内のチームワークを大切にしつつ、ユーザーから必要とされるオウンドメディアを目指して設計に取り組んでください。
株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。