オウンドメディア構築の費用相場は?費用対効果を上げる方法も紹介

オウンドメディアを立ち上げて問合せや資料請求につなげ、マーケティング活動に活かしたいと考える時に気になるのが費用です。いくら予算を確保すればいいのか、費用対効果はどうなのか、と考える人も多いでしょう。
本記事では、オウンドメディア構築の費用について、相場や費用対効果を確保するために抑えておくべきポイントをご紹介します。オウンドメディア立ち上げの際に、是非参考にしてください。
オウンドメディアの構築にかかる諸費用
はじめに、オウンドメディアの構築にかかる費用にはどのようなものがあるのかご紹介します。オウンドメディア構築に必要な費用は7種類あります。それぞれ確認しましょう。
戦略設計費
戦略設計とは、オウンドメディアが自社のマーケティングやブランディングにおいてどのような役割を果たすのか、どのような情報を提供するのかを設計することを指します。企画とも呼ばれることがあり、プロに依頼する場合には費用がかかります。
自社全体のマーケティング戦略が固まっており、担当者に経験や知識がある場合には、自社で行う事も可能です。しかし、戦略設計はオウンドメディアの土台となる重要なプロセスであり、十分な成果を見込むためには経験の豊富なプロに依頼することをおすすめします。
オウンドメディアを運用する際にはコンテンツマーケティングの戦略が求められることがあります。コンテンツマーケティングの戦略について詳しく知りたい方は是非下記のリンクをご覧ください。
マーケティング費
オウンドメディア構築におけるマーケティングとは、オウンドメディアの目的をもとに、サイト内の導線設計や集客経路の設計をするプロセスです。
また、オウンドメディアの戦略にもとづき、コンテンツ内容を決定したり、記事や動画、マンガなど様々な手法を検討したりすることも含まれます。
戦略設計がブランディングなどオウンドメディアの大まかな方向性を決めるのに対し、マーケティングではユーザーの行動をベースに、メディア内の導線や発信する情報を設計します。
時には、SEO的な観点からキーワードを分析したり、クリックやコンバージョンといった数値をシミュレーションすることもあります。より専門的な知識や経験が必要になるといえるでしょう。
デザイン費用
デザイン費は、オウンドメディアのサイトデザインにかかる費用です。コーディング不要で簡単にサイトの編集ができるCMSや既存のテンプレートを利用する場合には比較的安く抑えられますが、オリジナルでデザインを作成する際には、別途デザイナーに依頼するため費用が高くなる傾向があります。
ユーザーに優しいデザインにすることはもちろん、自社でのカスタマイズやコンテンツ更新がしやすいデザインであることもポイントです。
サイトデザインは、ユーザーに与える印象やサイトの使いやすさに影響し、オウンドメディアの成果を左右します。
また、コンテンツを増やしたのちに大幅にデザインを変更するには、費用も工数もかさんでしまいます。そのため、初期費用を抑えることだけに捉われず、納得できるデザインを作ることが重要です。
コーディング費用
コーディングは、作成したサイトデザインや必要な機能をプログラミング言語を用いて実装していく作業です。専門的な作業であり、自社にプログラマーがいない場合には外注が必須です。
デザインと同様、コーディングにおいてもCMSを利用することで、費用を抑えることができます。ただし、CMSを利用する場合でも機能を充実させたり、SEO対策を別途行ったりなど、追加費用がかかる場合もあります。デザインと併せて予算を確認しておく必要があるでしょう。
また、制作会社によっては、デザインとコーディングがパッケージになっていたり、最初の記事数本分などコンテンツ制作が費用に含まれていたりする場合もあります。オウンドメディアの制作に必要となる作業行程を理解した上で、予算と制作会社を照らし合わせて検討しましょう。
コンテンツの作成費用
コンテンツの作成にも費用がかかります。記事1本あたり2万円〜8万円が相場です。ただし、記事や動画、マンガといったコンテンツの形式や、コンテンツ量によっても費用が大きく上下します。
クラウドソーシングサービスなどを利用して個人のライターに依頼することで、費用を安く抑えられます。しかし、個人のライターの場合、ライティングスキルにばらつきがあったり、管理が難しかったりするため、社内でディレクション業務に慣れている人がいる必要があるでしょう。
安定した質の高いコンテンツを求めるのであれば、コンテンツ制作に強い制作会社に依頼することをおすすめします。
コンテンツ制作にかかる費用や外注の際に抑えておきたいポイントを以下の記事で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。
プラットフォーム利用費用
プラットフォーム利用費用は、レンタルサーバーやドメイン、CMSなどを利用する際に必要になる費用です。
自社サーバーが無い場合には、レンタルサーバーを利用します。接続不良などのトラブルが少ないため、オウンドメディアの運用にはレンタルサーバーを利用することが一般的です。初期費用は数万円、月額費用は数千円が相場です。
ドメインを取得し、利用するにも費用がかかります。人気のドメインの場合、高くなってしまうこともありますが、一般的には年間数百円から数千円とされています。
CMSを利用する場合には、CMSの利用料金も必要です。オウンドメディア構築に使われる各CMSの料金は後ほどご紹介します。プラットフォームの利用費用は全て合わせても大きな負担ではありませんが、月額費用もかかるため忘れずに予算を確保しておく必要があります。
分析調査費
分析調査費とは、オウンドメディアの成果を高めるために、さまざまな視点から分析や調査を行う際に必要となる費用です。流入元やコンバージョン、SEOの成果、よく閲覧されている記事などを数値で算出し、分析します。
外注した場合には、SEOレポートやコンテンツの評価レポート、サイト導線の改善提案、コンテンツ改善の提案などが成果物となります。
自社で行う場合にも、分析や調査を行うためのツールの導入が必要です。分析調査と改善の提案には、マーケティング的な視点が必要であり、自社にコンテンツマーケティングの経験が豊富なマーケターがいない場合には、外注することをおすすめします。
オウンドメディアは分析と改善を繰り返すことで、成果につながっていきます。作って終わりではなく、継続的な運用が重要です。
【目的別】オウンドメディア構築の費用相場
では、実際にオウンドメディアを構築する際に、どのくらい予算を確保しておけば良いのか、オウンドメディア構築の費用相場をご紹介します。ここではオウンドメディア構築において何を重視しているのかで分類しています。
安くオウンドメディアを作りたい場合【〜30万円】
とにかく安くオウンドメディアを作りたい場合には、無料もしくは格安のCMSで、既存のテンプレートを活用したサイトの構築がおすすめです。中小規模の制作会社や個人に依頼すれば、30万円ほどで可能です。
CMSを利用しない場合でも、オウンドメディアの戦略設計やデザインなどを自社で作成した上で、コーディングのみ外注するのであれば安く済ませることができるでしょう。
費用をさらに抑えたい場合には、画像や写真などの素材やコンテンツは自社で用意することになります。コンテンツ制作も費用内で請け負ってもらうことは難しいでしょう。
記事制作を別途外注したい場合には、以下の記事も参考にしてください。
オリジナルのオウンドメディアを作りたい場合【35〜50万円】
テンプレートを利用するのではなく、オリジナルのオウンドメディアを作りたい場合には、35万円〜50万円が相場となります。
この場合にも、CMSでサイトを構築することがほとんどですが、テンプレートの利用ではなくオリジナルデザインを作成します。「安くオウンドメディアを作りたい場合」の上記に、デザイン代を加えたパターンと考えてよいでしょう。
記事の投稿機能以外にも資料のダウンロードや問い合わせフォームといった簡単な機能を実装してもらえる場合もあります。必要な機能があれば依頼するようにしましょう。
本格的なオウンドメディアを作りたい場合【100万円〜300万円】
本格的なオウンドメディアを作りたい場合には、100万円〜300万円必要です。この価格帯がオウンドメディアの立ち上げで一般的な相場であるともいえます。
サイトはオリジナルデザインでCMSをカスタマイズしたものであり、かつ費用内にメディア戦略やマーケティング戦略も含まれていることが多いです。立ち上げに費用はかかりますが、その分成果が出しやすくなります。
サイトに使用する画像や写真などもデザインに含まれている場合もありますが、制作会社によって異なるので確認が必要です。また、コンテンツ制作などの運用や分析改善に関しては別途費用が発生したり、サービス対象外であることも多いです。
【参考】オウンドメディア構築に使われる各CMSの料金
本章では、オウンドメディアの構築によく利用されるCMSを5つ取り上げました。各CMSの料金について紹介していますので、CMSを検討する際の参考にしてください。
WordPress
WordPressは無料で提供されているCMSです。使いやすさとカスタマイズ性の高さから、個人ブログから企業の大規模なサイトまで、さまざまな用途で利用されています。
SEOに強いのも特徴で、オウンドメディアにもおすすめです。Web上にある43%のサイトがWordPressを使っています。
WordPressでは豊富なテンプレート(テーマ)が用意されています。WordPressのテーマは、無料で使えるものもありますが、デザイン性やカスタマイズ性の高いテーマは有料であるものも多いです。
Movable Type
Movable Typeは、商用パッケージ型CMSです。上場企業など比較的大手の企業や大学などのWebサイトに多く利用されています。サポートが充実していることや、高いセキュリティ性が特徴です。
クラウド版は月額5,500円〜、ソフトウェア版は99,000円で利用できます。クラウド版であれば費用内にテクニカルサポートが付随、ソフトウェア版でも初年度はテクニカルサポートが含まれており、次年度からも年間30,000円で受けられます。
また、サーバー不要でテンプレートを利用する、月額2,500円〜のウェブサービス型もあります。スモールスタートであればウェブサービス型を試してみても良いでしょう。
Clipkit
Clipkitは、オウンドメディア構築に特化したSaaS型のCMSツールです。記事の制作がしやすく、簡単に操作できる点が特徴です。
3つのプランに分けられており、プランによって利用できるデザインやサポートの充実度が異なります。お手軽スタートプランは初期費用33,000円、月額11,000円です。
シンプルデザインのみ選択でき、自社でサイト構築ができる場合に利用できます。機能充実プランは初期費用33,000円、月額55,000円です。
シンプルデザインに加え、リッチデザインが利用できたり、カスタマーサポートやサイトの分析機能が利用できます。さらに記事制作まで依頼したい場合にはプロフェッショナルプランとなり、別途見積りとなります。
CMS Blue Monkey Knowus
CMS Blue Monkey Knowusは、簡単な操作で使いやすさを追及したCMSツールです。特に日本の中小企業向けに設計されており、2,000社以上の導入実績があります。
4つのプランに分けられており、容量やサーバーが共有か専用かによって費用が異なります。共有サーバーであれば、CMS BlueMonkey Sは容量が10GBで月額36,000円、CMS BlueMonkey SSは容量が20GBで月額60,000円です。
専用サーバーであれば、CMS BlueMonkey 専用スタンダードは容量100GBで84,000円(50万PV目安)、CMS BlueMonkey ハイエンドは容量100GBで84,000円(100万PV目安)です。
Blue Monkeyはサイト制作サービスや他のマーケティング施策支援サービスも提供しているので、一気通貫で依頼したい時にもおすすめです。
ferret One
ferret Oneは、Webマーケティングメディアを展開するferretが提供するCMSです。
BtoBのサイト運用に特化しており、LPやホワイトペーパー、セミナーなどの施策と連携させたい場合におすすめです。また、同サービス内でコンサルティングとMAサービスも提供されており、必要に応じて追加することができます。
初期費用100,000円、月額費用100,000円〜となっています。誰でも直感的に編集できる操作性も特徴の1つであり、専門知識を有した人材確保が不要であることもメリットです。
オウンドメディア構築での費用対効果を上げる方法
オウンドメディア構築において、費用対効果を上げる方法を解説します。費用対効果を最大化するためには、費用を抑えながら成果を上げることが重要です。今回は費用面における4つのポイントをご紹介します。
オウンドメディアに必要な機能を見極める
自社のオウンドメディアに必要な機能を見極めることは、構築費用を抑えることに繋がります。多くの機能を搭載すると、その分開発コストが必要となるためです。
コンテンツの更新機能は必須である他、資料のダウンロードや問い合わせフォームはオウンドメディアに必要な機能として一般的です。
ただし、ECのオウンドメディアであれば資料ダウンロードではなく、ECサイトへの導線が必要であるなど、メディアの目的やビジネス形態により必要な機能は異なります。
無駄な機能があるとユーザーの使いやすさも落ちてしまうため、成果面でもこの点は重要なポイントです。オウンドメディアに必要な機能を見極める上で、オウンドメディアとはどのようなものか概要を再度確認したい方は、是非以下の記事をご覧ください。
できるだけ自社で構築する
オウンドメディアの構築におけるコストの内訳は、人件費が大きな割合を占めています。そのため、できるだけ自社で構築することで費用を抑えられます。
自社内にマーケターやエンジニアがいる場合には、自社内で構築することができるでしょう。また、上記でご紹介したCMSツールを使用すれば、コーディングの知識がなくてもサイトを制作することができます。
一方で、プロに依頼すれば質の高い、より成果につながりやすいオウンドメディアになる可能性は高まります。そのため、オウンドメディアの目的や自社のリソース、継続的に運用・改善を行う必要があることなども加味して検討する必要があります。
企業ではなくフリーランスに依頼する
企業ではなく、クラウドソーシングなどを利用してフリーランスの個人に依頼することでも費用を抑えることができます。
デザインやコーディング、コンテンツ制作まで、オウンドメディア構築に必要な作業ができるフリーランスは多くいるため、一度探してみることをおすすめします。
ただし、スキルややりとりのしやすさなど、個人によって振れ幅が大きいことを理解しておきましょう。依頼側が明確に指示を出す必要があります。
特に記事制作においてはフリーランスのライターに依頼することが多くありますが、優れたライティングについて定義付けをしないまま依頼すると、記事制作失敗の原因になる可能性があります。
優れたライティングについては、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
外注する際は数社から相見積もりを取る
外注する際には、数社に問い合わせ、相見積もりを取りましょう。制作会社によって、サービスの内容や費用感が大きく異なります。
費用だけでなく、必要なサービスは揃っているのか、構築後のサポートはどのようになっているのかなども合わせて確認しましょう。同様のサービス内容でも、実績によって費用が異なる場合もあります。
オウンドメディアは構築して終わりではなく、継続的な運用が必要です。自社にとって、運用がしやすいか、コミュニケーションが取りやすいかなども確認すべきポイントです。
オウンドメディア構築費用の注意点
では、オウンドメディア構築の費用を抑えようとするときに注意すべきポイントをご紹介します。
安い制作会社はカバー範囲が狭い場合がある
オウンドメディアの構築を外注する際に、費用だけを見て決めてしまうのは危険です。オウンドメディアの運用においては、密なコミュニケーションや細かなサポートが重要であり、安い制作会社は、カバー範囲が狭く、期待したサポートが受けられない可能性があります。
先ほど述べた通り、オウンドメディアの立ち上げにかかるコストは、その多くが人件費です。安価でできることを謳っている業者は、人件費を抑えており、テンプレートをあてはめるだけであったり、構築後のサポートがなかったりします。
制作会社を検討する際には、サポート内容だけでなく、戦略設計から構築後のサポートまで密な連携が取れるのか、自社の目的達成が可能かどうかを見極めましょう。
自社で構築すれば費用を抑えられるとは限らない
自社で構築するにも、スタッフの人件費がかかります。戦略設計からデザイン、コーディング、コンテンツの投稿まで行うとすると、マーケター、デザイナー、エンジニア、ライターなどの工数確保が必要です。また、継続的に運用を行うことはもちろん、定期的にサイトのメンテナンスも必要になります。
自社のスタッフの人件費や確保すべきリソースを考えると、外注した方が結果的にコストを抑えられるというケースも少なくありません。自社の現状やリソースを踏まえ、費用対効果を最大化するためには、どの部分を外注すべきか、どの部分は自社で行うべきかを検討しましょう。
予算が足りない場合は助成金や補助金を活用する
予算が足りない場合には助成金や補助金を活用して資金調達をするのも有効です。代表的なものだと「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」などがあります。
助成金や補助金によって、給付上限や給付を受けられる期間が設定されているため注意が必要です。また、助成金や補助金を活用したい場合には、自社が対象となるものがあるか、対象となるための条件にはどのようなものがあるかを確認しておく必要があります。
自治体や地域ごとに独自のものも存在するため、しっかりとリサーチをしておくことが重要です。
まとめ
本記事では、オウンドメディア構築の際に発生する費用について、相場や費用対効果を上げるためのポイントをご紹介しました。
オウンドメディアを立ち上げ、運用する際には必要な費用も多くあります。しかし、しっかり予算を確保して戦略を立て、メディアを構築することで、成果を上げることにつながります。
費用をかけるべき工程や制作会社の見極めが重要です。本記事を参考に、費用対効果の最大化を目指しましょう。

株式会社HubWorks マーケティング部 2021年よりインターネット広告代理店に入社し、月間数億規模の広告運用を経験。 2022年に株式会社Hub Worksに入社しマーケティング担当者として、ウェブ広告やSEOなどの集客、 記事やホワイトペーパー作成などのコンテンツ制作業務に従事。