オウンドメディア構築の手順や費用は?成果を上げる方法や事例も紹介
オウンドメディアとは、企業が保有するメディアの総称です。「企業が保有するメディア」として多くの方が想像するホームページも、厳密に言えばオウンドメディアに入りますが、一般的には異なるものとして扱われています。
ホームページは事業内容や会社概要など、企業に関する一般的な情報を掲載するメディアであるのに対し、オウンドメディアは自社の分野に特化した情報をマーケティング・採用・ブランディング目的で発信するメディアです。
オウンドメディアを運営することで、見込み顧客の増加や売上の増加などの効果が得られます。以下のページで、オウンドメディアについて詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてください。
オウンドメディアをマーケティングに生かしたい時に気になるのが費用です。いくら予算を確保すればいいのか、費用対効果はどうなのかと考える人も多いでしょう。
本記事では、オウンドメディア構築の立ち上げ手順や費用相場、効果を高くするために押さえておくべきポイントを紹介します。オウンドメディア立ち上げの際に、ぜひ参考にしてください。
オウンドメディアの立ち上げのプランニング
オウンドメディアの立ち上げのプランニングは、次の順番で進めます。
・オウンドメディア目的とゴール・KPIの設定
・ターゲット・ペルソナ設定
・カスタマージャーニーの考案
・競合他社の分析
・サイトマップ設計
・予算策定・人的リソース確保
・構築手段の検討
以下で、オウンドメディアの立ち上げのプランニングの具体的な内容について見ていきましょう。
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オウンドメディア目的とゴール・KPIの設定
はじめに、オウンドメディアを立ち上げる目的とオウンドメディアのゴール・KPIの設定をします。オウンドメディアを立ち上げる目的およびオウンドメディアのゴール・KPIには次のようなものが考えられます。
・問い合わせ数の増加
・商品・サービス購入者の増加
・企業や商品・サービスの認知度拡大
・採用強化
目的やゴール・KPIをどこに定めるのかでオウンドメディアの運用方法が大きく変わるため、重要なポイントです。オウンドメディアを通じてどのような成果、結果を得たいのかを明確にしておきましょう。
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ターゲット・ペルソナ設定
オウンドメディアの目的やゴール・KPIが決まったら、ターゲットやペルソナの設定をする必要があります。年齢や居住地、職業、年収、購入頻度などをもとに、どのようなユーザー層をターゲットにするのかを決めましょう。
さらに、対象となるユーザーを明確にし、ユーザー視点での施策を講じるために、ペルソナ設定も行います。
ターゲット設定ではユーザー層をイメージしたのに対し、ペルソナ設定では具体的な「個人」をイメージします。ペルソナ設定をする際には、以下の要素をもとに見込み客のイメージを作り上げていきましょう。
・年齢
・性別
・居住地
・家族構成
・職種
・年収
・趣味
・悩み
カスタマージャーニーの考案
カスタマージャーニーとは、ユーザーが商品やサービスを知ってから購入するまでの一連の流れを指す言葉です。
ユーザーが購入するまでの行動過程を具体的に考えるため、ジャーニーごとのキーワード選定をできたり、ユーザーのニーズに適したコンテンツを作りやすくなったりするなどのメリットがあります。
また、運用がうまくいかなくなった場合にカスタマージャーニーに立ち戻って優先順位を決めたり、検証や改善ができるため、立ち上げの段階でカスタマージャーニーを考案しておくことがおすすめです。
競合他社の分析
オウンドメディアの立ち上げでは、競合他社の分析も欠かせません。すでに競合他社が運営しているオウンドメディアがある場合、自社が差別化できるポイントを見つけられるだけでなく、自社がメディア運用を成功させるためのヒントも得られます。
競合調査には多数ある競合サイト分析ツールが活用できるため、分析したい項目の調査ができるツールを選んで活用してみてください。
分析項目としては、発信チャネル、メディア内によくある訴求やCTA、キーワードの掲載順位、記事の文字数、DR(ドメインランク)などがあります。
サイトマップ設計
ターゲット・ペルソナ設定やカスタマージャーニーの考案、競合他社の分析ができたら、オウンドメディアの作成に取り掛かります。
はじめに行うのがサイトマップの設計です。サイトマップとは、制作するコンテンツのカテゴリーを階層構造で表したものです。
サイトマップを設計することにより、制作するコンテンツ内容が一目でわかり、メディアの管理がしやすくなるだけでなく、サイトを訪れたユーザーにも「目次」の役割を果たします。
そのため、社内共有のためにも顧客のためにも、わかりやすい言葉を使った分類を心がけてください。
予算策定・人的リソース確保
オウンドメディアの運用では、サイト構築にかかる費用だけでなく、コンテンツ制作費やデザイン制作費など、さまざまな費用がかかります。
外注か内製か、またメディアの規模によっても必要な費用が異なり、10〜20万円ほどで始める場合もあれば、数百万円ほどかけて始める場合もあります。そのため、あらかじめ必要な予算の大きさを決めておく必要があるのです。
また、オウンドメディアを運用する人的リソースを確保する必要もあります。
外注する場合は最小限の人員で運用できますが、内製する場合はオウンドメディアの運用に精通している人員を多く確保しなければなりません。そのため、早めに予算策定・人的リソース確保を行うことをおすすめします。
構築手段の検討
オウンドメディアの構築には、①CMSを使う方法、②スクラッチ開発を行う方法、③既存のサイト内に構築する方法の3種類があります。
CMSとは、オウンドメディアに掲載するテキストや画像、レイアウト情報などを管理するシステムであり、CMSを用いることで専門知識が少ない人でもオウンドメディアの運用が可能です。
スクラッチ開発とは、オウンドメディアをゼロから作り上げる方法で、Webサイトの立ち上げに関する専門知識を持った人材が必要な一方、自由自在にメディアを構築できるメリットがあります。
既存のサイト内にオウンドメディアを構築する方法では、オウンドメディアの運用にかかる手間やコストを最小限にしたい場合におすすめの方法です。
オウンドメディアの立ち上げ時に準備するもの
オウンドメディアの立ち上げ時に準備するものは、次の3つです。
・ドメイン
・サーバー
・CMS
ドメイン
ドメインとは、オウンドメディアがインターネット上のどこにあるかを示す、住所のようなものです。一般的に知られているドメインは「〇〇.com」や「〇〇.jp」などが挙げられます。
ドメインは、メディアを立ち上げる上で必要なものです。また、他のメディアと重複しないようになっているため、使おうと思っていたドメインがすでに使用されている場合は、異なるドメインを考えなければならない点に注意してください。
ドメインの費用は1円のものもあれば、10000円以上のものもあります。
サーバー
サーバーとは、オウンドメディアを立ち上げるために必要な、土地のようなものです。オウンドメディアで使用するファイルやデータベースをアップロードする場所です。
サーバーの性能はサイトの表示速度などに直接影響するため、大きなアクセス数を狙う場合は高性能なサーバーを用意する必要がある点に注意してください。年間で2~3万円の予算を確保しておくと安心でしょう。
CMS
オウンドメディアの構築手段を「CMSを使う方法」にした場合、CMSの準備も必要です。CMSを使うことで、HTMLやCSSなどの専門的なプログラミング知識がなくてもオウンドメディアを運用できるメリットがあります。
代表的なCMSは「WordPress」であり、多くのWebサイトで利用されています。もちろん、他にもさまざまなCMSがあるため、費用や機能などの観点から、自社のオウンドメディアに適したCMSを見つけてみてください。
オウンドメディアの立ち上げの手順
オウンドメディアの立ち上げは、次の手順で進めます。
①ページごとのワイヤーの準備
②ページごとにデザインする
③CMSの選定
④ドメインやサーバーの設定
⑤コーディングをする
⑥コンテンツ制作
⑦公開、インデックス
それぞれの手順について、以下で詳細を見ていきましょう。
①ページごとのワイヤーの準備
1つ目に、ページごとのワイヤーの準備をします。
ワイヤーとは、サイト内の骨格を示すものであり、サイトを構成する要素をどのように表示するかを示すものです。具体的には、ヘッダーや記事タイトル、アイキャッチ画像、目次、本文などをどのように配置するのかを決めます。
見やすいオウンドメディアを制作する場合、PCとスマホでは異なる表示にする必要があるため、PCとスマホの両方のワイヤーを準備します。
②ページごとにデザインする
2つ目に、ページごとにデザインします。オウンドメディアのデザインは、ユーザーが企業や商品・サービスに抱くイメージに直結するため、ブランディングの観点から考えることが大切です。
もしデザイン制作を外部に委託する場合は、希望する通りのデザインに仕上がるように綿密に打ち合わせを行うことをおすすめします。
委託先を信用し丸投げしてしまうと、希望とは異なるデザインが出来上がってしまうこともあり、デザインの大幅な修正やデザインの作り直しが必要になることも考えられます。コストや時間を無駄にしないためにも、事前に綿密に打ち合わせするようにしてください。
③CMSの選定
3つ目に、CMSの選定をします。オウンドメディアに掲載するテキストや画像、レイアウト情報などを管理するシステムであるCMSには、WordPressやMovable Type、Clipkitなどさまざまな種類があります。
機能や料金などの観点からどのCMSを利用するのかを検討してみてください。代表的な5つのCMSの料金は後ほどご紹介します。
CMSを選んだら、使用するテーマの選定もしてください。テーマとはサイトデザインのテンプレートのことであり、テーマを導入するとWebサイトを作成したことのない人でもプロのようなデザインに仕上げられます。
企業や商品・サービスのブランドイメージに沿ったテーマを選ぶことがおすすめです。
④ドメインやサーバーの設定
4つ目に、ドメインやサーバーの設定をします。ドメインはインターネット上の住所のようなもの、サーバーはインターネット上の土地のようなものです。
ドメインは今、保有している企業ドメインのサブドメインかサブディレクトリにするのもよいでしょう。一方、サーバーはCMSが利用できるものを選ぶことでスムーズにオウンドメディアの構築が進められるでしょう。
⑤コーディングをする
5つ目に、コーディングをします。コーディングとは、作成したデザインや必要な機能をWebサイト上に実装する工程のことです。コーディングには専門知識が必要であるため、プログラミング専門の人材に依頼して行うことが一般的です。
CMSを使用する場合、コーディングは不要です。コーディングをする代わりに、必要な機能を搭載するためのプラグインを入れる必要があるため、どのプラグインを入れるのかを検討します。
⑥コンテンツ制作
6つ目に、コンテンツ制作をします。コンテンツ制作は、主に以下の手順で進めます。
・キーワード選定
・記事構成(骨組み)の作成
・本文執筆
・CMS入稿
特に、キーワード選定と記事構成の作成、CMS入稿では、検索結果の上位に表示されるための方法である「SEO対策」の知識が必須です。SEO対策を知らない人がオウンドメディアを運営しても、ほとんど成果が出ない場合が多くあります。
もし自社内にSEOに精通している人材がいない場合は、オウンドメディアの運営全般を外部に委託することも検討してみてください。
▼キーワード作成例
⑦公開、インデックス
7つ目に、記事の公開、インデックスを行います。まず、入稿まで完了した記事を公開します。ただし、記事を公開しただけではユーザーに届かない可能性があります。
そこで重要なのがインデックスです。インデックスとは、公開した記事が検索エンジンのデータベースへ登録されることです。インデックスされないと検索エンジンに記事の存在を認識してもらえないため、検索結果に表示されることもありません。
インデックスされるには、既存の記事に関連記事としてリンクを貼ったり、タイトルを簡潔にしたりするなどの対策をし、Webページを巡回しているクローラーに発見してもらう必要があります。
Google サーチコンソールなどのツールを用いて、インデックスされていることが確認できれば、記事公開までの一連の流れは完了です。
▼Search Consoleのサイトインデックス画面
オウンドメディアの構築にかかる諸費用
はじめに、オウンドメディアの構築にかかる費用にはどのようなものがあるのかご紹介します。オウンドメディア構築に必要な費用は7種類あります。それぞれ確認しましょう。
オウンドメディア外注料金の相場は?外注のメリット・デメリットも解説
オウンドメディア構築の手順や費用は?成果を上げる方法や事例も紹介
No. | 費用項目 | 金額目安 |
---|---|---|
1 | 戦略設計費 | 5〜30万円 |
2 | マーケティング費 | 10〜80万円 |
3 | SEO | 10~50万円 |
4 | ウェブ広告 | 20~50万円 |
5 | プレスリリース | 1回あたり3万円〜 月額契約 8万円程度 |
6 | SNS | 月額数万円〜50万円程度 |
7 | コンテンツ | 月額数万円〜50万円以上 |
戦略設計費
戦略設計とは、オウンドメディアのゴールやKPIの達成の道筋をつくることです。3C分析、STP分析などを用いて、自社のオウンドメディアのポジショニングを検討します。
また、カスタマージャーニーを設計し、ターゲットに対して、いつ、何を伝えて、どのような行動を起こしてもらいたいか、を定義し、具体的なメディアの設計をしていくこともあるでしょう。
マーケティング戦略が固まっており、担当者に経験や知識がある場合には、自社で行う事も可能です。しかし、戦略設計はオウンドメディアの土台となる重要なプロセスであり、十分な成果を見込むためには経験の豊富なプロに依頼することをおすすめします。
オウンドメディアを運用する際にはコンテンツマーケティングの戦略が求められることがあります。コンテンツマーケティングの戦略について詳しく知りたい方は是非下記のリンクをご覧ください。
マーケティング費用
オウンドメディア構築におけるマーケティングとは、オウンドメディアの目的をもとに、サイトマップの設計、サイト内の導線設計や集客経路の設計をするプロセスです。
戦略設計がゴール達成への方向性を決めるのに対し、マーケティングでは、具体的にユーザーを呼び、KPIを達成するための戦術を決めます。たとえば、施策として以下のようなものを検討します。
SEO
オウンドメディアを検索結果で上位表示するためには、SEO対策が有効です。ユーザー目線に立った記事を制作するだけでなく、ツールを用いた分析により運用面の改善やリライトを行うことで、検索結果での上位表示が狙えます。
SEO対策は自社内で対策することも可能ですが、外部に依頼する場合は月額10〜50万円ほどの費用がかかります。
ウェブ広告
オウンドメディアの集客力を向上させるために、インターネット上に広告を配信する方法も考えられます。ウェブ広告にはリスティング広告やディスプレイ広告などさまざまな種類があり、ユーザー層に応じた方法を選ぶことが大切です。
リスティング広告とは、ユーザーが広告をクリックした回数に応じて費用がかかる広告で、1クリックあたり数十〜数千円ほどの費用がかかります。ディスプレイ広告は、ウェブサイト内にある広告枠に表示される広告で、費用相場は月額20〜50万円程度です。
プレスリリース
オウンドメディアの情報をプレスリリースで配信することで、認知拡大を狙えます。Googleの検索結果で上位表示できていない場合でも、情報発信できるメリットがあります。
さらにプレスリリースが話題を呼べば、SNSで拡散されてアクセス数が増え、結果的に検索結果の上位に表示されやすくなることもあるのです。プレスリリースは、1回あたり3万円〜、月額契約であれば8万円程度で利用できます。
SNS
オウンドメディアの運用と併せてSNSの運用を行うことで、認知拡大や商品購入の増加を狙う方法もあります。
若者をはじめ、WebサイトではなくSNSから直接商品やサービスを購入するユーザーが増えています。そのため、オウンドメディアとSNSを連携して運用することで、より多くの人に商品を認知してもらうことが大切です。
SNS運用を自社内で行う場合は人件費のみで可能ですが、外部に依頼する場合には月額数万〜50万円程度の費用を支払う必要があります。
コンテンツ
オウンドメディアやウェブ広告、プレスリリース、SNSなどの媒体に発信するためのコンテンツ制作にも、費用がかかります。相場は月額数万〜50万円以上と幅広いため、コンテンツの質をどれほど追求するのかにより、必要なコストが異なります。
記事制作だけを依頼したい場合は月額数万円で十分な場合もある一方、SEO対策をしたり動画コンテンツも制作したりと依頼内容が増えると、月額50万円以上の費用がかかる場合もあります。コンテンツ制作にどの程度の質を求めるのかを、事前に考えておくとよいでしょう。
デザイン費用
デザイン費は、オウンドメディアのサイトデザインにかかる費用です。CMSのテンプレートを利用する場合には比較的安く抑えられますが、オリジナルでデザインを作成する際にはデザイナーが作成するため費用が高くなる傾向があります。
サイトデザインは、ユーザーに与える印象やサイトの使いやすさに影響し、オウンドメディアの成果を左右します。
コンテンツを増やした後に大幅にデザインを変更するには、費用も工数もかさんでしまいます。初期の段階で、納得のいくデザインを作り込んでおく必要があるでしょう。
コーディング費用
コーディングは、作成したサイトデザインや必要な機能をプログラミング言語を用いて実装していく作業です。専門的な作業であり、自社にプログラマーがいない場合には外注が必須です。
デザインと同様、コーディングにおいてもCMSを利用することで、費用を抑えることができます。ただし、CMSを利用する場合でも機能を充実させたり、SEO対策を別途行ったりなど、追加費用がかかる場合もあります。
また、制作会社によっては、デザインとコーディングがパッケージになっていたり、最初の記事数本分などコンテンツ制作が費用に含まれていたりする場合もあります。
オウンドメディアの制作に必要となる作業行程を理解した上で、予算と制作会社を照らし合わせて検討しましょう。
コンテンツの作成費用
コンテンツの作成にも費用がかかります。記事1本あたり2万円〜8万円が相場です。動画、マンガといったコンテンツの形式や、コンテンツ量によっても費用が大きく上下します。
クラウドソーシングサービスなどを利用して個人のライターに依頼することで、費用を安く抑えられます。
しかし、個人のライターの場合、ライティングスキルにばらつきがあったり、管理が難しかったりするため、社内でディレクション業務に慣れている人がいる必要があるでしょう。
安定した質の高いコンテンツを求めるのであれば、コンテンツ制作に強い制作会社に依頼することをおすすめします。コンテンツ制作にかかる費用や外注の際に抑えておきたいポイントを以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。
ドメイン・サーバー・CMSの費用
レンタルサーバーやドメイン、CMSなどを利用する際に費用がかかるでしょう。
自社サーバーが無い場合には、レンタルサーバーを利用します。接続不良などのトラブルが少ないため、オウンドメディアの運用にはレンタルサーバーを利用することが一般的です。初期費用は数万円、月額費用は数千円が相場です。
ドメインの取得においても費用がかかります。一般的には年間数百円〜数千円とされています。
CMSを利用する場合には、CMSの利用料金も必要です。オウンドメディア構築に使われる各CMSの料金は後ほど紹介します。
上記の費用は全て合わせても大きな負担ではありません。月額費用もかかるため忘れずに予算を確保しておく必要があります。
分析調査費
分析調査費とは、オウンドメディアの成果を高めるために、サイト公開後に必要な費用です。効果を最大化するために、さまざまな視点から分析や調査を行うことがあります。流入元やコンバージョン、SEOの成果、よく閲覧されている記事などを数値で算出し、分析します。
外注した場合には、SEOレポートやコンテンツの評価レポート、サイト導線の改善提案、コンテンツ改善の提案などが成果物となります。
自社で行う場合にも、分析や調査を行うためのツールの導入が必要です。分析調査と改善の提案には、マーケティング的な視点が必要であり、自社にコンテンツマーケティングの経験が豊富なマーケターがいない場合には、外注することをおすすめします。
オウンドメディアは分析と改善を繰り返すことで、成果につながっていきます。作って終わりではなく、継続的な運用が重要です。
パターン別オウンドメディアの構築方法
次に、オウンドメディアの構築方法を解説します。オウンドメディアの構築方法には、次の4種類が存在します。
・全ての工程を外部へ委託する
・サイトの立ち上げのみ外部へ委託する
・全て自社で制作する
・各業務を部分的に外部へ委託する
各種類の特徴やメリット・デメリットについて確認していきましょう。
全ての工程を外部へ委託する
1つ目は、全ての工程を外注する方法です。メディアを構築する際の企画や構成、コンテンツ制作、マーケティングはコンサルティング会社や広告代理店へ依頼し、WebデザインやSEOも、全て外部の専門家に協力してもらいます。
自社の方針やブランドの思いなどを委託先と共有しつつ、オウンドメディアの構築を進める形になるでしょう。
この方法は、オウンドメディアの構築が初めての場合におすすめの方法です。オウンドメディアの構築を独学で一から進めていくのはとても時間がかかります。オウンドメディアを初めて構築する場合やノウハウがない場合は、専門家の力を借りるのがいいでしょう。
外部委託でオウンドメディアを構築する際によくある間違いは、「ECサイト制作会社へ依頼する」ことです。
オウンドメディアと、ECサイト・インターネット広告とは、考え方も構造も大きく異なります。そのため、過去にECサイト制作の依頼経験があるWeb制作会社が、オウンドメディアの構築や運用が得意ではない可能性も十分考えられるからです。
コンテンツマーケティングに強い、オウンドメディア構築の経験がある企業に依頼するようにしましょう。費用については約300万円以上、発注から納品までは最低でも4ヶ月以上の期間が必要となります。
株式会社HubWorksの「コンテンツファクトリー」では、立ち上げからマーケティング支援まで業界最安値級でオウンドメディア構築を行っています。3ヶ月程度での構築実績もあるので、気になる方は問い合わせてみてください。
サイトの立ち上げのみ外部へ委託する
2つ目は、Webサイトの立ち上げのみ外部へ委託する方法です。企画や構成、SEO、マーケティングは自社で行い、サイト構築の技術やWebデザインを外部へ委託します。
過去にオウンドメディアを運用した経験があり、社内に運用するノウハウがある場合は、Webサイトの構築のみ外部へ依頼するのがよいでしょう。
この方法は、自社商品のブランディングに注力したい企業におすすめです。Webデザインに一定以上のクオリティーを担保できることからも、向いているといえるでしょう。
費用は約150万〜300万円、発注から納品までは約1〜2カ月程度の期間がかかります。
サイト構築の外注先をお探しの方には、以下の企業がおすすめです。
1. 株式会社HubWorks
2. 株式会社吉和の森
全て自社で制作する
3つ目は、全てを自社スタッフのみで制作を行う方法です。企画やSEO、Webデザインといった、オウンドメディアにかかわる全ての工程を自社で行います。
この方法は社内にWeb制作のチームを有しており、コンテンツマーケティングの知見がある上で、各担当者がオウンドメディア制作にリソースを割く余裕がある場合に検討するとよいでしょう。
外注費はかからず、社内スタッフに支払う人件費とオウンドメディアの運用に必要なサーバー代やドメイン代以外は必要ありません。制作期間については、基本的に3カ月程度です。
注意点として、「外部へ依頼するとコストがかかり過ぎる」という理由で内製化を検討している場合は、おすすめできません。制作したオウンドメディアを成功させるには、専門的な知識のみならず、相応の労力が必要となるからです。
自社で制作できる知識や技術、時間的余裕がない場合は専門家へ依頼するようにしてください。
各業務を部分的に外部へ委託する
4つ目は、オウンドメディアの制作に必要な各業務を部分的に外部へ委託する方法です。
自社である程度のコンテンツ制作は行えるが、全てを自社で行うだけのリソースがない場合や、自社の強みを生かした上で足りない部分を補いたいという場合に検討するとよいでしょう。費用は約50万円以上、期間は約3カ月以上かかります。
以上が、オウンドメディア構築を行う際の主な方法4パターンです。会社によってできることや状況・予算も違うため、目的や状況を考慮して選択してください。
【目的別】オウンドメディア構築の費用相場
では、実際にオウンドメディアを構築する際に、どのくらい予算を確保しておけばよいのか、オウンドメディア構築の費用相場をご紹介します。ここではオウンドメディア構築において何を重視しているのかで分類しています。
安くオウンドメディアを作りたい場合【〜50万円】
とにかく安くオウンドメディアを作りたい場合には、無料もしくは格安のCMSで、既存のテンプレートを活用したサイトの構築がおすすめです。中小規模の制作会社や個人に依頼すれば、30万円ほどで可能です。
CMSを利用しない場合でも、オウンドメディアの戦略設計やデザイン、コンテンツを自社で作成した上で、コーディングのみ外注するのであれば安く済ませることができるでしょう。
テンプレートを利用してオウンドメディアを作りたい場合【50万円~100万円】
CMSのテンプレートを利用する場合は35万円〜50万円が相場となります。
この場合はCMSのテンプレートに合わせてデザインを作成します。「安くオウンドメディアを作りたい場合」の上記に、デザイン代を加えたパターンと考えてよいでしょう。
記事の投稿機能の効率化をされたい場合や、問い合わせフォームといった簡単な機能を実装したい場合は、プラグインを用いるとよいでしょう。
本格的なオウンドメディアを作りたい場合【100万円〜300万円】
本格的なオウンドメディアを作りたい場合には、100万円〜300万円必要です。この価格帯がオウンドメディアの立ち上げで一般的な相場であるともいえます。
サイトはオリジナルデザインでCMSをカスタマイズしたものであり、かつ費用内にメディア戦略やマーケティング戦略も含まれていることが多いです。立ち上げに費用はかかりますが、その分成果が出しやすくなります。
サイトに使用する画像や記事も金額に含まれている場合もあります。また、コンテンツ制作や公開後の効果改善に関しては別途費用が発生したり、サービス対象外であることも多いです。
コンテンツ制作を別途外注したい場合には、以下の記事も参考にしてください。
オウンドメディア構築費用の注意点
では、オウンドメディア構築の費用を抑えようとするときに注意すべきポイントをご紹介します。
安い制作会社はカバー範囲が狭い場合がある
オウンドメディアの構築を外注する際に、費用だけを見て決めてしまうのは危険です。オウンドメディアの運用においては、密なコミュニケーションや細かなサポートが重要であり、安い制作会社は、カバー範囲が狭く、期待したサポートが受けられない可能性があります。
先ほど述べた通り、オウンドメディアの立ち上げにかかるコストは、その多くが人件費です。安価でできることを謳っている業者は、人件費を抑えており、テンプレートをあてはめるだけであったり、構築後のサポートがなかったりします。
制作会社を検討する際には、サポート内容だけでなく、戦略設計から構築後のサポートまで密な連携が取れるのか、自社の目的達成が可能かどうかを見極めましょう。
自社で構築すれば費用を抑えられるとは限らない
自社で構築するにも、スタッフの人件費がかかります。
戦略設計からデザイン、コーディング、コンテンツの投稿まで行うとすると、マーケター、デザイナー、エンジニア、ライターなどの工数確保が必要です。また、継続的に運用を行うことはもちろん、定期的にサイトのメンテナンスも必要になります。
自社のスタッフの人件費や確保すべきリソースを考えると、外注した方が結果的にコストを抑えられるというケースも少なくありません。
自社の現状やリソースを踏まえ、費用対効果を最大化するためには、どの部分を外注すべきか、どの部分は自社で行うべきかを検討しましょう。
予算が足りない場合は助成金や補助金を活用する
予算が足りない場合には助成金や補助金を活用して資金調達をするのも有効です。代表的なものだと「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」などがあります。
助成金や補助金によって、給付上限や給付を受けられる期間が設定されているため注意が必要です。また、助成金や補助金を活用したい場合には、自社が対象となるものがあるか、対象となるための条件にはどのようなものがあるかを確認しておく必要があります。
自治体や地域ごとに独自のものも存在するため、しっかりとリサーチをしておくことが重要です。
【参考】オウンドメディア構築に使われる各CMSの料金
本章では、オウンドメディアの構築によく利用されるCMSを5つ取り上げました。各CMSの料金について紹介しているので、CMSを検討する際の参考にしてください。
No. | CMS | 料金 |
---|---|---|
1 | WordPress | 無料(テンプレートは有料のものあり) |
2 | Movable Type | クラウド版:月額5,500円〜 ソフトウェア版:9万9,000円 ウェブサービス型:月額2,500円〜 |
3 | Clipkit | ■お手軽スタートプラン 初期費用:3万3,000円 月額:1万1,000円■機能充実プラン 初期費用:3万3,000円 月額:5万5,000円 |
4 | CMS Blue Monkey Knowus | 共有サーバー:月額3万6,000円〜6万円 専用サーバー:月額8万4,000円 |
5 | ferret One | 初期費用:10万円 月額費用:10万円〜 |
WordPress
WordPressは多くのWebサイトに利用されているCMSで、無料で利用できます。テンプレート(無料・有料の両方あり)が多数用意されており、オウンドメディアの作成経験がない人でも、プロが作成したようなデザインのオウンドメディアを作れるメリットがあります。
オウンドメディアの運用が初めての方は、無料のテンプレートで十分でしょう。
WordPressでホームページを制作する手順については、
初心者必見!WordPressでホームページを制作する手順(
Movable Type
Movable Typeは、商用パッケージ型CMSです。上場企業など比較的大手の企業や大学などのWebサイトに多く利用されています。サポートが充実していることや、高いセキュリティ性が特徴です。
料金は、クラウド版が月額5,500円〜、ソフトウェア版が9万9,000円、サーバー不要でテンプレートを利用するウェブサービス型が月額2,500円で利用できます。
Clipkit
Clipkitは、オウンドメディア構築に特化したSaaS型のCMSツールです。記事の制作がしやすく、簡単に操作できる点が特徴です。
3つのプランに分けられており、プランによって利用できるデザインやサポートの充実度が異なります。料金は、お手軽スタートプランが初期費用3万3,000円と月額1万1,000円、機能充実プランが初期費用3万3,000円と月額5万5,000円です。
さらに、記事制作まで依頼したい場合にはプロフェッショナルプランとなり、別途見積もりが必要です。
CMS Blue Monkey Knowus
CMS Blue Monkey Knowusは、簡単な操作で使いやすさを追及したCMSツールです。特に日本の中小企業向けに設計されており、2000社以上の導入実績があります。
4つのプランに分かれており、容量やサーバーが共有か専用かによってが異なります。料金は共有サーバーが月額3万6,000円〜6万円、専用サーバーが月額8万4,000円で利用できます。
Blue Monkeyはサイト制作サービスや他のマーケティング施策支援サービスも提供しているので、一気通貫で依頼したい時にもおすすめでしょう。
ferret One
ferret Oneは、Webマーケティングメディアを展開するferretが提供するCMSです。誰でも直感的に編集できる点が大きなメリットです。
BtoBのサイト運用に特化しており、LPやホワイトペーパー、セミナーなどの施策と連携させたい場合におすすめです。 料金は、初期費用10万円、月額費用10万円〜です。
オウンドメディア構築での早期に効果を上げる方法
オウンドメディア構築での効果を上げる方法は、次の5つです。
・キーワードの設計
・コンテンツの作成
・SNSでの発信
・分析ツールの導入(GA4)
・レポーティングとPDCA
それぞれの方法について、以下で見ていきましょう。
キーワードの設計
オウンドメディアで効果を上げるには、キーワードの設計が重要です。顧客のニーズを調査し、どのようなキーワードで検索するのかを論理的に導く必要があります。
特に立ち上げフェーズではSEO効果が出づらいです。Ahrefsなどのツールを用いてキーワード難易度が低く、検索数も少ないワードを狙うと順位がつきやすいです。
検索数が少ないワードから対策していき、順位がついてきたら、徐々に検索数の多いキーワードも攻めていくのが一般的です。
コンテンツの作成
キーワードの設計だけでなく、コンテンツの中身にも力を入れることも大切です。キーワードが選定できたら、キーワードに対するユーザーの検索意図を把握します。
検索意図が把握できたら、コンテンツのアウトラインを作成し、本文執筆をします。アウトラインを作成する際は、ユーザーが特に欲しい情報を上部に記載し、キーワードのニーズに対して網羅的に記載するように意識してください。
SNSでの発信
SNSでの発信も重点的に行いましょう。SNSでの発信を強化することで、オウンドメディアの被リンクやサイテーションにつながります。
被リンクとは外部サイトにオウンドメディアのリンクが貼られることで、サイテーションとはオウンドメディアのサイト名が第三者に引用されることです。
被リンクはSNSで拡散されたり他のブログやWebサイトで紹介されることにより、SEOドメインパワーをあげることにつながります。ドメインパワーが高い状態は、ドメインとしての信頼性が高く、SEOに影響することがあります。
積極的にSNSでの発信を強化してみてください。
分析ツールの導入(GA4)
オウンドメディアの効果を上げるには、記事を公開するだけでなく、公開した記事の反響をチェックし、常に改善する必要があります。そこで、メディア運営の最適化を図るための分析ツールを導入することが大切です。
特におすすめのツールが、Googleアナリティクス 4(GA4)です。GA4を導入すれば高度な分析ができるだけでなく、取得できるデータの種類が多いため、さまざまな点からオウンドメディアの分析ができます。
レポーティングとPDCA
オウンドメディアの効果を上げるためには、評価レポートを作成し、その結果を受けてPDCAサイクルを回すことも大切です。月別にPV数、キーワード順位などをレポーティングしていくとよいでしょう。
改善方針が明確になるため、オウンドメディアの効果を上げやすくなるでしょう。
オウンドメディア立ち上げ成功事例3選
ここでは、オウンドメディア立ち上げ成功事例を3つ紹介します。オウンドメディアを立ち上げる際に、それぞれの事例を参考にしてみてください。
オウンドメディアのデザインで参考になる事例20選|コツもご紹介!
オウンドメディアの成功事例10選と3つのポイント|自社の運用戦略に活かそう
オウンドメディアにありがちな失敗11選|注意すべきポイントも解説
株式会社Hub Works
株式会社Hub Worksのオウンドメディア構築サービスにより、株式会社産経デジタルの新規事業立ち上げに協力し、3カ月で約20万PVを獲得しました。
株式会社産経デジタルが新しく立ち上げた「Biz×Job」では、毎月30本の記事制作とSEOの観点における相談をメインとしつつ、さらにはランディングページへの誘導動線設計の相談対応も行っています。
業界に詳しいディレクターやライターを入れた10人体制のチームを構築したことにより、高品質な記事を大量に制作することができ、順調なメディアの立ち上げをサポートしました。
これによりオウンドメディアの立ち上げが成功し、3カ月で約20万PVと、予想を超える成果を発揮しました。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、「サイボウズ式」というメディアを立ち上げ、企業のブランディングに成功しています。「サイボウズ式」は「カイシャ・組織」「働き方・生き方」「家族と仕事」などのテーマでコラム記事やインタビュー記事を発信しているメディアです。
企業内の業務改善サービスなどを提供するサイボウズ株式会社が考えている働き方を示すことができ、企業ブランドの確立に貢献しました。
株式会社カインズ
株式会社カインズは、初のWebメディアとして「ホームセンターを遊び倒すメディア」というキャッチコピーで「となりのカインズさん」を立ち上げました。
具体的な発信内容は、生活に直結する実用的な内容だけでなく、好奇心を刺激するような楽しい内容などがあります。結果として、好奇心や暮らしにおいて創意工夫する楽しさを大切にしているカインズの企業ブランド確立に貢献しました。
まとめ
本記事では、オウンドメディア構築の際に発生する費用について、相場や費用対効果を上げるためのポイントをご紹介しました。
オウンドメディアを立ち上げ、運用する際には必要な費用も多くあります。しかし、しっかり予算を確保して戦略を立て、メディアを構築することで、成果を上げることにつながります。
費用をかけるべき工程や制作会社の見極めが重要です。本記事を参考に、費用対効果の最大化を目指しましょう。
株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。